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「食べられるバラ」の栽培に成功しバラの可能性とともに農業界、人生を輝かせる、ROSE LABO 田中 綾華さん

ROSE LABO代表、田中 綾華さん(26歳)は、バラ専門の農家として農薬不使用の食べられるバラの栽培に成功。最も注目される若手女性起業家です。自分の行動一つ一つが自分の人生をつくる。小さい時に愛を持って情熱を持って、そのことを伝えてくれた曾祖母への思いとともに、自ら選択していく人生に変化させてきた田中さんのお話をお聞きしました。

出身地:東京都練馬区
経歴:
1993年生まれ
ROSELABO株式会社 代表取締役
農林水産省 農業女子プロジェクトメンバー
座右の銘:
自分の人生は自分が主役
曾祖母の言葉です。全ては自分の行動であり考え方1つで未来が変わっていく。他人の人生を歩んでいた自分にとっては支えとなる言葉でもありました。

みんなが観たいと思う人生でありたい

記者:今後の夢やビジョンは何ですか?

田中 綾華さん(以下 田中、敬称略):会社の軸と個人の軸とで別れています。

個人の軸から話していくと、これはあくまでも空想の話ですが、皆さん死んだら天国に行きます。そこにはDVD屋さんがあって、死んだ方全員の人生のDVDが置いてあるんです。自分のDVDは、みんなが見たいものであり興味を持ってもらいたい。何かを成し遂げたいと思っているので、いつも貸し出し中となっている、というのが夢というか目標になっています。

会社は2つの軸です。
農業界にイノベーションを起こすことと、持続可能な農業を実現していき、私たちの背中を見て次世代が育ち、農業界に若い世代が増えていくことです。

農家さんは儲からないところがほとんどで、つらい、朝早い、休みがないなど、ネガティブな印象が付いているのが現状です。持続可能な農業というのは、農家が儲かる仕事を農家自身が作っていくこと、農家が原価管理して、いくらで売れば赤字にならない経営ができていくのかということです。その農家自体のマインドアップを図っていきたいと思っています。

あともう1つは、農業と女性の枠で言うと、会社としてはこの食べられるバラを使って、女性の内外を輝かせることを目標にしています。

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起業したからこそ見えてくるもの、常に何を意識するのか

記者:そのための目標や計画は何かありますか?

田中 :次世代を増やしていくという観点では、私も東京育ちで、家族には農家もいません。正直、農業は遠い世界と勝手に思っていました。

だったら小さい頃に、将来どうしよう進学どうしよう、という時期に農業の魅力を伝える講演をしていこうと思いました。来年からは先生としてそれをやっていく予定です。

若い世代であれば、職業の選択肢の1つとして農業を早い段階で取り入れてもらえるかもしれないと思いました。

農家に対しても、農業の講演であったり、農家向けのセミナーなど、今構想しているところです。

農業の市場では、輸入品が入ってきて自給率がどんどん下がってきています。世界と戦わないといけない農業になってきている中で、自分に何ができるのか、日本の農家は何ができるか、ということを常々考えています。

また常に自分だけではなく、マーケットのこと、社会性、どのように時代が流れていき、何が足りないのか、というのを常に意識しながら生活するようになりました。

起業しなかったら、きっと思わなかっただろうなとすごく感じています。

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お客様との触れ合いを一番大切に

記者:現在やっていることは何ですか?

田中:私の業務内容でいうと、栽培、商品開発、営業、各部署の統括、経営サイド、資金調達などすべて行っています。

具体的な活動については、講演の軸ですとワークショップを月1回やらせていただいています。お客様がどういう状態なのかというデータが欲しかったのもあったので、ファンミーティングをするようになりました。

農家は、お客様と直接触れ合えることがなかなかないんですね。なので、私たちはそれを先走って実行し、どんどん行ったことをシェアしていきたいと思っています。実際、お客様に入っていただくことでダイレクトな意見も聞け、しっかりとしたマーケティングができると思っています。

また、直営店で並んでいるショップ、自社の通販ECサイトにも注力をしているところです。

経営者が商品開発をしていると思い入れが強くなっていきます。自分の判断軸だけで考えがちになるので、そこは引っ張られないように、しっかりとお客様の意見を取り入れて、本当にいいものを作りたいと思っています。

なのでお客様との触れ合いを一番大切にしています。

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自分のやりたい事を仕事にしたい

記者:今のご活動のきっかけは何ですか?そこには、どんな気づきや発見がありましたか?

