先入観を捨てたら現場で調べるしかなくなり、足繁く通い助けてもらい振り返ったら道が出来ていた ありがとう2022年 北斎漫画の墨の囁き、街の響き 28
現場百遍。現場にこそ解決への緒が隠されているのであり、100回訪ねてでも慎重に調査すべきことであるというベテラン刑事の生き様は作品作りにも当てはまるようだ。
すみゆめの2022年度活動報告会がありました。
AGAXARTとは
AGAXARTは舞踏を主軸としたワークショップの開催、公演の企画制作を行なっています。
舞踏は1960年代に日本で生まれたコンテンポラリーの一種と言えると思います。特徴としては日本の風土、情念、人間の内面を掘り下げて踊りにしていく点が挙げられるかと思います。
今回の取り組み、チャレンジしたこと
今回AGAXARTは舞踏作品「北斎漫画の墨の囁き、街の響き」として3つの企画を行いました。
① 舞踏×北斎漫画ワークショップ
② 舞踏ライブパフォーマンス
③ 舞踏映像作品配信
特にチャレンジしたこととしては「先入観で物語を作らないようにしよう」という点です。最初から出来上がった物語を稽古して発表するのではなく、すみだに足繁く通い、そこから偶然に出会う事、人、風景…それらをふわっと含めた作品とするように心がけました。
① 舞踏×北斎漫画ワークショップ
9月17日、21日、24日、28日 すみだ生涯学習センター（ユートリア）にて舞踏ワークショップを開催（講師：塩谷智司、我妻恵美子）。毎週参加者の皆さんに舞踏を紹介しつつ、北斎漫画を題材に体を動かしました。
初心者歓迎のワークショップ。舞踏を初めて知った方や踊るのも初めてという方、様々な経歴、年齢の方が参加してくださいました。
「とても楽しかった」「また参加したい」とのご感想を多くいただきました。舞踏というと難しいイメージがあるかもしれませんが、『北斎漫画』というキーワードが親しみやすさを増してくれたように感じています。
② 舞踏ライブパフォーマンス
北斎が江戸の日常を描き『北斎漫画』を仕上げたように、墨田の町工場の職人さんの動きに着目し舞踏にしていきました。公演は2022年11月4日~6日に北條工務店となりで行いました。
すみだは職人の街でもあります。町工場をあちこちで見かけますが、街の再開発に伴って近隣住民との騒音の問題などが起こって移転したり、価格競争の末に閉業してしまうなど、どんどんと少なくなってきているそうです。
時間をかけて積み上げていくもの、技、精度、人間関係…
「短時間・低予算」ということが多くなってきている最近の流れの中で、とても大切にしてきたものを気づかないうちに失いつつあるのではないかと感じました。
最終日（2022/11/6）は10名の舞踏ワークショップ生も参加しました。
限られた照明、音響設備での公演。劇場ではなく工場で作品を発表できたことも大きな達成感がありました。何ができるか、何を準備しておかなければならないか、挨拶回りは…？などなど、みなさんに協力して頂きながら先人未踏の第一歩、知恵を絞り工夫しながら行いました。
観覧後のアンケート回収率も高く、紙と鉛筆を配ってその場でお願いしたことが良かったのかなと思いました。
逆に「QRコードを読み取って書いてください」とかリンクをクリックして書いてください、といったものはなかなか記入してもらえませんでした。繋がり、関わり、アンケートの在り方にもそのようなことを考えました。
舞踏ライブパフォーマンス「北斎漫画の墨の囁き、街の響き」
日時：2022年11月4日~6日
4 (金) 20:00
5 (土) 15:00 / 19:00
6 (日) 15:00 / 19:00
会場：北條工務店となり
上演時間：約40分
舞踏｜塩谷智司 音楽｜大野慎矢
ワークショップ生有志｜鶴岡浩樹、宮沢真理、アニータ・チャン、吉田栄子、才川英子、長田萌夏、諸星敦士、根本なつき、貞森裕児、伊藤里沙
演出｜我妻恵美子
映像演出｜高橋のぶ
スタッフ｜藤沢柊
写真撮影｜本宮誠
制作｜ハン・ヨルム
映像協力｜阿部製作所、石井製作所、高垣製作所
主催｜AGAXART、「隅田川 森羅万象 墨に夢」実行委員会
共催｜墨田区
協賛｜株式会社東京鋲兼、東武鉄道株式会社
※「隅田川 森羅万象 墨に夢」実行委員会 事務局は（公財）墨田区文化復興財団が担っています。
③ 1. 映像作品 2. 公演映像配信
「HOKUSAI MANGA BUTOH 」YouTube チャンネルを開設し、すみだの景色、職人さんの姿を交えた舞台では表せない舞踏映像作品と、公演映像を配信しました。
東京だけでなく日本全国、また海外からもアクセスがあり、広くすみだの人・街の魅力、そして舞踏の魅力を伝えることができたと感じています。今も閲覧数は増えており、たまたま観たら面白くて興味を持ったという方が増えていつかリアル世界で出会えれば良いなと思っています。
1. 映像作品「北斎漫画の墨の囁き、街の響き」
舞台とは異なる映像でしかできない身体表現！墨田の街が音楽になり、現代の工場から始まる舞踏。時空を超えた踊る北斎漫画。
期間｜2022/11/18~12/25
作品時間｜13分25秒
舞踏｜塩谷智司
音楽｜大野慎矢
映像演出｜高橋のぶ
総合監督｜我妻恵美子
撮影場所協力｜北條工務店となり、阿部製作所、石井製作所、高垣製作所、株式会社ザ・ホライズン
デザイン｜奥村将仁
画像提供｜
『北斎漫画』三編 雀踊り
『北斎漫画』初編
『北斎漫画』十二編 風
すみだ北斎美術館蔵
主催｜AGAXART、「隅田川 森羅万象 墨に夢」実行委員会
共催｜墨田区
協賛｜株式会社東京鋲兼、東武鉄道株式会社
※「隅田川 森羅万象 墨に夢」実行委員会 事務局は（公財）墨田区文化復興財団が担っています。
2. 公演映像「北斎漫画の墨の囁き、街の響き」
北斎漫画の墨の囁き、街の響き HOKUSAI MANGA BUTOH
公開期間 | 2022/12/6 10:00~12/25 23:59 (GMT+9:00)
成果と今後の展望
2022年9月からスタートしたこの３つの企画「ワークショップ」「舞踏公演」「映像配信」を通して出会った人、場所、物語…。
助けてもらいながら夢中で駆け抜けた時間でしたが、振り返ってみるとすみだの空気感を活かしながら舞踏作品を創作する土台ができたなと感じています。
テーマを変えたり、参加者を募ったり、街歩きを通してすみだの魅力を再発し、一人ひとりの心の中の仄かな世界をバーンと膨らませて夢をドーンと遊べる場を創っていきたいです。
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