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がん告知 ~ 入院 ~ 手術 ~そして(59) Three days in the I C U ②

【 サラダボウル 】

“サラダボウル(Salad Bowl)”は多文化主義社会を指すスラング
文化や伝統、価値観、言語、個性の違いが尊重され
優劣や支配従属関係がない社会を意味する
代表的なサラダボウル国家はカナダ、シンガポール、豪州等だ
メルティング ポット(Melting Pot)”と呼ばれていた米国は
1960年代の公民権運動の高まりを機会に“サラダボウル”という
表現を多く使われるようになってきた
アメリカ”という一つの枠の中で、それぞれの民族の習慣や価値観を
尊重して共生しようとしているが、はたして・・・

2022年【 1月14日(金) ICU2日目 】

午前中に看護師が2名ベッドサイドにきて
「ではちょっと歩いてみましょうかぁ~」と言った
 (何かの間違いでは・・・)
まじめにそう思った 食道全摘手術受けてまだ2日目だよ?
痛くて咳もできず寝返りをうつのもしんどいのに歩く?
 (ちょっと待って待って・・・)
と抵抗する間もなく両脇を支えられて上体を起こされた
手術痕と思われる体の中が痛い!
呼吸の際に左の肺のあたりが突っ張るようで苦しい
「はい、ゆっくり足を下げてサンダルを履きましょう~」
点滴スタンドに点滴バッグ2つ、点滴チューブが右腕に1本
お腹から3本のチューブがドレーンバッグに繋がっている
それに加えて心電図用の電極にパルスオキシメーター
そして酸素吸入用のボンベ
イメージは空挺団のフル装備というような姿だ

「はい、ではゆっくり歩いてみましょう」
「今日は向こうのドアまで歩いて行って廊下に出て
 こちらのドアから入って1周だけしてみましょう」
 (1周で十分だよ!廊下で倒れるかも・・・)
そろそろと歩く いやそろそろとしか歩けない
身体も痛いが、それより息が苦しい!
 (えっ、なんでこんなに息が苦しいの?)
身体が痛いからか息が苦しいからか
上半身が前のめりになってしまう
「はい、ゆっくりでいいですよぉ、焦らないでねぇ」
 (焦ってない、ゆっくりしか進めない!)
痛い!苦しい!痛い!苦しい!
「はぁの、しょっと止まってひぃですはぁ…?」
「あぁ、休憩でいいですよぉ、無理しないで止まりましょう」
 (なんでこの距離がさくさく歩けないんだ…)
初めて手術のダメージを実感した
開腹手術ではなかったけど食道全摘手術というのは
言われてた通り“大手術”だったんだとしみじみ感じた

なんとかICUの中と外の廊下を1周してベッドに戻った
ベッドに横になるのも一苦労
看護師さん2名の補助でやっと横になれた
自分の置かれている状況が実感できた20分間だった

ドレーンに引っぱる胸水や尿の匂い
点滴が外れて漏れ出る血液の匂い
痰、汗、脂など、あらゆる動物の匂いが
澱み入り混じっている
これが病人だ

【 東京サラダボウル ep2】

スリランカ料理:フィッシュロール
スリランカのプリン:ワタラッパン

『東京サラダボウル』(NHK総合 毎週火曜 夜10:00〜)
を楽しみにしている
来日している様々な外国籍の人たちが係る事件に向き合う
女性刑事鴻田麻里(奈緒)と元警察官の通訳人有木野了(松田龍平)の
目線で異国で生きる人々の葛藤に出会っていくドラマだ

このドラマのオブリガート(Obbligato)として
エスニック料理(ethnic cuisine)が登場する
それを主人公の鴻田麻里が良く食べる!
その食べっぷりがいい。見ていて気持ちいい!
食道がんの手術で食道を全摘してからは
短時間にたくさん食べることができなくなった
抗がん剤の副作用の味覚障害はなくなり
美味しくは食べられるようになったが
以前みたいにのど越しを楽しむような
食べ方、飲み方はさっぱりできなくなった
少量をよく噛んでゆっくりと飲み込む
そうしないと誤嚥を起こして酷く咳き込む
沢山飲み込むと胸につかえて苦しくなる
それに一気に食べると腸が刺激されて
“ダンピング症状”を起こして即下痢になる
食いしん坊としてはちょっとツライ
でも美味しそうに食べている人を見ると
こちらも同じ気持ちになれる
このドラマで“鴻田麻里”がパクパク食べるシーンは
そう言う意味と異国の料理を知ることができると
いう点でとても楽しみにしている
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※あれもこれも食べたくなるとこれを思い出す
「先生、お汁粉はダメよ。それと鴨南と天ぷらそばも駄目よ。
 このあいだもそれで倒れたでしょ?いい子にするのよ!
 じゃあたし銀行に行ってくるからね。ショーヘイ、行きましょ」
          (「タンポポ(1985)」の蕎麦屋のシーン)
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多文化が共存する“サラダボウル”になりつつある日本
“ヤムウンセン”か“ゴイバップカイ”か“バージャネマスト”か…
食わず嫌いにならないようにしたいものだ
地元埼玉県南部はすでに“サラダボウル”なので

ハノイ “1946” の名物『カニ鍋』です


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