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2024年行ってよかった展覧会①~みちのくいとしい仏たち

こんにちは。みしまです。
あっという間に年が明け、2025年になった。

1年の振り返りは旧年中にやるのが通常なのだろうが、いつもどうしても年末にできずにいる。12月末には「あー、今年もなにもできずに終わってしまった……」なんて、ずーんと重たい気持ちになっているから。

年が明けて少し心が落ち着き、1年分の撮りためた写真や、手帖のメモ書きをさかのぼって見てみると、「あれっ、わたし結構がんばったかも」と気づく。仕事のことも、家庭のことも、自分のことも。そうして、ようやく筆が乗るのだった。

今回は、2024年に訪れた展覧会で印象に残っているものについて、振り返りたいと思う。

みちのく いとしい仏たち

東京駅に隣接する東京ステーションギャラリーで、2023年12月2日~2024年2月12日開催された展覧会「みちのくいとしい仏たち」。

兄川山神社蔵 山神像

SNSでこのフライヤーを目にしたとき、忘れかけていた仏像愛がふつふつと湧き上がってくるのを感じた。大きな頭に長い鼻。太い眉の下には優しい目がちょこん。なんと温かみのあふれる仏像だろうか。

名前の伝わる有名な仏師が手掛けたのではなく、地元の大工などによって作られた、いわゆる民間仏の表情は優しく、どこかユーモラスだ。

以下は、洞圓寺蔵 矜羯羅童子立像。本展覧会の図録の裏表紙になっているが、つるりとしたおでこと切れ長の目が印象的だ。

洞圓寺蔵 矜羯羅童子立像

こうした民間仏は、その地域に住む人々たちの大切な信仰の対象として守られてきた。その土地で育った木を使い、その土地をよく知る大工などが、人々の想いを背負って彫り上げた仏像。人々の温かさと仏像に込められた思いが、見る者にも優しく伝わってくるのかもしれない。

例えとして適切でないかもしれないが、形の良いスラっとしたハンサムな大根をスーパーで買うよりも、自分の家の小さな庭で丁寧に育てたずんぐりした大根のほうが愛着が沸き、おいしいく感じる──そんな感覚に似ているだろうか。

また、熊野神社 毘沙門堂の鬼形像(毘藍婆像や尼藍婆像)や、正福寺の鬼形像などの鬼や十王の姿にも心惹かれた。それらは、人々を真に恐れされるための存在ではなく、むしろ人々の生活や心に寄り添う存在だったのかもしれない。特に、このチケットにプリントされた鬼形像は、その振り上げたこぶしがなんとも愛くるしい。

正福寺蔵 鬼形像

さらに、本覚寺の多聞天立像も魅力的。なんとひとり4役(龍神、閻魔王、大黒天、多聞天)を担っているとのこと! 頭には龍、顔は閻魔様、大黒天の模様に、持物は多聞天。 めっちゃ合理的?!と思いきや、当時のその土地の人の、切なる願いや救いを求める心が反映されたものだったと知り納得。

本覚寺 多聞天立像のイメージ

最後に、図録が素敵なのもポイントが高い。本棚に飾り、この山神像サマのお顔を拝むだけでも癒される。住民たちが、このホトケ様の前で悩みや愚痴を素直に打ち明けられる理由がわかる気がした。

本展覧会の図録の表紙

* * * * *

この展覧会で出会ったホトケ様たちは、どれも人々の祈りや願いに寄り添い、その土地の温もりを伝えてくれる存在だった。こうしたホトケ様の魅力を知ることで、自分自身の暮らしの中にも、ほっと安らげる時間をもっと増やしていけたらと思う。

2025年もまた、心に響く出会いを楽しみに、日々を過ごしていきたい。

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