まえがき:全てが嘘に変わった
「地元に戻って働くことで、地域に貢献したいと思ってる」
「結婚するあては特にないけど、子育てするなら地元の方がいいと思ってるから今のうちに戻ろうかなって」
「今の仕事に就けて本当によかったよ」
「3連休なんか私にはいらない」
「ワーカホリックだから」
「あの人のことはもうとっくに諦めたよ」
「結婚は当分いいかな」
どれもこれもぜんぶ、そのときの私が思っていたことだった。
ところが、状況は変わった。
8月某日。それは、私の31歳の誕生日。
この日の朝、涙が止まらなくなり、会社に行くのもままならなくなった。
自分に何が起きているのかも分からず、錯乱状態。
ようやく落ち着いた1週間後には前向きにとらえていた物事がすべて嘘に変わっていた。
私は、「心身疲労状態」という診断で休職することになったのだ。
かつて「地元に戻って働くことで、地域に貢献したいと思ってる」と思った私は今、地域貢献?そんなキレイゴト。と思っている。
休職が決まった後の私はこうだ。
子育て云々言う前に相手もいない。むしろ私の子宮は不調が多く、子どもができるかも怪しい。今の仕事に就いたから、心を病んだ。3連休を放棄してまで働く理由がどこにある。ワーカホリックの言葉の意味を誤っていた。ワーカホリックは仕事大好き人間のことではない。結局「病的」なのだ。落ち込めば落ち込むほど、あの人に助けてほしいと願う。(ただ願うだけ)なんなら私を救ってくれる人とすぐにでも結婚して家庭に入りたい。いや、家庭に入るという理由で職歴に傷を付けたくない…
もう今までの嘘には限界がある。
三十路も越えたんだ、いい加減勘弁してくれ。
私の脳が左下腹部に刺激を与えて、言いたい事を言うようになったのである。
そうか、言いたいことを言わなかった。
考えたいことを、考えなかった。
書きたいことを、書かなかった。
歌いたいのに、歌わなかった。
だから私は、ここにいるのだ。
これは、生き方、考え方、働き方を見直すことを決めた女のエッセイ。