忙しい人のためのミュージカル ハミルトンの予習・復習

ブロードウェイで一大旋風を巻き起こしたミュージカル ハミルトン。

日本でも7/3でディズニープラスでなんとブロードウェイ公園の全編が配信される事になった。

是非、世界が熱狂した部隊を観てみたいと思う日本のミュージカルファンも多い事だろう。しかし、この配信現時点ではまだ残念ながら字幕はない。

今回は、そんな映像を字幕なしでも楽しめるように稚拙ながら私自身のディズニープラスの予習、そして2月にロンドンで観たミュージカル ハミルトンの復習材料としてのメモである。

◎どんな話?◎

無限の可能性が広がる18世紀後半のアメリカ。多くの野心達がひしめく土地で、スマートでパワー溢れる青年、アレクサンダー・ハミルトンもその一人であった。

後にジョージワシントンの副官を務め、アメリカの金融・財政制度の基盤を作った英雄の一人として、10ドル紙幣の肖像に掲げられることになる。

この芝居はそんな人物が栄光をつかみ、散り、そしてかつての友と呼んでいた人物に銃殺されるまでの数奇な運命を描いている。

★★時代背景★★

1775年~1783年9月3日までの、イギリス本国(グレートブリテン王国)とアメリカ東部沿岸のイギリス領の13植民地との戦争である、独立戦争。この戦争によって、植民地住民はイギリスの支配を拒否、アメリカを政治的独立に成功する。

芝居では、後に初代大統領となるジョージ・ワシントン総司令官にハミルトンが右腕として採用されてから、戦争の終結後、革命派として政治と立法、金融の安定に奮闘し、志半ばで散るまでを描いている。

◆登場人物◆

・アレクサンダー・ハミルトン

あたりまえだが、主人公。孤児として育ったが、持ち前のパワーと野心をフル活用して、ワシントンの右腕(Right-Hand Man)にのぼりつめる。アメリカ合衆国憲法の起草にも携わり、何人かいる「建国の父」と呼ばれているが、個人的にはミュージカルで描かれるハミルトンは時代への反逆者、の方がしっくりくると思っている。

・アーロン・バー

ハミルトンのライバルであり、若干劇中ではストーテラーっぽい立ち位置。トマス・ジェファーソン3代目大統領の副大統領までなるが、色々と根本的に対立してきたハミルトンと決別。舞台終盤で決闘を行い、ハミルトンをその手で射殺する事になる。真面目過ぎるために貧乏くじを引いてしまう。レ・ミゼラブルでいったらジャベール的な人物。

・ジョージ・ワシントン

いうまでもなく、ジョージ・ワシントン。それ以上でもそれ以下でもない。一幕の序盤でめっちゃ強そうな衣装で登場する。ラスボス感がある。アメリカ合衆国初代大統領(1789年-1797年)。ハミルトンを"son(息子よ~)"と呼んだりするが、煙たがれる。

・ジョン・ローレンス

ハミルトンの陽気な友達の一人。良い奴。友達は3人出てくるけれど、何回か名前を呼び合うシーンがあるので大丈夫。アンジョルラスが、最後までアンジョルラスって名前だったと知らなかった、みたいな事にはならない。多分。

大農園主の息子だが、奴隷解放運動に目を向け、ハミルトンにもその志を説くことで強い絆を結ぶが、一幕の終盤に撤退の際に起きた小競り合いで命を落とる。パフォーマーは二幕ではハミルトンの息子、フィリップを演じるが、やはり決闘で死亡する。

・マリガン

友達その2。本名がハーキュリーズ・マリガンというが、ハーキュリーズとは誰も呼ばない。

アイルランドからの移民。ニューヨークの仕立て屋ズボン職人。ズボンの話はやたらしてくる。ハミルトンと一緒に成り上がりを夢見る。独立戦争ではイギリス軍にスパイとして潜入。

パフォーマーは二幕ではハミルトンの政敵、マディソンを演じる。

二幕マディソンのセリフは多くないが、何気後の第4代大統領。「合衆国憲法の父」と呼ばれているが、劇中ではジェファーソンの腰ぎんちゃく的な扱い。

・マルキ・ド・ラファイエット

友達その3。胡散臭いフランス人だが、特にこの人が裏切ったりとかそんなことはない。フランスの貴族。フランス革命に巻き込まれなくってよかったね。フランスとのパイプ役で軍艦なんかも手配してしまう。

パフォーマーは二幕ではハミルトンの政敵、トーマス・ジェファーソンを演じる。

※トーマス・ジェファーソン

後の第3代大統領。独立宣言を起草した人物。休憩明けにいきなりハイテンションのナンバーを披露してくるので、見分けやすい。ワシントン政権時には、国務長官として財務長官のハミルトンと政策をめぐって争う。

