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Netflix 白と黒のスプーン ~料理階級戦争~は“料理の鉄人か”or“イカゲーム”か料理っておもしろい!
【 古の料理の鉄人 】
思い起こせば31年前、変なマントを身に着けた
怪しいおじさんが『Allez cuisine!』と叫んで
料理を始めるテレビ番組があった
![](https://assets.st-note.com/img/1730382613-ZYaAGJMsDORwyoT7SVik8Cuj.jpg?width=1200)
“美食アカデミー”所属の料理人を“鉄人"と称して
洋食・中華・和食の三人の鉄人から
挑戦者が一人を指名して対決するという設定だ
指定されたテーマ食材を惜しげもなく使い
用意されたピカピカの調理台と調理器具
それに自前の調理道具や調味料などを駆使して
制限時間内に料理を作り、審査員が優劣を判定する
それまでは無かった面白いプログラムだった
【 (“料理の鉄人”+“イカゲーム”+“バトル・ロワイヤル”)÷3】
時を経てこの2024年9月にNetflixから“Culinary Class Wars”
邦題『白と黒のスプーン〜料理階級戦争〜』という
韓国のリアル料理コンテストがリリースされました
料理を作る人はもちろん、食べることが好きな人も
ぜひ見ていただきたいリアリティ料理対決番組です
登場人物は出自は違っていますが皆現役の料理人100人
各ラウンドで異なる課題の料理を作り審査員がこれを試食し
合格または脱落を決めます
最終的に参加者が1人になるまで排除されるというもの
20名の経験豊富なエリートシェフと80名の新進気鋭の料理人を
対決させるやり方やステージの作り方は「料理の鉄人」的であり
料理人のサバイバルのさせ方は個人戦あり、団体戦ありで
まさに「イカゲーム」のそれを彷彿とさせます
テーマに沿ってシェフたちが作る料理はそのコンセプトが面白く
またそれを判定する側の評価内容にも唸らされるものがあります
【 料理とは何か? 】
この番組に参加しているシェフたちは
なぜこの道に入ったのかやどういう気持ちで
店を営んでいるのかをモノローグ的に語ります
無名の黒スプーンシェフだけでなく
すでに名を成している白スプーンのベテランシェフも
若い頃の苦労や経験を重ねてきた故の悩みを抱えています
勝ち残っていく者もそれぞれ悩みや弱みを抱えている
負けを宣告されたシェフは残念な気持ちはありますが
判定には文句を言わず素直に指摘された部分を認めます
「とてもいい経験をした」「戻ってから活かしたい」
皆そういって会場をあとにしていく姿がいじらしい
調理工程や判定を見ていて改めて思ったのは
「料理に正解はない」ということと
「料理は記憶だ」ということです
正解がないのでその時の状況に合わせて
MoreBetter な料理を知恵をしぼって調理する
そのMoreBetterを決めるため過去に培った
味や食感、香りやのど越しなどの記憶を辿って
レシピを選択していくのだろ
そのレシピは常に磨かれアップデートされており
そこに新たな“チャレンジ”という素材を加えて
まったく違った姿の料理を具現化させていく
料理という行為はまさに“creative”だ
そう考えると子供の頃の食事体験がのちの人生において
どれほど重要かは言うまでもありません
“食育”などと大上段に構えずとも日々の家庭での食事で
できれば家族そろって、それが難しければ週に1度は
2人以上での食事機会を意識的に設けて
簡単で構わないので手作りの料理を一緒に食べるという
経験を子供達にはさせてほしいなと思います
それは何物にも代えがたい経験になるはずですので
【 味覚に変調をきたした時の絶望感 】
2021年10月に食道がんステージⅢと診断され即入院
食道亜全摘手術前に抗がん剤治療を3週間×3回受けた際に
抗がん剤の副作用だと思いますが味覚と嗅覚がおかしくなり
抗がん剤投与の2週間後から病院食がすべて「まずい!」と
感じるようになりました
この「まずい」というのは塩辛いとか甘すぎるとかいう
調理の仕方による味付けのまずさではなく
また固すぎ柔らかすぎという物理的なものでもありません
「この料理はこんな味」という記憶の味と実際に感じる味が
ずれていているのです
それも全く別の味になっているのではなく音楽で言えば
半音くらいずれている感じです
つまり口から吐き出してしまうほど不味くはありませんが
「美味しくない!」という状態でした
この状態は匂いも同様で、それまで気にならなかった
看護師さんのファンデーションの匂いや歯磨き粉の匂い、
ボディソープや洗顔ソープに匂いまで「鼻に付く」匂いと
感じるようになりました
入院中、食事と映画鑑賞だけが楽しみだったのに
それが逆に苦痛になり絶望感に包まれました
「退院してからもこの状態だったどうしよう…」
食べることが何より好きだったものですから
かなり深刻に考えてしまいました
ガンの治療そのものについては「なるようにしかならん」
と割り切っていましたがこの「味覚」については深刻に
考え込んでしまい食事のたびにイライラしていました
人間、美味しく食べることはとても大切です
こんな経験をしたので新型コロナウイルス感染症に罹って
味覚障害に陥った方の気持ちは手に取るようにわかります
少しずつでも元に戻ることをお祈りするばかりです
ちなみに私は退院後3か月くらいで味覚はかなり戻りました
現在は量は食べられませんが美味しく食べられるように
なっています
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