Mauna a Wākea マウナ・ア・ワケア
ハワイ島の聖地・Mauna a Wākea(マウナ・ア・ワケア)。ここはとても不思議なエネルギーがあります。ここを訪れたことがある人は何かが違った、特別だったと感じた人も多いのではないでしょうか。
この場所に祖先を持つハワイアンの人々にとって大切な聖地、魂の故郷でもあります。それは歴史とともに日本人がこよなく愛する富士山と同じだと言えるのではないかと思います。
Mauna a Wākea (マウナアワケア)はWākea(ワケア)の山。Wākea(ワケア)はハワイ島を創造した神様。地球規模で世界一の高さを誇る海底火山は地球の海底から盛り上がって形成された山です。人の歴史に寄り添ってきた山にはたくさんの神話があり、今でもハワイの神々がお住まいで、それはハワイ島のハワイアンの人たちそのものなのです。
2015年6月、世界一大きな天文台・TMT(30m望遠鏡)建設問題で反対運動が表面化しました。そのため2800Mより山頂へと続く道路はしばらくの間、閉鎖となりました。
2019年7月には更に大きな反対運動が起きて、マウナケア山頂への道(マウナケア・アクセスロード)はハイウエーの入り口から再び閉鎖となりました。多くのハワイアンが集結し、その様子はSNSで世界中へと発信され、その後、世界中から注目されている場所でもあります。この反対運動はSNSの発信でより多くの国の人たちが現地を訪れ、協力を得ることができました。
ハワイアンにとって大切な聖なる山に天文台の建設が始まったのは1967年。最終的に11ヵ国、13基の天文台が建設され、現在もリース契約でマウナケア科学保護地区として指定されたハワイアンの土地(約500エーカー)はハワイ大学により管理されています。
その当時30年〜50年位前に反対運動をしていた人たちは今はクプナ(知恵が集まったご年配)となり、その当時子供だった世代が大人になり、孫となり、ひ孫となり、親子2代、3代、4代にわたり反対運動も継続されています。
反対運動の現場では子供連れ、家族総出で参加しているハワイアンファミリーを多く見かけました。現実に起きていることを子供たちに見せ、子供たちの未来の土地を守るために、決して他人事にならないように、いろいろな世代の人たちが現場で子供たちに教えていました。
ところで、ハワイ島にはハワイ語の地名がたくさんあります。ハワイ語のその場所の名前は見事にその場所のエネルギー(波長)を語っているように思います。フラの経験がある皆様にはピンとくるお話だと思います。言葉が放つその音はハワイアン文化そのものです。
それは日本語も日本の文化も同じではないでしょうか。
マウナ・ア・ワケアはミショナリー(宣教師)によって、ハワイの神様・ワケアの山からマウナケア、白い山へと改名されています。一説には、キリスト教ではイエスキリスト以外の神様は存在してはいけないからという事情によるものだとか。同じ頃、ハワイアンのヘイアウ(神事の場合)も取り壊されています。
ハワイ王国がアメリカ合衆国に合併してから、最近になって更にハワイ語の地名から人名に変更されてしまった場所が至るところにあります。代表的なのはハワイ州の玄関口の空港のお名前、オアフ島の「ホノルル」からイメージできてた風景、ハワイ島のコナにある「ケアホレ」からイメージできてた風景、知らず知らずのうちに人間の勝手な都合によって人名に変えられてしまったことをとても残念に感じている人も多いのではないでしょうか。
今は古代ハワイアンの人々が大切に守ってきた神聖な場所、意味のある地名がどうかそのままの形で未来の子供たちへと残してほしいと願います。
『言葉は文化』
2020年、まだひっそりと隠れているTMT建設計画がこのまま消えて、
再び、家族、同じ民族同士が争うことがないことを祈るしかありません。
どうか、聖地・Mauna a Wākeaはそのままであって欲しいと願います。