春の別れを愛おしむために
3月の日本は、いろんな場所でお別れの季節だ。
色々な思いが交錯する。
寂しい。昨日まで続いていた当たり前はあしたから当たり前じゃなくなる。
清々しい。また違う人たちと会って、新しい日常が未来に待っているから。
どっちも真実。
離れていく寂しさのほうがとかく重く感じられる。
でも、今後関わることがなくても、相手のために
祈ることはできる。
これまでも様々な作品で「別れ」は描かれているが
吉田秋生さんのコミック「BANANA FISH」の
中に、今後二度と会えないであろう無二の友人
の英二を思う主人公アッシュの台詞として
「もう二度と会わない。でもあいつは俺の友達
だ。思うことくらい許されるだろう」
というものがある。
物語はなかなかに壮絶なものなのだが、このセ
リフはとっても純粋で、私がこの物語全編の中
でも好きなセリフの一つだ。
ここでいう「思う」も、祈りに近い意味だと、
私は解釈している。
3月の終わる今日まで、多くの別れを経験して
きた人が多いと思うけれど、
巣立つ仲間の今後を祈りながら、
新しい未来に向けて、自分も羽ばたくことが
できますように。
あしたからの新年度を迎える皆に幸あれ。