ぼろアパート物語「第1夜」
今は昔。かつてmixi(なつかし~)で好評だった日記です。
私が学生時代に住んでいた「ぼろアパート」。
お金もキャリアも何もないが、泥臭い人間関係と青臭い夢はあった。
きっとあなたにもそんな思い出があるはず。
そこでの変な人たちとの日常です。
(第1夜)
「めぞん一刻」や「風が強く吹いている」(三浦しをん著)などで、ぼろアパートに住む住民たちの日常が描かれている。
私も経験者だ。
あのぼろぼろアパートで「恐怖のゴミ屋敷事件」「なめくじ&がまガエル事件」「毎晩震度2 事件」「怪我人救出事件」など、数々の物語があった。
今日、何気なく洗濯をしていたら突然そのときのことを思い出して、可笑しくなってしまった。
今から数十年前の1月14日、私は雪降りしきる東京にいた。
数日前に留学先から帰国し、大学の最後の1 年を過ごすために、友人から「格安だから~」と紹介されたアパートにスーツケースを引きづりながら向っていた。
メモを頼りに着いた先には、ぼろアパート。
しかし、「雨風しのげれば OK 」「お風呂トイレも共同でOK」な私にとってはまったく問題がなかった。
持ち物がなさすぎて、最初の数日はコートに包まって床で寝たり、みかん箱をテーブルにしてご飯を食べたりしていたが、あまり苦にならなかった。
私をそんじょそこらのレディーと一緒にしないでいただきたい。
私はこれまで何度も引越しし、それぞれの場所で忘れられない思い出(良いも悪いも)あるのだが、このアパートはちょっと群を抜いている。
このアパートでの2年弱の生活の物語です。
恐怖のゴミ屋敷事件 103号室
ゴンゴン。
大家さん「ちょっと~emimaru(私の名前)さん!大変なの!!」
私「どうしました?」
大家さん「103号室の△△さんなんだけど、中で死んでいるかもしれな
いのよ!私怖くて怖くて!!」
え~~~!!それは、私じゃなくて警察に・・・
っていうか、私も怖いんですけど。
とりあえず103号室に向う大家さんと私。
ニ件隣の部屋だ。
コンコン
ドアを叩く私。
・・・・・・・・
コンコン
・・・・・・・
ゴンゴンっ
・・・・・・
私「いませんね・・・」
ガチャガチャ
私「あ・・・開いてる!!」
大家さん「そうなのよ!鍵が開いているのよ!」
・・・・・
私「とりあえず入ってみましょう」
ドキドキ
恐る恐る入る私。その後ろでビビッている大家さん。
暗い。
それに足の踏み場もない。
見渡す限りのゴミゴミゴミ。
強盗が入ってもこんなに汚くはならない。
大家さん「ほら!あそこの布団ちょっとふくらんでいるでしょ。」
え!!まさか・・・・
・・・・・ゴクリ。
私「えい!!」バサっ
・・・・・・・・・・・・
私「あ、ただ服が重なっていただけですね。」ホッ。
大家さん曰く、生ゴミをゴミの日に出さないで、部屋の前に溜め込んでおり、それが窓から見えたので、気になっていたそう。
さらに下着を道路から丸見えの場所に干すのでとりあえず回収したが、防犯上良くないので注意したいとのことだった。
私より2歳年下の女の子だ。
私「その洗濯した下着とか、私が預かります。
ドアにメモを挟んで、私の部屋に取りに来るよう伝えますね。」
彼女とやっと会えたのは、なんと2週間後。
洗濯物を渡したついでに、私の部屋でご飯を振舞った。
私「ところで、普段はどうしているの?学校には行けているの?」
103号室の彼女「う~~~~ん、ほどんど行っていません。」
私「行けない理由とかあるのかな?」
103「う~~~~~ん、なんとなく・・・・」
何を聞いてもそんな感じだったので、とりあえず誰もが見られる道路付近に下着を干さないようには伝えた。
あと、外出するときは鍵をかけるように。
お風呂にヤツ登場
私の部屋は、1階の角部屋だった。
お風呂は共同で、私の部屋の隣がお風呂だった。
よく虫が出現した。
クモやアリはあたりまえ。
ナメクジが出た事もあった。
夜中に風呂場から「ぎゃーーーー!!」という女性の叫びが時々聞こえたが、それはナメクジのせいだろう。
さらに、風呂場から部屋に戻るには一旦外に出るのだが、外に出たとろに、巨大ガマガエルが出現したこともあった。
夜中にドアをゴンゴンノックされたので出てみたら、住人の女の子たちがガマガエルを囲んでキャーキャー言っていた。
東京にこんなデカいカエルがいるんだ・・・
どうでもいいから寝せて欲しい。
何せ私は朝6時からバイトなのだ。
しかしこんなものは序の口だった。
(第2夜へ続く)