ごまめの歯ぎしりレビュー2

かなりの後追いレビューとなるが、11月9日から16日にかけての三本。

11月9日

「地域産業活性化ワーキンググループ」の第2回として、地域交通の現状、それから課題につきまして、前回同様のヒアリングを、今回は都市部および観光地の現状や課題について、移動の足、それからそれ以外の課題も含めて、とのこと。
これは明らかにカーシェアリングを意識した内容であろうと思われる。都市部はともかく、地方部ではタクシー会社というのは地域に影響力の大きな会社である可能性が高い。そのときに、相対的に言えば圧倒的に交通の利便性が高い都市部で先行してカーシェアリングの動きを起こし、後戻りの効かない状態になって、いつもの如く地方部は置き去りとなってハイコスト体質が温存される、というようなことになれば、都市部と地方部の格差はますます拡大する。その点でも、なぜ相対的に市場が充実しており、わざわざカーシェアリングを入れる必然性の低い都市部と観光地でそのようなヒアリングを行うのか、ということについての説明が求められるのではないだろうか。

11月13日 片道、往復?

衆参の質問時間の決め方について、興味深い違いだった。

時々、参議院の予算委員会をテレビでご覧になっている方から、自民党の質問者は質問をしないで自分の考えをだらだらとしゃべるばかりでけしからんとお叱りの電話をいただくことがありますが、あれは一生懸命遅れた時間を取り戻してNHKの放送時間にみんなが収まるようにがんばっているのです。

これはあまりに自分勝手な言い分だと言わざるを得ない。結局NHKが入っている間に、自分の意見をできるだけ放送に載せたいというだけのことで、責任者たる閣僚の答弁なき演説に実質的な意味があるとは思えない。答弁が必要ないような発言を国会質問で行うということ自体大きな問題であり、その正当化の論法としてはあまりに稚拙だといわざるを得ない。

11月16日  記者会見11月14日

基金について、四つの論点が挙げられている。それぞれの議論はもっとものように見受けられるので、さらに議論を深められたら良いと思うが、より大きな問題は、基金成立時に国会の審議を受け、そこでその管理方法などについて議論の上合意に至っているか、ということではないかと思われる。予算例外が国会審議もなくドンドン作られるということになれば、それこそが民主主義の基盤を大きく食い潰す重大な問題点ではないかと思われる。

健康・医療・介護ワーキンググループの第1回目で、ドラッグストアの偏在について触れられているが、ドラッグストアは民間企業であり、基本的には需要がないからお店を構えないのだと考えるべきで、それを規制改革でどうにかできるか、というのは、どうも論点が違うのではないかと感じる。
その上で、本旨はこちらなのだろうが、ドラッグストアでどの程度必要または緊急性の高い医薬品を提供しうるのか、ということも検討する必要があるのだろう。そしてこちらが本旨だとすると、医薬品提供についての規制緩和はおそらく都市部の方が需要が高く、そうするとまたもや地方部をダシにして都市部への利益供与を図っていることになる。このような中央集権志向をさまざまな手法で推し進めるやり方はとてもではないが賛同できない。

公金受取口座について、細かいことを突っ込んでも仕方がないのだが、「ログアウト忘れのシステムを入れる以前に誤登録されていた可能性の高い227件を新たに発見することができました。」というのがマイナカードに関わるものだとしたら、ずいぶん最近の話で、そのシステムがこのような不具合があったということ自体、デジタル庁として大きな失態なのではないかと感じる。さらにコストをかけたであろう新しいツールの成果であるかのように誇張し、書留で連絡するなどという、弥縫のためのコスト上乗せ体質が、できたばかりのデジタル庁でさっそく当然の如く罷り通っているようなのが残念でならない。

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