「小児はり」でママの気持ちに寄り添う 竹中鍼灸室・木村先生にインタビュー
可愛いのれんと木の優しい風合いが、まるで素敵な雑貨屋さんのような雰囲気でお出迎えしてくれる「竹中鍼灸室」。今回はここで「小児はり」を中心に治療されている木村靖子先生にお話を伺いました。
母のような子育てがしたくて
ーーまず最初に、鍼灸師になられたきっかけを教えてください。
出産を機に、今まで私の母が私にしてくれた子育てを、私も子どもにしようとしたことがきっかけなんです。
ーーお母さまの子育てというとどのようなものだったのですか?
はい、実は母も鍼灸師でこの竹中鍼灸室の院長です。私が小さいとき、身体に不調が出ると母が鍼やお灸をしてくれました。しかしその効果を知りながら、私は鍼灸師ではないので母と同じように自分の子どもにしてあげることができません。
家族を守る方法として、母のように鍼灸を学びたいと強く思いました。
ーーそれで鍼灸師の学校に通うようになられたのですね?
はい、そのとき娘は1歳。ありがたいことに家族や保育園に協力してもらって、3年間鍼灸学校に通うことができ、無事免許を取りました。
ーー子育てをしながら鍼灸を学ぶなんて、すごいバイタリティーですね!
授業中に娘の保育園から「お熱がでました。お迎えお願いします!」と電話があったり、大事な試験の日に娘が体調を崩して受けられなかったり。勉強する時間をなんとか確保する毎日は、ドキドキ刺激的な日々でしたが、子育てをしながらだからこその鍼灸の勉強は、とても価値があったとも感じています。
学びと実践でより効果を実感
在学中から「小児はり」に興味があり、勉強会などにも参加していたのですが、勉強会で学んだことをすぐ自分の娘に実践し、その効果に感動と驚きがあったのです。微熱が小児はりですっきりしたり、気持ちが穏やかになったり、鼻水がとまったり、子育てがしやすくなりました。
ーーなるほど!勉強会でインプットされた知識をすぐにアウトプットして学びを深め、効果を実感できたのはすごく大きいなことですね!それがきっかけで「小児はり」を始められたのですか?
はい、はじめはわが子からの「小児はり」でした。鍼灸の免許を取ってからがさらに学び(修行)のこの業界。鍼灸師になって数年は、母校の有名な先生の鍼灸院でスタッフとして学ばせていただいたり、老人ホームや在宅の訪問施術、大阪医科大学病院の麻酔科で西洋医学の中に東洋医学を取り入れるペインクリニック内での鍼灸治療研修など様々な学びを得ながら、もちろん小児はりの勉強と実践も少しずつ積みました。
しかし、当時は今のように発信もままならず、小児はりを知っているママはごく少数。そんな中でも小児はりを求めて竹中鍼灸室に来院してくださる方もいらっしゃいました。
そしてお母さんが効果を実感し、とても喜んでくださることもあるのですが、改善に時間の必要な症状の場合などは特に、鍼灸師からみると施術前に比べて効果がでてきていても、お母さんが効果を感じにくいと、小児はりの継続につながらない場合もありました。「小児はりの良さや効果を、施術をしていないお母さんに分かってもらうこと」の難しさを感じていました。
ーー確かに、なかなか「小児はり」と言われても、どんなことをして、どんな効果があるのか分かりにくいかもしれませんね。
施術相手は子どもですから、調子が良くなってもそれをお母さんになかなか伝えることができません。小児はりは刺さず、なでるような感じで施術時間も5分ほどですので、そばで見ているお母さんも不思議な感覚になるようでした。
ーーお母さんたちに分かってもらうためにどうされたのですか?
すでに小児はりを多くされている鍼灸師の先生(※)の勉強会に参加し、お母さんたちとの深層のコミュニケーション法を学びました。
(※)ゆうべファミリー治療院
夕部智廣先生 / 鍼灸師・保育士・NLPトレーナー
夕部良枝先生 / 看護師・保育士・NLPマスタープラクティショナー
ーー「お母さんたちとの深層のコミュニケーション法」とはどのようなものなのでしょうか?
