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1月14日(日)八戸市美術館にて!イタコ文化を中心にリサーチを行った創作「潮来の音」第二章の公開プレゼンテーション

「潮来の音」第二章 公開プレゼンテーション

日時:2024年1月14日(日) 14:00-15:00
場所:八戸市美術館 ギャラリー1
演出:鍾伯淵(チョン・ポーユアン)(暁劇場・台湾)
舞踏:我妻恵美子(日本)

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「潮来の音」国際合作プロジェクトは台湾・暁劇場(シャインハウス・シアター)主催の作品です。今回、暁劇場の演出家である鍾伯淵と、振付として参加している舞踏家の我妻恵美子が八戸で滞在制作を行っており、イタコの文化を中心にリサーチを重ねました。

亡くなった方の魂を呼び寄せる口寄せを行う「イタコ」は、最近は外国の方から特に注目されています。身近にあると見過ごしてしまうその存在について、この場でちょっと立ち止まって思ったことを交換する場としたいと考えております。

この度、八戸市美術館ギャラリー1にて公開プレゼンテーションを行います。思わぬところからそれぞれの創造性を膨らませたり、生活の中の文化的価値に心ときめく機会となりましたら幸いです。

プロジェクト概要

潮来の音は暁劇場が主催する三部作構成のプロジェクトです。第一章「潮来の音」は、2018年から3年かけて創作を重ね、世界中がコロナ下にあった2020年10月、華山烏梅劇院で初演を行い高い評価を得ました。その後、東亜人民劇場祭、ソウル国際環境演劇祭(韓国)、エディンバラ・フェスティバル・フリンジ(スコットランド)、台東フリンジ・フェスティバル(台湾)に参加し、2023年にはTheATRIUM劇場(リトアニア)、Ufafabrik(ドイツ)で上演しました。

「潮来の音」は暁劇場の鍾伯淵(チョン・ポーユアン)が演出を行い、日本の舞踏家、我妻恵美子が振付として参加しています。災難に見舞われたときに我々に道しるべを与えてくれるイタコの存在にインスパイアされ、演者の体を媒体として生死の本質を問いかけようと試みています。演出として演劇と舞踏を融合させている点もこの作品の特徴の一つです。

この作品は台湾と日本の文化的な類似も土台となっています。これまでの台湾と日本の経済・文化における友好関係、災害時の相互支援もお互いを身近な友人のように感じる理由の一つですが、その他にも地震が多い国であること、地理的位置や島国という特性など、それらの類似した環境が私達のものの考え方、そして死生観に影響を与えています。

「潮来の音」は台湾と日本の災害における人々のエピソードを調査することで普遍性と価値を見出し、作品を通してこれからの自然環境、人の繋がり、感情と向き合う時間を伝えていきます。

🌊2024年1月、暁劇場と我妻恵美子は青森県八戸市で第二章創作のための滞在制作とプレゼンテーションを行います。
🌊🌊2024年8月9~11日、東京にて「潮来の音」第一章の公演を行います。
🌊🌊🌊2025年、台湾と日本で「潮来之音」 第2章の上演を目指しています。

共作のきっかけ

2018年、演出家の鍾伯淵は国芸会「海外芸遊」助成で来日し、舞踏家の我妻恵美子とともに日本三大霊場の一つである恐山を訪れ、また八戸市で現役最高齢のイタコ、中村タケさんを訪問し口寄せを初めて体験しました。目に見えない存在に思いを馳せる、とても特別な体験でした。

この八戸滞在期間中に我妻は3.11東日本大震災の経験津波により実家のある宮城県亘理町が被災した経験を鍾伯淵へ伝えました。見慣れた風景が破壊されてしまったこと、地元の親戚や友人たちの埋められない喪失感、人々がどのようにして震災後の日々を過ごしているかなど。

震災で突然の失われる日常に直面した私達は、どのようにこの理不尽さと向き合っていくのか大きな問いを突きつけられました。SNSなど便利なコミュニケーションツールが氾濫する中、人々の心や割り切れない感情が現代社会のスピードに取り残されているのも否めません。その無視されてきた感情はふとした瞬間に爆発し、人々を大きな絶望感に陥れます。

日台はどちらも地震の多い島国であるという地理的条件にあります。これらの経験をきっかけとして、人々がいかに災害や大きな傷に立ち向かうか、また信仰が人に与える力について考えるに至り、日台文化の類似点や相違点から「潮来の音」を創作していくこととなりました。

