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瀬戸内の青、蒼、碧 宮脇慎太郎-香川の写真家
芸術祭一色だった昨年
今年は内省的な1年になりそうだ。昨年までの思い出を、記憶をたぐり寄せて、心を落ち着かせる手段しか、もしかしたら残されていないのかもしれない。
昨年は、美術館巡りが好きなクラスタにとっては、いくつかの大規模な国際芸術祭が重なった稀有な年となった。瀬戸内国際芸術祭、あいちトリエンナーレ、岡山芸術交流...。助成金給付の撤回で世間は大揺れとなり、もう国は文化にお金を出さないのか、本当になんでこんなケチな島に住んでるんだと気を落とした年でもある。
アートツーリズムだと揶揄されるかもしれないが、私は地方都市に有名な海外アーティストが展示する作品を見るために旅行するのが結構好きだ。地方の美術館を巡るのと同じくらい好き。しかし、瀬戸内国際芸術祭だけは、「船の乗り換えが不便だから行かない方がいい」と信頼している友人に強めに言われ、それを鵜呑みにして見に行かなかった。(蓋を開けてみると、その友人は一人で出かけていたと後で知ったけれど、一人で旅行するのが好きな人なので、ぜんぜん責める気はない。一人で楽しみたい時もあるよね。)
さて、前置きはこれくらいする。
瀬戸内海の風景を詩に詠むような写真家 宮脇慎太郎
「映画が小説なら写真は詩だ。」と前から思っているのだが、宮脇慎太郎さんは、そういう意味では、やはり瀬戸内の風景を切り撮る詩人みたいだ。
「rias land」シリーズには、毎日、海を眺めている人ではないと撮れないような、多様な角度から陽の光が差し、海面の色合いが豊かに変化する瀬戸内を捉えた作品が並ぶ。私の大好きなシリーズだ。
https://www.shintaromiyawaki.com/portrait-1より
宮脇さんの営むブックカフェ 「solow」
次に香川に行った際には寄りたいと思っているのが、宮脇さんの営むブックカフェ「solow」だ。平日の夜22:00くらいまで空いている、間接照明がオシャレな店内。ここは行ってみたいね〜!
私は海の街に3年間も住んでいたので、潮の香りが好き。入り組んだ海岸線に差す、赤めのオレンジ色の夕陽が、ユラユラと波に反射するのを眺めるのが好きだった。
あの、自分以外の周りの人の時間が止まり、潮風が肌を柔らかく撫でていった時間を決して忘れないだろう。
宮脇さんの写真を見ながら、海の街に住んでいた頃を思い出した。