・イライザ・スカイラー

スカイラー家の次女。本名エリザベス。ハミルトンの妻。

華やかな姉アンジェリカに対し、控えめな存在だが、冷静で、行動力もある。ハミルトン亡きあとも、孤児院の設立等に奮闘する。浮気されても泣いたり騒いだりしない、ミュージカルのヒロインの中ではかなり落ち着いた存在。フィナーレのソロは本当に泣ける。

・アンジェリカ・スカイラー

ニューヨークの資産家、支配層のフィリップ・スカイラーの長女。最新の思想や政治情勢にも通じたでき女。華やかな存在だが、いつも心満たされないさみしさを感じている。ソロがめっちゃ難しい曲。

・ペギー・スカイラー

スカイラー家の三女。しかし、スカラーシスターズの曲以外で特に出番はない。

・ジョージ三世

アメリカ独立時のイギリス国王。あたりまえだが、独立戦争をよく思っていない。のったりとしたメロディーのソロが多いが、歌詞が辛辣で面白い。芝居に良い感じのスパイスになっていて、このおじさんが現れるとみんな喜ぶ。

・チャールズ・リー

一幕の中盤の「stay alive」の時にめっちゃ、「リーだよWWW」と言って出来る。独立戦争時、将軍としてアメリカ大陸軍の副指揮官になるが、指揮官のワシントンと対立。劇中は阿呆に描かれて居るが、史実では優秀だったらしい。ローレンスと決闘をして、傷を負う。

・マライア・レノルズ

お金がないとの事でハミルトン宅を訪れてから、以降1年にわたり愛人関係をもつ。悪女。

・ジェイムズ・レノルズ

マライア・レノルズの旦那。浮気をネタにハミルトンをゆすりを働く。


◆各楽曲メモ◆

第一幕
1. Alexander Hamilton
:OPナンバー ハミルトンの産まれから英雄を夢見てNYに降り立つまでの過程。それぞれの登場人物の関係も併せて歌っている。

2. Aaron Burr, Sir
:ハミルトンのライバル、アーロン・バーとの出会い。バーは極端に目立つ事はするなと若きハミルトンに忠告するが、「まじで??」的な反応をするハミルトン。ここからすでに「あ、こいつら合わないな」感が出ている。

3. My Shot
:酒場に陽気な友達3人組、ローレンス/ラファイエット/マリガンの登場。独立戦争への意気込みを鼻息荒く語る。

4. The Story of Tonight
:今夜の仲間との出会いをわすれない。生涯、自分たちの子供はこの事を語り継いでいくだろうな、と語り合っている。

5. The Schuyler Sisters
:スカイラ―家の三姉妹の登場。アンジェリカはトマス・ペインの『コモン・センス』を読んだというが、でもそれは男からの目線であり、男は「 revolution」に夢中だが、私は「revelation (神様からの啓示)」を待っているという。

6. Farmer Refuted
:独立反対派、米国聖公会の主教のサミュエル・シーブリに対し、ハミルトンが食ってかかる。饒舌でサミュエルを打破するハミルトンとそれを面白がる陽気な友達。しかし、バーだけは「やめておけよ…」と止めに入る。

7. You'll Be Back

:ジョージ3世の愚痴。お前たちは私の大事なsubject-臣下なのだよ~、といいながら従わねば、お前の家族・友達もろとも首を刎ねるからねwwwと仰せになる。
8. Right Hand Man
:ハウ提督率いるイギリス艦隊がNYに入港。アンサンブルが「イギリス軍は我が軍を包囲」と歌うように非常にまずい状態。めっちゃためてからワシントンの登場。ワシントンが切羽詰まりようを歌い上げる。「ああ~、どっかに一緒に戦ってくれる誇り高くてスペックの高い右腕になってくれる人おらんかいな」

バーもワシントンと会うが、ハミルトンの方を気に入るワシントン。バーとの亀裂が更に深まった瞬間。

9. A Winter's Ball
:戦中のひと時の休息。冬の舞踏会とあるように冬営地には、士官の妻子が滞在した。そこに集まる淑女たちとお近づきになろうと躍起になる兵士たち。

10. Helpless
:イライザのソロ。いつも姉に隠れる存在だけど、今日だけはハミルトンと話したい!という何ともミュージカルらしいナンバーの一つ。

11. Satisfied

:アンジェリカのソロ。イライザとハミルトンという大好きな二人の結婚式という複雑な心境。いくら先進的な考えを持っていても好きな人(遠回しにハミルトンの事)ではなく、家のために金持ちと結婚しないといけない立場に満たされない心の切なさを歌っている。

