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アンテナショップ考

写真は駅前にあるレストラン。地産池消の食材でおいしい料理を食べることができると、観光客にも人気だ。

 さて、今日のランチは、アンテナショップのスタッフ8名とともに。昨日でアンテナショップを閉店した。店は10月に別の場所で移転する。と同時に、我々はこのアンテナショップから手を引くことにした。スタッフたちとは、最後のごはんとなる。

 我が法人は今から10年前にアンテナショップ業務を委託した。以来、10年間、次から次へと委託を受け、これまでショップ経営に携わってきた。
 「金の切れ目が縁の切れ目」とはよく言ったもので、アンテナショップは行政やクラウドファンドなど別からの資金を入れないと、運営ができないような仕組みになっている。もし、単体で利益を出すというなら、仕入れを安くして地元業者の利益を薄くすることしかなく、それを民間でやるというなら、よほど奇特な方と言えよう。地元の食材だけでは、まかなえないものも多いなか、地元だけにこだわるのは行政でない限り相当難しい。

 このたびの移転に伴い、行政との契約を打ち切ることにした。理由は色々とあるが、一つには「アンテナショップの成功とは何か」に疑問を抱き始めたことにある。この店は、当初、潤沢な運営費を予算で計上できなかったため、売上は我々のものとなることで、その問題を解消することとなった。スタッフをはじめバックヤードも試行錯誤し、初年度の赤字からスタート。5年目には大きく黒字へと持っていった。と同時に横やりが入った。

—「儲けすぎ」

果たしてアンテナショップの成功とは何か。
銀座の一等地でビル丸ごとアンテナショップにし、年間数億の運営費を計上する店舗もある。決してそれを否定するわけではない。それ以上の「利」があればいいことで、その「利」をどこに設定するかは、自治体によってさまざまであるのだ。

我が財布には、ついつい「釣銭のために」と使えない50円玉と500円玉が数枚入っている。しかし、明日からは釣銭切れの心配をすることもない。寂しい。

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