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【創作童話】「白魔女とポチ」ー3ー


 「ああ、亜美ちゃん、こんにちは。今度はなにがあったの?」
「亜美ちゃん、いつもたいへんね。『どら焼きセット』いつもありがとうね」
「亜美ちゃん、今度ばかりは……明日、うちの太郎はだいじな模擬試験(もぎしけん)(ためしにするテスト)があったんだよ。ちょうど庭に出ていて大変だったーー。本番の試験には 雨も 雪も 炎天下も かんべんしておくれよ……」
「すみません……」
 亜美ちゃんは、日に日に自分が”魔女もどき"であることに責任をかんじ始めていました。

 去年の夏は、親友の絵里ちゃんが転校してしまい、さみしくて、悲しくて、大雪を降らせてしまったことがありました。その時、次の日にだいじな野球の試合をひかえていた、2軒隣の宏和くんが風邪をひき、試合に出られなかった、ということがあったのです。
 亜美ちゃんは、この頃からしんこくに、魔女のくんれんを中途はんぱにしてしまったことに、後悔の気持ちを持っていました。
(どうしよう……一時のいきおいで、魔女修行はじめちゃったけど……。わたし、もう一度
普通の女の子にもどりたいわ……!)

 亜美ちゃんのかよっている柏学園には、こうなることを予想して よけいな騒動にならないようにとはからった亜美ちゃんのお祖父さんが、魔女であることを知られないようにと、家からとおくのこの柏学園をえらび、同じ中学校から行くものが無いことをかくにんしての入学でした。
 亜美ちゃんは、入学してからも 用心深く、魔女であることを隠しました。

 おさげの亜美ちゃんは、普通の女の子へのあこがれか、家庭科の成績がとってもいい、お料理やお裁縫のじょうずな女の子でした。亜美ちゃんは、それだけがじまん……。

 ところで、学園のアイドル進君はなぜ亜美ちゃんに近づくのでしょう……?普通の女の子になりたい亜美ちゃんは、けっして進君をふりむかせるために白魔術をつかっていませんが。しかし、東大進学希望の進君の家は みんなにはかくしていますが、貧乏で 大学にすすむのもあぶないのです。でも、「しょうがくきん」という国からのおうえんのお金をもらえるほど、成績もよくないのです。
 和菓子のしにせの亜美ちゃんの家の財産をあてにしてのことでした。

 なんと、不純な男の子でしょう…!!


 そうとは、しらずに今度は亜美ちゃんは、女の子からのいじめにめんえきが付き始めて、進君の写真をながめてはぼーっとしていました。


            つづく

イラストは 近藤 曜さんの
     【野中モモの「ZINE」小さな私の                           メディアを作る】

     です。ありがとう御座いました🍀

 


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