12. The Story of Tonight (Reprise)
:ハミルトンの結婚式に現れるバー。バーの想いを寄せているのは、イギリス軍士官の妻、セアドシアである事が分かる。しかし、奪ってしまえ、というハミルトン。いらつくバー。そりゃそうだ。

13. Wait For It

:バーの独白。プライベートも仕事も思い通りに行かない。自分の方向性を「Wait For It」といっているが、所詮自分に言い聞かせているに過ぎない。「ハミルトンみたいになれたら?」と迄いう。心の底ではハミルトンを結局認めているんだよな。
14. Stay Alive

:軍資金の不足に悩ませるワシントン。イギリス軍の補給線を絶って、補給品を盗む事を提案するハミルトン、指揮権を与えてくれるよう訴えるが、ワシントンが起用したのはチャールズ・リー。しかし、劇中はこの人はダメな将軍として描かれる。モンマスの戦いと呼ばれるもので、この時の猛暑のせいで100人以上の兵士が熱中症で死亡した。

15. Ten Duel Commandments

:モンマスの戦いで失態をおかしたリー。いったん指揮権を剥奪され、憤りを感じたリーはワシントンを非難する。それに対し、ハミルトン・ローレンスはリーのこれ以上の暴走を止めるためにリーとローレンスの決闘を申し込む。

※なんで決闘?

18世紀に流行した決闘という習慣は、裁判よりも費用も時間の負担も軽く、決着がつく。それに騎士道的であるということから自分の名誉を守るために行われたとか。

この場面では、決闘についての掟ややり方が歌われている。回り床のめっちゃ格好いい演出がみもの。リーの介添人にはバーがいる。

16. Meet Me Inside

:ローレンスの撃った弾はリーの脇腹に当たる。リーが退散することになるが、事態をみたワシントンは、いきなり自分の許可なしに行われた決闘に対し、ハミルトンに憤りを感じる。しかし、自分に指揮権を与えていれば、こうはならかったと訴えるハミルトン。”son"と呼ぶワシントン、しかし、ハミルトンは拒絶する。ワシントンには意図があったが、それはまだハミルトンには汲めていない。
17. That Would Be Enough

:妊娠を告白するイライザ。実はワシントンに先にその報告をしていた。ワシントンはそのことを知っていてハミルトンを指揮官にしなかったのだ。金も名誉もいらない、あなたの心の中に私がいればいいの、というイライザ。
18. Guns and Ships

:戦況が佳境に入ってきている事を説明するバー。「ベツィ・ロスの旗」とは星条旗の原型。ラファイエットが登場し、フランスから軍資金と大砲と軍艦を調達したと報告する。一気にヨークタウンの戦いの逆転劇となる。
19. History Has Its Eyes On You

:ヨークタウンの戦いで自分の右腕としての活躍をハミルトンに期待するワシントン。ただし、彼の忠告がおりる。「歴史はお前の事をみているのだよ」と。これは、これからのハミルトンの功績ともその後の事もワシントンが予感しているともとれる。


20. Yorktown (The World Turned Upside Down)

:1781年秋に起きたヨークタウンの戦い。共闘することになったアメリカ軍とフランス軍は、ニュー・ヨーク・シティに立て籠もるイギリス軍をフランス艦隊の力をもって完全包囲する。その戦いの様子を激しいラップとダンスで表現する。劇中で一番格好良い場面でもある。歌の終盤でイギリス軍が降伏し、アメリカ独立戦争の終結を予期させる。ここが一幕の終盤のように思えるが、じつはまだ終わっていないので気を付けよう。


21. What Comes Next

:再び、ジョージ3世の歌。相変わらずのったりとしたメロディーではあるが、辛辣。「フランスを誑かして独立した? はは、良かったね。で、王様の加護を失ったお前らはこれからどうするんだ?」

22. Dear Theodosia

:ハミルトンとバーに娘と息子が生まれる。バーは念願叶って?セアドシアの夫が亡くなった事で結婚できた。娘には妻と同じ名前をつける。それぞれ安全で素敵な世界を子供たちに約束するという。そのために自分たちが礎になるとも。この歌の後にハミルトンはローレンスの父親からローレンスがサウス・カロライナから撤退中のイギリス軍との銃撃戦で亡くなった事を知る。


