がん告知 ~ 入院 ~ 手術 ~そして(60) Three days in the I C U ③
【 Banh Mi 】
麻里「うぉ〜っ、いただきま〜す!
う〜〜〜ん、あれ、フランスパンに似てるけど、
なんかもっとサクサク?モチモチしてる。ふぅ〜〜ん。
ほんとの鶏のレバーペーストを… 大根とにんじんの生酢、
これ抜群だね!でも「それをパンに?」って最初不思議に
思ったけど発明だよ。もうベトナムの人のアレンジ力が
凄いってことなのかなぁ…。」
有木野「…さっきから俺に話してます?」
麻里「アリキ〜ノ 一択だよ!
でもほんと、人も食文化も国の境を行ったり来たり
してきたんだよねぇ。
たどり着いた場所で生まれ変わったりしながら。
ふふん、なんか凄いよね、ありがたい!」
有木野「…じゃぁ いただきます」
2022年【 1月15日(土) ICU3日目 】
酸素吸入はしているが息が苦しい
いや、息が苦しいというより呼吸するたびに
胸が…いや、体の中だから“肺”が痛い
肺が絞めつけられるような鈍い痛みが走るので
浅い呼吸しかできない
そのために息苦しく感じている
背中は常に鈍痛が走っている
鎮痛剤を注入すると暫くは痛みが薄れる
それでつい鎮痛剤注入のボタンを押してしまう
一晩で薬剤が空になってしまった
朝がた看護師さんに代えてほしいと依頼したが
薬剤の追加の判断と切り替え作業は
医師しかできないとのことで
担当医に話をしておくと言われた
背中が痛い・・・
午前中にまた看護師が2名ベッドサイドにきて
「では今日も少し歩いてみましょうかぁ~
今日は2周できるかなぁ…」と言った
(2周?いま2周って言った?・・・)
背中は痛い、息も苦しい、咳すら満足にできない
水も飲ませてもらえてないのに2周歩くの?
(お願い、ちょっと待って・・・)
本日もまた両脇を支えられて上体を起こされた
歩くためには点滴スタンドを掴み下半身に力を入れて
足を交互に進めていかなければならない
しかし腰は痛い、背中は鈍痛、胸は苦しいで
なかなか足が前に出て行かない
10歩進んでは休憩 2周の道程は遠い
「順調ですよぉ、もう1周終わりますよぉ」
「はいゆっくり、上体をおこしていきましょう」
もうなんか“アンヨは上手!アンヨは上手!”の世界
「はい、それじゃぁベッドに戻りましょう」
(やっと横になれる)
「血中酸素濃度も安定しているので酸素吸入は外しますね」
ひとつチューブが減った なんかうれしい
「担当医の判断になりますが、今の状態からすると
明日あたりに一般病棟に戻れるかもしれないですね」
(やった、ここから抜け出せる!)
肉体的にはしんどいがうれしい!
今はとにかく口から水が飲みたい
【 東京サラダボウル ep3】