田中将来の人生に悩んでいた時、好きなことを仕事にはしたいという思いがありました。

そして、体もしっかり動く健康寿命でいかに過ごすことが大事だと思ったんですね。健康寿命のことを考え、一日を円グラフで表したら「ほぼ仕事じゃん…!」というのがわかりました。

そして、たまたま母が食べられるバラがあるということを知り、それを初めて聞いた私は単純にわくわくしたんですね。バラにはまだたくさんの可能性が秘められているのではないかと思ったからです。

ひいお祖母さんの影響で、生まれた時からバラが側にありました。その時からバラが好きで、好きなことにずっと悩んでいましたが、身近にあったバラにたどり着くことができました。

そして、バラを栽培をしたいという思いが生まれました。自分が出社して、ビニールハウスの扉を開いたら自分の好きなバラがたくさんある。自分の好きな香りに包まれて、一日の作業ができると思うと、バラの栽培をしたいと思い大学を中退し農家に入りました。

正直、起業する気持ちはまったくありませんでした。でも、バラ農家で基礎的な知識を学ばせてもらい、バラの花びらには、美容や健康にいい栄養成分が入っていることを知って、バラ好きとしては、たくさんの人にバラの魅力を伝えたいと思いました。

SNSを使ってバラの魅力を発信していこうと思い、その農家さんも予算がなかったので「SNSであればいくらでも無料で、いくらでも拡散できるのでやっていきませんか?」と提案しました。ですが「ばかもん、ちゃらちゃらしたもんは一切やらん!」と返されてしまいました。

私は、このままバラの可能性を終わらせたくないと思いました。この魅力を自分だけで独占しておくのはもったいないと思って「やってくれないなら、私がやります!」と起業に至りました。

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自ら人生を設計していく生き方へ

記者:今のご活動をする前と後で、どんな変化がありましたか?現在の田中さんが生まれたその背景とは。

田中一言でいうと、他人の人生を歩んできたのが昔の自分で、自分の人生を自分で歩んでいるのが今の自分です。

小さい頃の私は、夢や目標はありませんでした。趣味や特技もなくて、SNS世代というのもあり、匿名の誰かに叩かれるのも嫌でしたし、思春期の頃はそれに傷ついていました。なるべく自分という個性や意思というのは捨てて、他人に同調することが、世の中をうまく切り盛りできる術であったと思います。

基本的には何もかも他人に決めてもらっていましたし、友だちとどこかに行く時も友だちに合わせて「どこに行きたい?」と言われても「どこでもいい」という感じで返答していました。もともと行きたいところがあっても、食べたいものがあっても我慢していたんです。

大学に入ってみたら、地方からわざわざ東京に来て一人暮らしをし、夢や目標を持っているメンバーが一気に増えました。大学では自分でコマを選んだり、計画を立てなくてはいけない。今まで自分で決めることを放棄していたので、選択や決断をすることが難しかったんですね。

当時は、周りの同級生に対して劣等感をすごく感じていて「なんでこの子たちは、夢や目標、特技もあって、それにしっかりと意見を伝える強さがあるんだろう?」と思いました。私はあったとしても恥ずかしさで言えなかった。そうしたらだんだん病んでいき「自分の人生って何だろう?」「自分の幸せって何だろう?」というように思っていきました。誰の人生を生きているのだろう?と。自分で決めてきたことは少なかったなと思いました。そこで「自分の人生とは?」いう議題にぶつかり「自分が幸せって何だろう?」というところにたどり着けました。

大学を退学すると決めたのは、もちろんバラ農家になりたい、農業というのはなるべく早くはじめないと経験が命という理由もあるのですが、この大学中退を機に「第二の人生を生きる、自分の人生を生き直そう!」と決意をしたタイミングでもありました。

今では、会社を経営する毎日が決断の連続です。しっかりと自分で決断し、自分の人生を生ききれていると常々感じています。意思を持って何もかも決めていくことで、自分に対する責任感も会社を運営するという部分での責任感も芽生え、自分の人生設定をしっかりと歩めるようになっていったことが大きいです。

記者:最後に読者にメッセージをお願いします。

田中みんな幸せになるために生まれて生きていると思っています。だから皆さんにも幸せの追求をして欲しい。そして皆さんのことを応援したいと思っています。

そして農業は可能性をまだまだ秘めています。普段スーパーなどで手に取る野菜はどこの作物なのか、少しでも意識してもらえれば、業界自体ももっと変わっていくと思っています。

記者:本日は貴重なお時間をいただきありがとうございました。

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田中 綾華さんの情報
ROSE LABO(ローズラボ) Facebook

ROSE LABO(ローズラボ) Instagram

ROSE LABO(ローズラボ) WEBサイト

農業女子プロジェクト

https://nougyoujoshi.maff.go.jp/

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編集後記
今回、インタビューの記者を担当した、三笠、小田原、宮崎(写真撮影)です。

インタビュー後には、日本と世界の農業の違い、特性などを語っていただき、何を強みにして世界との競争社会から、共創社会にしていくのかの熱い思いを伝えていただきました。

日本の農業の良さは、四季に合わせた農作物が栽培できることが強みであり、日本人がどこの農家の人よりも真面目で繊細で勤勉だからこそいい物が作れること。日本の感性とこだわりで、付加価値を売っていくことが世界との共創であり、そこに目を向けていらっしゃるのは印象的でとても共感を覚えました。

このような意思を持った若い世代の起業家がいらっしゃると未来にも希望が生まれていくと思いました。益々のご活躍を応援しています。

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この記事はリライズ・ニュースマガジン”美しい時代を創る人達”にも掲載されています。


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