14歳の自分に伝えたい「お金の話」(藤野英人)を読んで
藤野英人さんの「14歳の自分に伝えたい「お金の話」」が5月13日に発売になりました。
早速読ませていただいた感想を申し上げると、「お金の話」とあるけれども、それにとどまらず、「人生の話」ではないかということ。もちろん14歳の中学生にもわかりやすい本なのですが、大人が読むと自分の人生を振り返りながら読むことになる、とても味わい深い本だと感じました。
この本は、題名の通り、現在の藤野さんが14歳の藤野さんに話すという設定で、書かれています。
お金に関することが、経済的な面の説明にとどまらず、歴史を踏まえつつ、人や人の夢につながる形で語られています。お金の話というと、お金もうけに走ったり、守銭奴になったりといったイメージもあります。が、この本では、お金が社会にゆきわたって、循環し、社会をよくしようという人の夢が叶い、明るい未来につながっていくんだという軸で、話が組み立てられているので、読んでいてポジティブな気持ちになってくるのです。
特に印象的な箇所をいくつかあげさせていただくと、
20ページ:お金には必ず「人」の存在がひもづいている。夢がある人のもとに、お金を動かすことができる。
27ページ:
「お金を使って何をするか」という選択が、君の未来を形づくっていくのです。
95ページ:
人は"人との間"にいろいろなものを生み出す中で、その生涯を満たしていく生き物です。
僕は意思をめぐらせながら、つながりにお金を使っています。
90ページからのつながりの話のところで、逗子での生活について書かれています。自然のあるところでの生活のよさ。愛犬の「だんご」と「おもち」のお話など、Facebookで実際に愛くるしいお写真を拝見していることもあり、心温まりました。
184ページの子どものころによく本を読まれた話は、私も同様だったので、親近感をもちました。
また、「無駄遣い」の経験値も大切というお話は、数えきれないほどの「無駄遣い」をしてきている私にとっては心強いお話でした。無駄遣いも決して無駄ではないと。
パラレルワーカーの話のところで、藤野さんが高校生の時に部活や生徒会などをいくつも掛け持ちされていたお話があり、高校生のころからパラレルワーカーのような生活をしていたと書かれていました。この点、自分自身のことを振り返ると、普通の人なら一つしか入らないくらい忙しいサークルをいくつも掛け持ちして、家庭教師や大学のゼミや英語の勉強をしたりしていた大学時代はパラレルワーカーのような生活だったということなのか、と思い出しました。いや、それをいったら、たくさん習い事をしていた小学生の時からずっとそうだったのかもしれません。
(習い事の中で、ピアノだけは一定の実力に達するところまでやれたのですが、ずっとブランクがあります。藤野さんのツイッターピアノの会に数年前にジョインさせていただいていますが、まだ演奏会は見学のみにとどまっているという情けない状態。お忙しい中、ピアノの時間を確保され、演奏会にも出られている藤野さんは本当にすごい方です・・・)
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私にとって、この本は、お金や経済、歴史の教科書。何よりも人生の教科書です!
自分のお金の使い方や将来の夢など、自分の思った通りにはなっていないことが山ほどあります。そういったことを振り返って、いつか私自身、こういった形の本を自分宛に書いてみたい。私の場合は希望や夢にあふれていた小学校6年生の自分に、いつか自分の書けるテーマで本を書きたいという目標もくださった藤野さんの「14歳の自分に伝えたい『お金の話』」。
どんな方が読んでも、その方の人生にてらしあわせながら、お金のことも生き方のことも学べる、読みやすい本です。
ぜひお手にとってみてください。