はい、例えば夜泣き一つとっても夜泣きの「何に」困っているのか、おひとりおひとり違います。こちらからのアドバイスではなく、お母さんが本当にしたい子育てや、本当の意味で楽になるために、「何に困っていて、どういう風になりたいのか」にフォーカスしてお話を伺います。
私も勉強会で体験しましたが、本当に丁寧に聞いてくれます。今までの子育ての中で、私の気持ちをこんなにも親身に聞いてもらえたと感じたのは初めてでした。
その中で私は「小児はりをわかってほしい」ではなく、「私がお母さんたちをわかりたい」ということに気づく学びにもなりました。
もちろん先生方のお人柄が第一のコミュニケーション法だとも、個人的には感じていますが、病院の先生や家族とも違う第3者とのコミュニケーション、まさに深層に質問してくださる感じでした。
NLPは脳と心の取扱説明書
ーー具体的な方法というのがこのNLPとのことですが、NLPについて少し教えていただけますか?
はい、NLP(Neuro Linguistic Programing(神経言語プログラミング))とは、
セラピーやカウンセリングの現場からうまれた、脳の特徴を活かした実践的心理学。現在では医療の現場やビジネス、教育や家庭・育児にいたるまで様々な分野で活用されています。
当鍼灸室では、鍼灸や小児はりに加えて、必要ならNLPをベースにお母さんたちの欲しいゴールを手に入れてもらいやすくするお手伝いをしています。
したい子育ての選択肢を広げるお手伝いでもあります。
お母さんの選択肢が広がると、気持ちが楽になったり、欲しいものが選びやすくなり、本当に欲しいものが選べると、子ども達が治療に取り組んでいる間、お母さんも楽にその改善を待つことができたり、子どもを安心して見守ることができる。
そうなることで、お母さんが「お母さん自身の人生」を歩めるようになって、お母さんの気持ちが楽になると、自ずと子どもも楽になる。
お子さんも楽になると本来の治す力がさらに出てきます。そして症状の早い改善にも繋がるお子さんがとても多いんです。
ーーなるほど!ただ鍼で治療するだけではないのですね。
お子さんの治す力を引き出すための施術と合わせて、お母さんが楽になる育児応援をさせてもらっています。ひとりひとりと向き合うコミュニケーションを通した小児はりを私は大切にしたいと思っています。
なかなか治らないお子さんの症状や、お困りごと。もしかしたら「私の遺伝だろうか?」「私が食べさせたものが悪かったのか?」などご自分を責めるお母さんも少なくありません。
だからここは、お母さんの育児を肯定する場でありたい、お母さんの育児を応援するのが「竹中鍼灸室の小児はり」です。
ーー小児はりは刺さないとのことですが、やはり鍼やお灸と聞くと痛かったり熱かったりのイメージがあります。実際の治療方法はどのようなものでしょうか?
体調は肌に現れる
小児はりは、鍼で治すというものではなく、「寝る」「食べる」「うんちを出す」「しっかり発散する」をしやすくなるようにサポートします。実際それができると治りがとても早くなります。
もちろん大人もできる鍼なので、まずお母さんに体験してもらっています。体験してみますか?
ーーはい!ぜひともお願いします。ということで、急遽施術していただくことになりました。
椅子に座り、左右に首をねじったり、腕を回して、突っ張っりを感じるところなどを確認。その後、肌が出ていないところは服の上から、出ているところは直接小児はりをスゥーっと滑らせてたり、ちょんちょんと当てたり。
触れているか触れていないかというような程度で、痛みなどは全くなく、とても気持ちがいい感じです。
頭から肩、背中と鍼を当ててもらっただけですが、回りにくかった左方向への首の回転があっという間に楽になりました。
多くの子ども達もとても気持ちが良くて「好き」と言ってくれる子が多いんですよ。子どもにはこの施術を全身を見て行います。
「過緊張や、詰まり、滞り、体調は肌に現れる」ので、その部位を鍼で取り除いたり、流したり、バランスを整えることができます。体に刺さない鍼のことを「てい鍼」といいます。素材は銅や鋼など色々あります。
当院は夕部智廣先生が作られた現代の子どもの肌質にあう優しいベビーてい鍼Ⓡを使っています。
NLPのマスタープラクティショナーを収得し、お母さん方にNLPを使った「知っていると便利な脳の特徴」を知る体験、子育てやご自身の人生がさらに宝物になるような体験ワークをしていただいたりしています。
小児はりやお灸を知ってほしい
ーーお灸教室もされているのですね?
