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管理栄養士さんと調理補助〜すごく良い人、私を励ましてくれたのに?

 今朝、厨房へ向かうと 大ボスのイワ店長がいて(清水店長は平になっている。この顛末ものちのち…)「W栄養士さん、辞めちゃったよ。突然だけど」

(はぁ………!?)

 私は、また いつもの様に、心の中でビックリマーク付きの叫び声を挙げた。

 W栄養士さんと言えば、以前の完璧美女Sさんの後に来た方で、病院側の栄養士さんで、すっごく早口で喋る、甲高い声の スラリと背の高い、色白、細身の瞳の大きな先生だった。

 書く字が少し、夢見がちな少女のような崩し字で、Sさんより個性的。Sさんは、お習字の見本のような字を書いていた。それに比べると そりゃ見劣りはするかも知れないけれど、W先生の字の個性的な文字は 別にわたし的には好きで、読み易く、分かり易ければ、独創性のある人は むしろ私にとっては好意の対象だった。どこか、イラストや詩などが好きそうな 夢見がちな少女だった印象………。

 その字の印象とは、対照的で W先生はおおらかで、優しい、人あたりのいい人だった。

 最初のうちこそ、私が「うおおおりゃ〜〜〜〜!」と、洗浄してると、ヒイていたが、慣れてくると包み込むような笑顔で話してくれる。

 同じ ヨガの趣味があると知れると、どこのヨガに通っているか、一日どのくらいやっているか、
 または、手相も(私の趣味です☆)見せていただいて やはり、とても自分の内側の観察が深い、哲学的な、優しい方だとうかがえた。

 今は、コロナが流行っているので ジムにも行ってない、ジムやヨガの趣味があるのだが……と言っていた。


 私が、新しい会社の助っ人の人たちになかなか馴染めない時も、よく声を掛けてくれた。

 笑顔でニコニコしてくれて

 大先輩調理補助のすごく厳しいM坂さんが、じつは失敗もする、親しみやすいところもある、と、私がそれとなく伝えると、それからはW先生も少し怖いのも薄らいだようで、話せるようになった(と、勝手に見ている)。

 「お子さんいるんですか?」と、聞くと、 結婚はしているが子供はいない、と答えた。

 以前、保育園に栄養士として勤めていたらしい。

(だからか………どこか、子供が周りにいるニオイがする……)

 時々、無邪気に笑う私と、一緒に笑う笑顔が まるで子供に向けるような、やさしい 若いママのような、そんな人だった。

 「みんな、待ってますよ」

 私が、最後に「辞める」と、言ったあとも、そう言って 励ましてくれた。

 保育園の先生のような…………⭐

 そんな、やさしい人が、突然辞めてしまった。なにも、云わず……
 まわりにも、云ってなかったのか イワ店長も「突然、辞めると言ったんだよ」と、言っていた。


 なにが、あったんですか……?


 いつか、また 逢えることがあるだろうか……

 厨房の控え室には、W先生からの クリスマスのチョコとみかんが置かれていた………


 瞳の奥に、私が初めて「W先生」と、呼んだときの憧憬がよみがえる。顔を真っ赤にしながら……「山田さん、私はセンセイじゃないですよ」照れくさそうに……………



           おわり

 

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