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FIFAランクよりも低い OECD加盟国中の名目GDP “納得の22位”

【 2024年12月24日  日経新聞  ヘッドライン 】

ホンダ・日産  統合協議  26年8月に持ち株会社  三菱自は来月末決断
東証元社員を告発  監視委  インサイダー関与疑い
遠のく赤字脱却  日本郵便、ヤマト訴訟発表
法案きょう成立  政治改革、政活費廃止など
開けたパンドラの箱  三菱UFJ銀  貸金庫から窃盗  多額の現金  見て見ぬふり

【 中外時評  日経  藤田和明上級論説委員の意見に納得  】

12月25日の日本経済新聞 朝刊 オピニオンの
「ホンダ・日産「26分の1」の挑戦者」
という記事がとても面白かった

【 時価総額が映し出すもの 】

“米テスラは26倍”
ホンダと日産の経営統合が実現すれば、販売台数で世界3位の大連合
しかし株式市場でみれば別の姿になる
23日の時価総額はホンダの6.7兆円、日産1.7兆円を足して8.4兆円
これに対しテスラは220兆円近くと圧倒的な規模・・・
時価総額では日本のトヨタ自動車が45兆円で追い、中国の比亜迪(BYD)が
17兆円に躍進してきた。次世代に挑む力を持たなければどんどん小さく
なる。ホンダ・日産が統合に駆られた危機感はそこにあるに違いない…

三菱自動車も忘れないで

時価総額とはある時点での企業の株式の価値を表す指標で株価と発行済株式数を掛けた値のことだ。ベースになる株価はその企業の価値、それも将来に向けての企業の成長を期待した価格だ。

 テスラは「SDV(ソフトウエア・デファインド・ビークル)」と呼ぶ自動車の未来図を描く。ハードの車体は標準化へ向かい、ソフトで差別化される。
競争力を左右するのは集積したデータの力でそこにテスラは年1兆円超の設備投資をつぎ込んでおり投資家はその未来図に期待しているということだ
 ちなみに米国の自動車アナリストは米ゼネラル・モーターズ(GM)のリポートを書かなくなったという声すらある。関心はひたすらテスラなのだ。

ホンダ単体ではテスラの7.5%…

【 世界から見た日本企業の立ち位置 】 

もう一つ意識しなければならないのは、ホンダの時価総額がカナダ企業から買収提案を受けたセブン&アイ・ホールディングスの6.3兆円とほぼ同じだということだ。業界トップが買収対象となった「セブン・ショック」で
日本はグローバルにみた自分たちの立ち位置を強烈に認識させられた
新たな柱となる事業への挑戦、大変化する世界情勢を踏まえたグローバル化デジタルを生かした高付加価値化、業界の再編など強い危機感で買収を模索する動きがM&Aを助言するバンカーに押し寄せている

【 新たに加わる2つのトレンド 】

①一つは資金力を増す投資ファンド 中国での投資機会を失い
 日本への参入を探る圧力が高まっている
②もう一つはトランプ次期米大統領の関税の引き上げ策
 (モリソン・フォースターのケン・シーゲル東京代表)

前者①は中国から逃げたマネーが日本に向けて急旋回する動き
後者②は“米国第一主義”への対応で米国で製造し販売する拠点を求めた
施策になる(トランプ次期大統領は就任初日にメキシコとカナダからの
全輸入品に25%の追加関税を課すと宣言したが日産はメキシコに生産工場を持っておりその影響が懸念される)

【 新たな弱肉強食の時代の到来】

米国内はトランプ氏再登板でなにやらウォール街が騒がしい
「アニマルスピリッツが解放される」
JPモルガンのジェイミー・ダイモン最高経営責任者はそう公言する
民主党政権は独占禁止法などを理由に大型のM&Aに何度も待ったをかけた
そうした姿勢が緩み、M&Aが活発になるとの読みがある

 M&Aの嵐が吹き荒れた米国の1980~90年代 屈指のバンカーだった
ブルース・ワッサースタイン氏は自著でこう書いている
企業がぐらついていると「獲物を狙う人びとが集まってくる」
 純資産を下回る株価、高齢CEO、弱い取締役会、抱え込んだ現金資産
明らかなコスト削減余地 こうした企業は買収の格好の標的になる
「動きを止めた獲物を仕留めるのはわけないことだ」
条件はことごとく日本企業の積年の課題に当てはまる

 買収後の経営も当然問われる
欲しいものを手に入れるだけではない
「事業として潜在力を生かしきって
自社の変革に逆輸入することまでして初めて意味を成す
 (ボストン・コンサルティング・グループの加来一郎氏)

まさにこれがM&Aの『肝』なのだろう

【 シュレディンガーの予言 】

“秩序は守られるために絶え間なく壊されなければならない”
ーーーエントロピー増大の法則は容赦なく生体を構成する成分に降りかかる。高分子は酸化され分断される。集合体は離散し、反応は乱れる。タンパク質は損傷をうけ変性する。しかも、もし、やがては崩壊する構成成分をあえて先回りして分解し、このような乱雑さが蓄積する速度よりも早く、常に再構築を行うことができれば、結果的にその仕組みは、増大するエントロピーを系の外部に捨てていることになる。
つまり、エントロピー増大の法則に抗う唯一の方法は、システムの耐久性と構造を強化することではなく、むしろその仕組み自体を流れの中に置くことなのである。つまり流れこそが、生物の内部に必然的に発生するエントロピーを排出する機能を担っていることになるのだ。
『生命とは動的平衡にある流れである』
 (生物と無生物のあいだ  166頁  福岡伸一著)

世界の市場からみれば日本企業は小さくなったのだ
ホンダと日産の経営統合もテスラの“26分の1”をスタート地点とする
挑戦者の立場だがまだどこかトップ企業気分から抜けきれていない
のではないか
先日、国別の一人当たり名目GDPでOECD加盟国中日本は22位で
韓国にも抜かれたとの報道があったが納得の順位だ
経済も政治も国民の意識も昭和30~40年代から変わっていない
高度成長期の仕組みや経験から抜け出せず令和の時代に突入している
日本と言う国家の中のエントロピーが増大し、組織体は離散し、乱れ、
国民の生活は損傷を受け変性し、社会そのものが崩壊寸前となっている
それでも既得権益にしがみつき仕組み自体を流れの中に置くことを
をしようとせずむしろ頑なに守ろうとしている
とうの昔から存在している数々の問題・課題が顕在化してきた
“少子化” “超高齢化” “人口減少” “生産年齢人口の激減” “絶滅集落の増大”
“インフラ設備の老朽化” “自然災害の激増” “政府債務の爆増” “円安”
“プッシュ型インフレ” “周辺地域の不安定化” “凶悪犯罪の増加”etc

2025年に向けて優先順位を決めて本当に問題解決をしようという
“覚悟”が為政者はもちろん国民にもできるのか
私たちは自己分解して乱雑さが蓄積するより早く再構築することは
できるのだろうか・・・?

【 覚悟:かくご】
危険なこと、不利なこと、困難なことを予想して
 それを受けとめる心構えをすること
仏語:迷いを脱し、真理を悟ること
来るべきつらい事態を避けられないものとしてあきらめること
 観念すること

クリスマスですね

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