見出し画像

MBA夏のインターンシップで学んだこと

忘れないうちに学んだことを書いておかないと!

この夏、東京にあるアメリカのテック企業で、シニアプロダクトマネージャーとして12週間インターンしました。いわゆる大企業で働くのは初めてだったのでかなりRefreshingな経験でした。

まずプロダクトマネジメントがどういう仕事かについて書きます。私の企業に限定して書くと、その企業が持つウェブサイトやアプリ上で、顧客がより使いやすく、かつ収益につながる機能を考え、ローンチまで担当する仕事です。よく0から1を作る仕事と言われます。私の場合、まずインターンが始まる前に5つチームのリストが送られてきて、そのチームがどんなプロジェクトを持っているのか、実際に担当するInitiativeなどについて説明書きがありました。その中でひとつ、「新しくローンチするサービスなのでまだ詳細言えないですw」みたいな興味をそそられるチームがあって🤣かつ、新しいサービス=新しい機能を一からつくるってことなので、PMの仕事のエッセンスが学べそうだなと思ってそのチームを選びました。蓋を開けてみると、面接でお会いした面接官の方の中で4人中2人がそのチームに入っていて、向こうもどのインターンを選びたいか希望を出すシステムだったのですが、私とすでに面接で会っていたので選びやすかったらしく、たまたま私の意向と向こうの希望がマッチして入りたかったチームに入ることができました。チームによってはすでにローンチした機能の精査をするプロジェクトだったり、テクノロジーに関わらない(Product より Program Managementに近い)ロールもあったりして、今回のチームで働けたのは正直とてもラッキーだったと思います。また自分の上司と同僚がアメリカ人だったのもかなり仕事のやりやすさに直結していたと思います。

実際にやったこととしては、まずProduct(今回の場合はウェブサイト・アプリ上の機能)を作るために必要なCustomer pain pointを集めること。自分が作る機能が、そのペインポイントを直に解決していないといけないからです。そのためにユーザーインタビューを設定し、困っていることや大変なことについてVoice of Customers (VOC)を集めていきました。加えてマーケティングチームとともにアンケート調査を行い、3000人以上をターゲットにアンケートを実施しadditional data pointsを集めました。さらにSocial Mediaで一般人の声も調査しました。

このプロセスを経て何個かPain pointが出てくるわけですが、そこからどれにフォーカスをするのか選定します。ここが一番重要なステップだったと思います。これを考えている間、What problem are we solving? と何回もマネージャーに口を酸っぱくして言われました。「競合他社がすでにやっているからとか、どれだけ利益を出せるかとかは考えるな。どうしたらカスタマーが困っていることを君が作る機能を使って解決できるのかを考えろ」とのことで、顧客の声を集めて分析することにとても時間を使いました。

そのリサーチ部分が前半6週間、残りの6週間は実際にどのような機能を作ったらいいのかモックデザインを作り、マネージャー、エンジニアチーム、マーケティングチーム、カスタマーサクセスチームなど周りの人にフィードバックをもらい、理想のデザインとカスタマージャーニー(どのような経路を踏んでどのようなアクションが起こるのか)を仕上げていきました。PMの仕事を初めてする身からするとここが一番大変というか、自分が良いデザインだと思っても色々批評をいただくことも多く、勉強になりました。(ボタンひとつ増やすのにこんな莫大な費用とエンジニアの労力がかかるんだ・・・みたいな)ただ、その企業で働いている人もまだローンチ前で顧客がどんな反応をしてくるかわからない中でやっているので、「結局はある程度"guess base"でやっているんですよねー」と一人の社員さんが言っていたのが印象的でした。世の中に出してみて上手く行かなかったらすぐに改善するというマインドセットでみんな動いていて、いろんなひとから承認をもらって初めてアクションを起こせる政府機関出身の私には目から鱗だったし、このサイクルの速さはテックビジネスの強みだなと思いました。

私が担当していた機能も実際に来年ローンチされるプランに入っているため、正直「こんな初心者に任せていいんだろうか」と思っていましたが周りの助けもあって(チームメンバーにとっても恵まれた!)なんとかゴールラインまで辿り着くことができました。

PMの仕事は、ペインポイントを選定し、機能のモックを作り、それをエンジニアチームとリーダーシップに見てもらい、絶対にローンチが必要であるということを説得しなければいけません。何千という機能のローンチが必要な中で、なぜ今それなのか?ということをデータを使って示さないといけないのです。そのためには先ほどの定性・定量調査のほかにもFinancial Analysis (今回のローンチで新たにどのくらいの利益を生むか・市場規模)やEngineering effort estimate (この機能を作るにはどんなサブ機能が必要で、どのくらいエンジニアの時間を使うのか、機能の中での優先順位)なども自分のRecommendationに加えます。今回のインターンシップではこの提案を発表するまでが私のスコープでした。最終日にいろんな人が会議室に集まり、私のRecommendationを読んだ後、いろーんな質問を投げかけてきました。先輩には「エンジニアの人は自分の技術的な興味本心でやりたい機能を選びがちだけど、それがビジネス観点から常に良い判断とは限らない」と言われていて、私の発表の場でも同じことが起こりました。

ほかに二つアメリカで内定があったのにも関わらず、今回のこの企業でのインターンシップを選んだのは、そもそもPMの仕事に一番興味があったのと、求められるスキルが自分が持っているスキルに合っており、一番リターンオファーがもらえる確率が高いと思ったからです。去年(Class of 2024)の現地フルタイム採用の状況が芳しくなく、最悪卒業前に仕事が見つからなかったとしても戻る先があるのが自分にとってはベストでした。ほかの内定先のコンサルは自分がリターンオファーをもらうのは結構大変だったんじゃないかなーと思います。(保険会社の方はほぼ100パー内定出ると聞いてたけど業界に興味が湧かなかった)PMはいろんなチームの人と一緒に物事を進め、そして重要人物たちを納得させて自分の持っていきたい方向に持って行かせるInfluence力が必要なロールだなと思いました。自分に足りないハードスキル面においては、データ・財務分析に関してはその専門のチームと協力しながら、分析結果をしっかりInterpretして提案書に活かせる力をつけないといけないなと思いました。

最後のマネージャーからのフィードバックでも「相手の信頼を得て、周りを巻き込んで物事を進める力に長けている」という言葉をいただき、予想が当たったなよかったなと思いました。外交の世界で交渉を担当してきた身からするとむしろそのくらいしか自分に取り柄はないのです。結果としてリターンオファーもいただくことができかなり自分にとっては満足度の高いインターンとなりました。卒業後すぐに日本に戻ることは考えてなかったのですが、このチームならすぐに戻ってまた働きたいと思いました。そうなったら夫が日本で就職先を見つけないといけないのでこれからどうなるかわからないけれど。

とにかくテックでの経験ゼロの私にチャンスを与えてくれた会社と、インターン期間中ずーっとサポートしてくれたマネージャーに感謝。MBA2年目も全力投球で頑張りたいと思います。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?