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私が家守になるということ
はじめに
2020年から多拠点生活プラットフォームADDressの会員になって3年、日本中をホッピングしていましたが、2023年9月から東京の拠点の家守をすることにしました。
今日は、家守を始めることになった経緯や、理由などを書こうと思います。
きっかけは、引越
私は東京の二子玉川に拠点(ADDressの専用ベッド)を契約しながら、全国で多拠点生活をしていたのですが、事情により、その家を退去することになりました。
3年間の多拠点生活はとても楽しかったけれど、久しぶりに定住してみるのも楽しいのではないか、自分の好きなものに囲まれて暮らす生活を再び始めてみるのはどうかと考えて、荒川区にあるとても素敵な場所に引っ越しを決めました。
その場所のことはまたいつか書こうと思います。
定住がはじまって気づいたこと
久しぶりの定住、とても素敵な家、便利な立地(二子玉川の時は駅が遠かった)、よい選択だと思ったし、特に問題はなかったけれど、意識のずっと下の方で、「何かが足りない」という感覚が潜んでいたのだと思います。
ある日、近所に住んでいるADDress会員さんが遊びに来て、彼女の将来の夢をいろいろ聞いていた時に(彼女は将来家守とか、ゲストハウスとか、何か、「場」を作りたいそう)、私の心の奥底で、何かが反応したのだと思いました。
あ、私は、今の生活に自分は満足していないんだと。
足りないもの、とは何か?
大きな不満があるわけではない。でも、やっぱり何かが足りないんだ。それは、うまくは言えないけれど、「居心地」とでもいうのだろうか・・。
私の意味する「居心地」を言語化すれば、それは、心地よい適度な刺激と、心地よい人との関係性、ということなのかもしれません。ADDressにはそれがある。そして今の生活にはそれが足りないんだ、と少し、自分の気持ちが明確になりました。
その時、家守募集を募集している物件を見る視点がちょっと変わりました。
ずっとやりたくなかった家守
会員としてADDressを楽しんでいる3年の間に、多くの人から「家守には興味ないですか?」と聞かれましたが、そのたびに「ない」と自信をもって返事をしていました。
私は、家事が苦手だし、人をもてなすこともそんなに好きじゃない。地域の人とつながって何かしたい気持ちがあるわけでもない。となれば家守になる意味はありません。
私が出会った多くの家守さんは魅力的な人が多かった。
優しかったし、色んな刺激をくれたし、あとは「丁寧な生活」や「地球や身体に優しい生活」を実践している人も多く、素敵な趣味を持っている人もたくさんいる。私はそういうことに憧れはしても、結局は強い興味を持てずに日々を過ごしているので、そういう魅力的な人たちと私は違う、とも思っていました。
じゃあ一体なぜ家守になったのか?
家守になったら、今の生活の中で足りないと思っているものが手に入るのかもしれない、漠然とそう思ったら、家守になることは私にとって、とてもいいことなんじゃないかと思えてきました。長くなりますが、その理由を明確にしておきたいと思います。
家守になった理由その1.家事を(少しだけ)上手にできるようになろうと決めた
私は小さい頃から家庭で「おてつだい」を全然してきませんでした。家事のほとんどは母が担っており、たまに用事を言いつけられても、結局はできず、やらずに、なんでも母任せ。
大人になって一人で生活するようになってからは、キッチンや、バス、トイレの掃除は、プロの人に頼んでいました。またバスルームの掃除をするのが面倒なので、ほとんどスポーツジムでお風呂に入っていました。料理も全然しなかったので、キッチンもきれいでした。
洗濯機を回し、掃除機をかけるくらい、が私の家事全般でした。
家事をすることに時間を使うなら、仕事ができるようになることに時間を使いたい、そう強く思っていて、お金を使って人にお願いできるなら、お金が稼げるようになる方がいいと信じていました。
なので、この年になって尚、ちゃんと家事をしてきていない私は、生活のなかでちゃんと家事ができるようになりたいと思ったのです。
家守になった理由その2. 居心地のいい家を(少しでもいいから)作れるようになりたいと思った
ADDressで生活するようになって、いろいろな家に住みました。そこで驚いたことは、古い家、設備の整っていない家でも、居心地のいい家があるということでした。住む人に大切にされている家は居心地がいい。温かい人たちに囲まれて暮らす生活は居心地がいい。
私は整った家には住んだことがあったけれど、仕事が忙しく、時間がなかった(ことを言い訳にして)ので、家を愛することはなく、ほとんど帰って寝るだけという生活を長く送っていました。他人がきれいにしてくれているので、家の中は清潔で、ちょっとの故障や不便があっても、お金を払えば、誰かがすぐに直してくれ、快適さが失われることはありません。そういう家に住むことが、「居心地がいい」ということだと思っていた私にとって、ADDressのいろいろな家で初めて知った「居心地の良さ」は衝撃でした。
私も自分の住む家を愛して、訪れる人が居心地がいいと思えるような家を作れるようになりたいと思ったのです。
私のモチベーションの方向性
私が何かを決める時は、自然に「自分のためになるか」がキーとなり、動機付けとなります。若いころは仕事ができる、給与や待遇をあげることになるかどうかが重要だったし、ここ5年くらいは、「人生100年時代」を自分が幸せに生きられるようにすることが私にとって大切です。
会員としてADDressを始めた3年前は、年を重ねた先の自分の生活を考えて「断捨離」と「他者との生活」をし、新しい体験をすることが自分に必要なのではないかと思い、荷物を整理し、専用ベッドで自分の娘と言ってもいい年齢の若い会員さんと同居の生活を始めました。
会社員しかしたことがなく、何も知らず、何もできない自分が嫌だったということも理由でした。
3年のADDressの会員としての経験を経た今、、私は、家事と、居心地のいい家を作る能力を身に着けたら、これからどんどん年を取っていく私のこれからの人生は、楽しく彩りのあるものになるんじゃないか、そう思いました。家の中で身体を動かすことも、自分にとっていいんじゃないかなと。
家守さん楽しそう!そういうモチベーションでは全然ありませんでした。が結果、それが誰かのためにもなるなら、それでもいいのでは?とも思いました。
そして私は家守になった
9月から家守の生活が始まりました。うまくいくかどうかは私にもわかりません。
家守をしようかどうか悩んでいた時、対象の物件がかなり汚れていることが気になっていました。ADDressの運営の人に相談したら、「自分で掃除してください」と言われたので、最初は、初めだけ、ハウスクリーニングを入れようかとも思いました。
でも、考えた末、自分でやってみることにして、昨日、換気扇の信じられないひどい油汚れと格闘しました。マジックリンって、本当にすごく汚れが落ちるんだと思って感動しました。
完璧にきれいにしようとすると疲れるので、(慣れないし)、少しずつ片付けて、マイナスがゼロになったら、あとは居心地のいい空間を作れるようにするのが今の目標です。
最後に
家守になることを決めたので、知り合いの会員さんたち連絡しました。意外にも多くの方に「家守に向いてると思う」と言ってもらえたりして、ちょっとは自信が持てました。
そして、すぐに予約してくれた人もいて、とてもうれしかった。先のことはわからないけど、とにかく、家守になったので、しばらくは頑張ってみようと思っています。
今夜もよい夢を見られますように