はい、「自分を大切にする方法」としてとても人気で、当院でもご希望いただき開催したり、グループやPTA様のところに出向き、出張お灸教室も開催させていただいています。ご希望の方にはZOOMでセルフケアのお灸レッスンをお伝えしたりもしています。
それらの様子や、小児はりについてのママたちの想いなども、竹中鍼灸室のInstagramやFacebookで日々ご紹介しております。ご興味がございましたらご覧いただけると嬉しいです。
ーーあと、とても気になったのですが、かわいいお灸のグッズ制作や販売もされているんですね?
はい、私がもともと雑貨が大好きなんです。「お灸は体にいいからみんなしてね」と思うんですが、お灸のイメージ…(笑)私ならどう受け取りたいかなと思ったときに、楽しいもの、かわいいもの、いつもそばに置きたいもの、というイメージがいいなと思って。可愛くて使いやすいものならお気に入りの文房具のように常に使うようになってもらえる気がしました。缶のふたは、燃したお灸のごみ置きになりますし、便利で可愛くてそばに置きたいものは何だろうと考え、このおきゅう缶になったんです。
ーー本当にとても可愛くてそばに置きたくなりますね。
そばに置いていつもお灸をしてもらえるようになる。お灸は継続するとすごく効果を実感できるので、続けていただけるためのグッズとして作りました。
鍼灸師さんたちにもとても気に入っていただいたので、今ではおきゅう缶に入っていた「Takenaka」の名前を抜いて、どの鍼灸院でもお使いいただけるようにしました。鍼灸師の先生がご自身の患者さんにセルフケアをオススメしやすくなったと喜んでいただいています。
セルフケアができる人が増えればそれだけ体調の整う人が増え、笑顔の人が多くなるのでとても嬉しいことだなと思っています。
自分へのお灸は、鍼灸師だけではなくて、ご家庭で自分でもできるものです。
鍼灸治療に来てくださっている方へも、治療効果の継続や身体づくりにご家庭でのお灸をオススメしています。
ーー「全国地域すこやかお灸協会」の代表もされていらっしゃるとのことですがどのような活動をされているのでしょうか?
はい、全国から50名以上の鍼灸師の先生が所属してくださっていて、このおきゅう缶を使って各地でお灸を広める活動を一緒にしています。
便利なお灸を知ってただく活動を、鍼灸師自身も楽しみながら、一人一人の力は限られていますが、力を合わせるメリットを活かしてもっと多くの方に届けたい想いで活動しています。
ーー全国に仲間がいるというのはとても心強いですね。それでは最後の質問をさせていただきます!これから小児はりをどのようにしていきたいとお考えですか?
まずは、「小児はり」をもっと知ってもらいたいです。どなたにも子育ての選択肢に「小児はり」を持ってもらうようになると、もっと楽に、もっと楽しく子育てをしてもらえるのではと考えています。
小児はりにこだわらず、選択肢は多い方が子育ては楽になると思っているので、現在病院やお薬が少なくお困りの方に、選択肢の一つとして届けたいです。
さらに個人的には、生き生きとご自身の人生を楽しむお母さんが増えると嬉しいです。「子どものために我慢」「私は後回し」にしなくちゃいけない、と思っていたり、ご自身の人生をストップしているお母さんもいらっしゃいます。
もちろんそれ自体は悪いことではないのですが、そんな状況に不都合を感じたときに、子どもは子ども、お母さんはお母さんの人生を大切に生きることもできるお手伝いがきればいいなと思います。
ーー本日は本当にありがとうございました。
木村先生が小児はりと真剣に向き合っている姿がとても印象的でした。竹中鍼灸室が子育てママの心強い応援サポーターであるとともに、子どももママもみんなが小児はりを通して輝く人生を送って欲しい!と願う木村先生の気持ちがひしひしと伝わってきました。
改めてInstagramを拝見しましたが、子どもたちと先生の笑顔の花が咲いていますね。ひとりでも多くの人に小児はりとの出会いがありますように。
《ライター・えみりー》
●木村靖子先生プロフィール
鍼灸師 あんまマッサージ指圧師
小児はり師 ✣ NLPマスタープラクティショナー
全国地域すこやかお灸協会代表
日本小児はり学会の正会員
●竹中鍼灸室
アトピー、夜泣き、かんしゃく…様々なお子さんの症状にお困りのお母さ んのための優しい小児はりと、女性鍼灸治療の母と娘の鍼灸室。
阪急吹田駅約10分 . 江坂駅約20分
大阪府 子育て応援「協賛店」
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