映像資料(2分):Shinehouse Theatre "The Whisper Of the Waves"

構 想

■ 第一章 「潮来の音」(2020)
時間軸は震災前、レズビアンカップル、飼猫と女、盆栽と男という3つの異なるパートナー間で物語がそれぞれ始まります。彼らは頼り合い困難を乗り越え、時には理解し合うことができないと感じますが、けっして孤独ではありません。エピローグで津波が押し寄せ、互いの思いは生死の間際に入り混じります。

■ 第二章(※現在制作中)
第二章で展開する物語は原子力発電所の事故の問題を取り入れています。核分裂の衝撃のように日常が突然打ち砕かれるイメージです。第一章に登場した人物のその後の物語は、同性パートナーを亡くした女性の親権争い、震災の瓦礫に埋もれた猫の飼い主、災害で焼けていく植物…と続き、生き残った者に襲い掛かる困難から始まります。

現実が急転し苦難が永遠に続くかのような状況、生き残ったことは幸せであるのか。打ちのめされる現実の中で、当初無関係であった人たちが次第に支え合い始めます。

災害の大きさを直接表現するのではなく、災害の中で繰り広げられる名もなき人々の感情の機微と生き抜く力を描きます。同時に現実の無情さも描く。
災害が起きた時、私達の分断は深まります。3.11東日本大震災発生直後の東京、無言で何時間も歩く人々は葬儀に参列する人々を連想させました。誰にも慰められずに怯える個の恐怖を物語にしたいと考えました。

■ 第三章
第三章は「序破急」のような構造を持ちつつ輪廻のように繰り返される物語でもあります。台湾の921大地震や日本の3.11大地震など、災いの中で人々がいかに「日常」を維持しようともがき、互いの優しさを感じながら歩き続けていくのかをこの物語の中で描こうとしています。

災害後に私たちに残ったもの、手にしているものは何か?に焦点を当てていきます。

「潮来の音」第一章 写真資料

▲〈縁結〉:プロローグの群衆は海に取り残された魂を彷彿とさせ、波に揺れながら姿を変えていく。時折大きく波打ち、群衆は微かな言葉をささやきながら次第に消えていく。
▲〈イカロス〉:ベトナムの街角。何度も試みた人工授精で失敗し愛し合いながらも疲れ果て喧嘩をする二人の女性カップル。死ぬことすら考えるが二人は最終的に和解し、自分が相手の希望の羽になることを願い、支え合いながら歩き続けていく。
▲〈別れ〉:10歳を超え重い病気を患い、最後の時を迎えようとしている老猫ミーバオ。飼い主の女は悲しみながらも何もできず、明るく振る舞いながら日常を送っていた。なす術がないまま愛猫の命を自らの手で終わらせようとさえする。
▲〈鏡像〉:自分と社会との間には分厚い垣根があり、全く相容れないと感じる男。男が育てる大きなカシワバゴムノキが、彼の唯一の話し相手だった。男はカシワバゴムノキを故郷アフリカに連れて行き、その地で共生させる夢を持っていた。男自身も社会の重石を脱ぎ捨て、自分が帰すべき場所を見つけたいと渇望していた。
▲〈光〉:男は世話をしているカシワバゴムノキに自分の考えをぶつぶつと語っている。カシワバゴムノキの根の成長は鉢で阻まれ、栄養は窓から差し込む光だけだった。しかし毎日男の傍で過ごし、酸素というラブソングを放出して男の愛に応える。カシワバゴムノキにとってはそれで充分だった。
▲〈存在〉:亡くなった老猫ミーバオの魂が去っていく前に、一生で一度だけ人間の言葉を話す機会を得る。ミーバオは、「大丈夫、これは誰のせいでもない。出会えて、10数年一緒に過ごせたこと、それだけで幸せだった」と女を慰める。
▲〈シーシュポス〉:巨大な岩を山頂に押し上げては失敗するという夢の話について二人の女性カップルがお喋りする。幾多の年月が流れ、かつてのベトナムでの言い争いは笑い話となっていた。夢のような現在の境遇、「日常」を維持するために力と心血を注いで社会体制に対抗している。でも二人一緒なら、石を前進させることができるかもしれない。
▲〈潮来之音〉:エピローグ。津波が襲いかかる。二人の女性カップルは将来の家の内装や家具について話し合うことで互いの気持ちを確認する。たとえ僅かであっても二人は生と死の瀬戸際で希望と思いを祈っている。

