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【創作童話】「白魔女とポチ」ー2ー

 亜美ちゃんが好きな学園のアイドル、小島進は、サッカー部のフォワードです。亜美ちゃんたちファンの女の子たちは、皆で放課後のサッカー部の練習を見学していました。
 そこへ、亜美ちゃんの足もとへサッカーボールが転がってきた。亜美ちゃんが何気なくひろうと、
「ありがとう」
そこには、さわやかな笑顔で小島進がたたずんでいた。
「あ………」
「きみ、可愛いね!」
バクダン発言だ!!
 亜美ちゃんは、周囲の誰が見ても、はっきりわかるほど耳たぶまで真っ赤になった。
「亜美ーーーーーっ!!」
友人たちのしっとに燃える声があがる。亜美ちゃんは、身の危険を感じました。ところがそこへ、ポーンと別のサッカーボールがとんてきて、進の頭に当たった!!
「俺の女に手を出すな!!」
「はぁ!?」
亜美ちゃんも、進もあきれた声を出した。そこには亜美ちゃんと同じクラスのサッカー部員、やんちゃ坊主の中山恭平が立っていた。
「一年坊主のぶんざいで何を言う!!」
サッカー部員の進への信望のあつい連中が叫び声を次々にあげた。恭平は、いいやつなんだけど(と、言われている)少しやんちゃが過ぎるときがある。先輩に目を付けられてもいいのか!?
「亜美は、俺の女だ!!」
「かってにそんなこと言わないでよ!!」
亜美ちゃんは、今度は青くなって言った。
(なんで!?こんな失礼なやつだとは思わなかった。かってに彼女にしないでよ!!)
「亜美、恭平くんが彼氏ってほんとう!?」
亜美ちゃんは、怒りのあまり恭平をにらみつけた。
「うんにゃ、まだ彼女じゃないけど予約しておくぜーーーーっ!!」
恭平は、意外にもかんたんに引きさがって、さわやかに走り去っていった。
「あ、あんがいカッコイイわね。あの走りすがた………」
と、亜美ちゃんの友人たちが言ったが、
「どこが?あんなやつ!」
亜美ちゃんは、心配して進先輩をふりかえった。進先輩は何事もなかったように、亜美ちゃんにウィンクをして立ち去った。
 あとにしっとにくるう女の子たちの群れをのこしながら………

 その次の日から、亜美ちゃんは進ファンの女の子たちからそうぜつないじめをうけていた。

 亜美ちゃんは、悲しくて悲しくて、毎日泣いていた。やはり、当然のように 亜美ちゃんの半径10メートルは、大雨が降りつづいた。頭のいたいのは、亜美ちゃんのお祖父さんの蔵之介と、お父さんの源之介。気のいいまんまる顔のお母さんはオロオロするばかり……
「しかたない、源之介、今回も行くぞ」
「はい。しょうちしました、お父さん。『村木屋どら焼き5つ詰めセット』をひつようなだけそろえましょう!!お前も来るんだ!!亜美!まったくなんで白魔術なんて………」
お父さんは、泣きたそうな顔で言った。
「ごめんなさい、ごめんなさい、お祖父ちゃん、お父さん………」
亜美ちゃんは、また さめざめと泣き始めた。とたんにまた 雨が、ザーーーーーッ……………!
 しかたなく、蔵之介、源之介、亜美ちゃんの一行は 雨がっぱにおおきな傘を刺して、近所中をまわりました。


            つづく

映像は、写真は呼吸〈こさいたろ〉さんの
    孫「おばあちゃん、39万円ある?」
               です。

        有難う御座いました。

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