幸せな社会システムのデザイン
今日は、フィンランドが世界一幸福な国に7連続で選ばれたことに対して、必ずしも「個人のマインドの成果」や「絶対の幸せな形」ではないかもしれないということについて書きたいと思います。
きっかけは、フィンランドのアアルト大学に留学してい時の先生がLinkedinで次のような投稿をしていたことです(deeplにて和訳)。
彼は今日本に住んでいるので、フィンランドを外から眺めた時に、必ずしも今フィンランドはいい状態ではないかもしれない、徐々に幸福度の悪化や、二極化の進行など長期的に悪い面が出てきていると見ているようです。
なにより、今世界一幸せな国に選ばれたのは、過去の先人たちがそのような幸せを中心とする社会の選択をしてきたことで得られている恩恵であって、今生きている私たちは、将来の幸せを保証するような取り組みをもっと進めていかなければならない。というメッセージが印象的でした。
そのメッセージで引用されている以下の記事を見てみると、フィンランドの幸せに生きる秘訣について書かれてあります。
もう私のnoteを含めて、たくさんのメディアやニュースが特にこの3〜5年の間に、北欧の人たちはなぜ幸福度が高いのかということについて、多様な記事を書いてきました。そこに繰り返し出てきていることは、
都市にいたとしても自然とつながること
ワークライフバランスがとれていること
社会や職場において相互に信頼ができること
子供を持つ親の育児や家事の協力が優れていること
過度に競争的ではないこと
などが挙げられています。
たしかに私もフィンランドで2年間暮らして、そして、昨年の夏に90 day Finlandというプログラムで帰還して、その時にも同じような暮らしやすさを感じてきました。
でも、今回の日本在在住のフィンランド人先生が書いているように、本当に目を向けるべきはそのひとりひとりが幸福に生きやすい社会を支えている、目に見えない仕組みであり、その仕組みをつくるためにこれまでに尽力してきた、意思決定してきた先人たちの行動かもしれません。
仕組みや先人たちの行動というと、かなり抽象度が高いので、具体的にその幸せな社会の仕組みついて、具体的なフィンランドでの例を私になりにあげてみると:
誰でも良質な教育を家から1番近い学校で受けられる。
個性から始まり、その個性を掛け算して協力する姿勢を学ぶ。
豊かな自然を保護しながら生活する政策。
働いていなくても子供が保育園に行くことができる。
政府からお小遣いをもらいながら大学で学べる。
ダイバーシティと受容性を高める様々な政策がある。
解雇になっても学び直せる、転職できるリスキリングと労働柔軟性。
一言で言えば、どんな境遇にあってもその人次第で幸せに暮らせる仕組みづくりを、ビジョンの中心に幸せをおきながら、街づくりや政策、教育の面で取り組んできたと考えています。
その一方で、社会のDEI推進は進んだものの、企業の競争戦略としてのDEIの活用までは至っていないというデータであったり(以下、DEIコンサルからのデータ参照)、ヨーロッパ全体に言えることもかもしれませんが、ロシアとウクライナの戦争以後、エネルギーセキュリティの問題があったり、インフレの問題で失業率が高まっていたりと、社会の問題が徐々に顔を出し始めているようです(以下、北欧最大の金融機関から出ている記事参照)。
こうした私たちひとりひとりを取り巻いている社会の変化とその変化に対応する社会の仕組みに支えられて、私たちの幸福度の感じ方は変わってくる、そして、その仕組みづくりには長い年月が必要で、未来にもその幸せな社会を維持していくためには、今から新しい仕組みづくりをアップデートし続けていかなければならないのではないでしょうか。
日本は「経済」という観点から世界2位を長く維持していた時期から徐々に後退をしてきた過去があります。フィンランドは「幸せ」という観点で7年連続一位となり、これから、どういう方向に進んでいくのでしょうか。
逆に、幸せ後進国である日本にも、幸福度の成長期が訪れる仕組みづくりをコツコツと進めていくことで、未来の幸せ大国にもなれると思います。
そのために、北欧の例のように、企業の文化づくり、新しい教育のあり方、社会のダイバーシティとその受容性の向上など、ソフト面での取り組みがますます重要になっていると感じています。
最後まで読んでいただきありがとうございます!
写真:フィンランドで撮影