23. Non-Stop

:本当にこれが一幕の最後の歌。キャスト勢ぞろい。独立戦争が終結し、ハミルトン、バーは弁護士になる。そこで政治体制に問題がある事に気づいたハミルトンは、憲法制定会議の代表( Constitutional Convention)となる。憲法案についてバーにも相談するが、その膨大過ぎる内容や憲法反対派の派閥に所属していたバーはまたも対立する。バーは風向きを見ようというが、何をまっているんだ、あんた?と反発するハミルトン。

対して、イライザとハミルトンの良き理解者のアンジェリカは結婚してロンドンに旅立つ事になり、ワシントンは晴れて大統領になった。イライザは仕事にのめりこむハミルトンを心配するが、ハミルトンは聞く耳を持たない。

それぞれの思いが入り乱れて、一幕の最後らしい陣形をとって、休憩に入る。

第二幕
24. What'd I Miss?

:一幕開け、バーが独立戦争後の体制について話す。ハミルトンは財務長官になり、ワシントンが大統領。それに対抗するものが現れるという。”two-party system”とは、二大政党制の事。ハミルトンが中心となる連邦派とジェファーソンとマディソンが中心となる(民主)共和派。ジェファーソンは独立戦争のあいだ、フランスにいたので、バーのセリフの中で”You haven’t met him yet”と言っている。

そして、ジェファーソンが派手に登場し、「俺、アメリカにかえってきたはいいけど、なにもかも変わっちゃってて、どうなってるんだ?」と歌い上げる。ワシントンの就任当初から多額の負債を抱える国家を懸念したハミルトンは、国家の保証という信頼がある国債は、経済的な信用になるとイギリスの例から考えていた。すると、州債ではなく、統一された貨幣単位で国債を流通させるべきという考えに至った。そのための公債の返還と国立銀行の設立を主張する。
25. Cabinet Battle #1

:ジェファーソンとハミルトンの対立をラップ対決風に歌う。ハミルトンは公債の返還と国立銀行の設立を希望し、ジェファーソンはそれに反対する。
ニュー・ヨーク州が公債を抱えている中、何故ジェファーソン納めるヴァージニア州も余計な公債を抱えなければならないのか、という主張だ。

ハミルトンは今は国家を一つにして自己の利益を後回しにするべきだという。そして、自分たちが戦っている間、呑気にフランスにいた人物に言われる筋合いはない、とも。ヒートアップする二人に対し、ワシントンが休憩をすすめる。票が足りないハミルトン側には大胆な施策が必要という。そしてそれを考えるのがハミルトンの仕事だとも。

26. Take A Break

:帰宅したハミルトンを迎えるイライザとフィリップ。夏にはNYの北に避暑に行こうと提案するイライザだが、ハミルトンは仕事がある、と断る。アンジェリカからの手紙もくる。その内容は、彼女がアメリカにかえって来るというもの。そして、アンジェリカが説得しても休暇は取らないと言い張るハミルトン。

27. Say No To This

:イライザの不在中に訪れたマリア・レイノルズの誘惑。不倫の始まり。

28. The Room Where It Happens

:ジェファーソン・マディソンの二人と取引の会食に向かうハミルトンその途中でバーに合うが、バーはその取引の現場に入れずに歯がゆい思いをする。「一体、この部屋の中で何が起きてるんだ!?」と締め出されるバー。

※この取引とは、首都の位置であり、ハミルトンが切望したニューヨークの代わりに、マディソンはポトマック川の畔に首都(現在のワシントンがある場所)を置くという交換条件があれば反対を撤回するという譲歩だったとか。


29. Schuyler Defeated

:前場面で取引の現場に参加できなかったバーは自分も政治家になることを決める。そして、ニュー・ヨーク州選出上院議員の席をハミルトンの義父であるフィリップ・スカイラーから奪う。その新聞記事を無邪気に話すフィリップ。

バーを問い詰めるハミルトン。友情が裏切られたというが、お前のプライドの高さは死を招くだろうと言い放つバー。二人の対立が決定的になる。

30. Cabinet Battle #2

:ジェファーソンとハミルトンのさらなる対立。革命渦中のフランスから支援と援軍を求められる。

ジェファーソンは当然支援するべきだというが、既にルイ16世が処刑されている事を知っているハミルトンは大統領がアメリカ国民を兵として差し出すことに反対する。新しい戦争を始めるにアメリカは未熟だとも。

ワシントンは結局中立宣言をする。
31. Washington On Your Side

:ハミルトンに不満を持っている、ジェファーソン・マディソン・バーはどうにかして状況を打破したい。そのためにはワシントンをこちら側につける案が効果的だと、たくらむ。

