第一次世界大戦の直接的原因(1)
前回までで、第一次世界大戦に至るロングスパンの前史を見てきたが、ここからはいよいよ第一次世界大戦の直接的原因を見てみたい。まずは、前回見た独露再保障条約の延長拒否の事情についてから考えてみたい。
レオ・フォン・カプリヴィ伯爵
この決定の背景を考えるためには、レオ・フォン・カプリヴィ伯爵についてみてみる必要がある。
ということで、名前からも感じられるように、父系がイタリア・スロベニア系、そして母方の祖父はビスマルクの師匠に当たるという。なお、カプリヴィの名は、彼が英国との交渉の結果手に入れた南部アフリカナミビアから内陸のザンベジ川へのアクセスルートに当たる回廊部に残っている。
ベル・エポック
それはともかく、イタリア・スロベニア系の彼がライヒ宰相にまで登り詰めた理由を見出すには、父親の経歴からでは合理的説明ができそうもない。ここで大きな推測を入れるが、この頃フランスではベル・エポックと呼ばれる一時代が展開されていたという。
文中にもあり、前回も見た通り、フランスの政治は混迷を極めていた時期のようにも見えるが、実際には、長きにわたってヨーロッパに君臨し続けたビスマルクがいなくなったことで、ヨーロッパ全体に自由な雰囲気が広まっていたということなのではないだろうか。そうなると、もしかしたらカプリヴィはビスマルクに引導を渡した人物だったのかもしれない。そこでもう少し本人の経歴を追ってみたい。
ドイツ帝国海軍