主要メンバー紹介

暁劇場

暁劇場は2006年に設立。太陽「暁」をシンボルとし、太陽が世界を照らすように演劇を通して世界を隈なく表現することを目指している。現代の社会問題を独自の詩的な台詞、繊細に振り付けられた動きで描写し、私たちが存在している「今」、「ここ」をシンプルでありながらも観客の心に深く鋭く突き刺す言葉で表現している。暁劇場の作品は国内外で高い評価を得ており、上海當代演劇季・バンコク インターナショナル シアター フェスティバル(Bangkok international Theater Festival)・フェスティバル トーキョー(Festival Tokyo, 2013)・アジア舞台芸術祭(Asia Performing Arts Forum, APAF, 2015-2016)・台北芸術祭(Taipei Arts Festival, 2015)、 Edinburgh Festival Fringe、Theatrium International Theatre Festivalから招聘さている。暁劇場は台北市の萬華地区に於いて長きにわたり活動を続けている。現地で国際的なダンスフェスティバルである「Want to Dance Festival(艋舺国際舞蹈節)」を企画し、200席を備えた「萬座暁劇場」の経営も行っている。暁劇場のアートディレクターであり「Want to Dance Festival(艋舺国際舞蹈節)」のキュレーターでもある鍾伯淵(チョン・ポーユアン)は、「革新性、共生、持続可能性」をコンセプトに萬華地区を中心に国際的な文化交流の輪を広げ、多種多様な舞台表現活動の場を創り上げている。

鍾伯淵(チョン・ポーユアンCHUNG, Po-Yuan)
暁劇場アートディレクター・脚本家・演出家

1985年台湾生まれ。台北芸術大学演劇学科演出専攻。2006年に暁劇場を立ち上げ、2008 年に暁劇場を設立、2008年に修士課程を終え卒業。今まで30部以上の創作、演出の実績を重ねており、「アルマゲドン(穢土天堂)」「地下の女たち(地下女子)」などの脚本集を発表している。CM・テレビ・映画の出演経験もあり、現在は艋舺国際舞蹈節のキュレーターであり、萬座暁劇場のアートディレクターでもある。

AGAXART(アガックスアーㇳ)

2020年舞踏家我妻恵美子により設立。身体、精神、魂の関わり合いを探求し、人々の創造性を高めていくことを目的としている。舞踏の身体操法を主軸に言語化できない内面と向きあい、多様な表現を発掘する場を提供する。国内外でフィールドワークを行いながらワークショップ、公演、イベントの企画制作を行う。主な主催事業として茶の湯と舞踏のコラボレーション「をてらをどりをちゃ」Session1~4(東京・芸術文化振興助成)、2022年日本舞踏と台湾演劇の共同制作「日日是好日」(台北・アーツカウンシル東京スタートアップ助成)、北斎漫画舞踏「北斎漫画の墨の囁き、街の響き」(2022)「おどる湯」(2023)(隅田川森羅万象隅に夢アートプロジェクト)など。

我妻恵美子(Emiko Agatsuma)
AGAXART代表・舞踏家・振付家

我妻恵美子は舞踏家であり振付や舞台演出も行っている。1999年早稲田大学文学部を卒業と同時に舞踏集団・大駱駝艦に入艦、麿赤兒に師事。2020年に独立し舞台・イベントの企画制作を手掛けるAGAXARTを設立。
2015年に自らの振付・演出作品「肉のうた」にてパリ日本文化会館(フランス)より招聘、同年に第46回舞踊批評家協会新人賞を受賞、「舞踏の一角に新風を吹き込んでいる」と評価を受ける。2018年より台湾台北の暁劇場より舞踏指導として招聘される。2020年、台北国際芸術村の滞在芸術家として選出、舞踏ソロ作品「Future Temple」を発表し第39回 Battery Dance Festival(ニューヨーク)よりアジア代表として招聘される。
舞踏指導の経歴は15年以上あり、早稲田大学、国立台北芸術大学、国立台南芸術大学等、日本と台湾のプロのパフォーマーに向けた講義や国内外で舞踏ワークショップを開催している。

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我妻恵美子◁AGAXART▷EmikoAgatsuma
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