32. One Last Time

:ジェファーソンは大統領に立候補するために辞任をしたことをハミルトンに告げるワシントン。そして、みずからもまた辞任を決意していることを話す。困惑するハミルトン。しかし、年老いたワシントンの決断は変わらない。党派争いについての警告とハミルトンに補助してもらいながら書いた最後の演説を残し、退場する。

33. I Know Him

:再び、ジョージ3世のソロ。アメリカでワシントンが辞任し、代わりにジョン・アダムズが就任した事を知る。しかし、ジョン・アダムズが適任でないことを知っているジョージ3世はアメリカの分裂が進む事を予期して喜ぶ。
34. The Adams Administration

:バーがハミルトンの失墜を予感させる話をする。

副大統領になったジェファーソンが登場し、ハミルトンにもうワシントンの後ろ盾はのぞめない事を高らかにいう。

※アダムズはハミルトンの存在を煙たがり、財務長官を退任させた。

アダムズを激しく批判するハミルトン。劇中では、p音を使用してかき消されるが。「ハミルトンが狂った」と冷静に述べるバー。
35. We Know

:更にハミルトンを叩き潰したいジェファーソンたちは、帳簿からレイノルズ氏に多額の金銭が渡されていた事を知る。それが、横領に関係しているのではないか、と勘繰る。それは事実ではなく、マリアとの関係、そしてレイノルズ氏にゆすられて払った金である事をやけくそ気味に言う。


36. Hurricane

:苦悩にあふれた幼い日を回想するハミルトン。ハリケーンの事、母親の事。自分の破滅の兆候をさとっているかの様に歌う。
37. The Reynolds Pamphlet

:発行された「レイノルズ・パンフレット」にはハミルトンとマリアの不倫関係についてが赤裸々に記載されていた。ハミルトンに軽蔑の目を向ける人々。ハミルトンの大統領への道は閉ざされた。
38. Burn

:レイノルズ・パンフレットの内容を知ったイライザは、それでも毅然と振る舞う。Burnは私の記憶を焼いてしまいたい、あなたからの手紙を焼く、あなたが炎上するのを見ている、という苦しい心境の吐露に使われている。
39. Blow Us All Away

:息子、フィリップのソロ。父親がジョージ・エッカーから公衆の場で批判を受けた事に憤りを感じ、決闘を申込む。ハミルトンはまさか本当に命をかけた決闘になるとも知らず、息子を送り出してしまう。

40. Stay Alive (Reprise)

:エッカーに撃たれたフィリップは病院に運び込まれる。ヨークタウンの時と同じ旋律でイライザがフィリップの無事を祈るが、願いも虚しくフィリップは死亡。

41. It's Quiet Uptown

:フィリップの死後、ハミルトンはイライザを伴って郊外に引っ越し、静かな余生を過ごそうとする。
42. The Election of 1800

:政治では、ジェファーソンとバーが次期大統領の座を争っていた。そこでジェファーソンが目を付けたのがハミルトンである。バーと敵対している事でハミルトンの票を自分がもらおうと目論んだのだった。
ハミルトンはジェファーソンに投票する。

打ちのめされるバー、更にジェファーソンはバーを副大統領にはしたくないと言い出す。

43. Your Obedient Servant

:積年の恨みを手紙にぶつけるバー。ついに決闘を申し込む。


44. Best of Wives and Best of Women

:決闘の朝、まだ眠ろうというイライザを振りきって出かけるハミルトン。これが自分の最後である事を分かっているかの様。
45. The World Was Wide Enough

:いよいよ決闘の時。バーのセリフになるが、それは偶然にもフィリップが撃たれた決闘の場所の近くだった。

娘の事を思うバーは、照準を定める。発砲するが、ハミルトンは銃を空に向ける。当然、弾はハミルトンに当たり、倒れる。回り床が回転し走馬燈の様に生涯を思い返す。そして、舞台の反対にはイライザが立っている。

ハミルトンを撃ったバーは、一杯の酒をひっかける。ハミルトンと出会ったときに様に酒場に行ったのだった。

46. Who Lives, Who Dies, Who Tells Your Story
:ハミルトン亡きあと、政敵のジェファーソン、マディソンは大統領になるがハミルトンの施策には叶わなかった事を知る。イライザとアンジェリカはハミルトンの残した文書を読み、その思想を残すことに尽力した。アンジェリカは先に亡くなるが、イライザはその後もNY初の民間孤児院の設立等、精力的に活動した。

孤児院の子供たちに夫を重ねるイライザ。

”誰が生き、誰が死に、あなたの物語を伝えてくれるのは一体だれなのかしら?”

”あなたに会えるのが待ちきれないのにね。でも、それを決めるのはただ一つ、時間だけなのよ”






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