やはりハイヒールは女の武器である
街を歩いていたら、じいさんに「すごいなー、ボイン」という言葉を投げつけられた。
この手の暴言は何度か受けたことがあるが、大抵すれ違いざまに言われるため、は?と思った時にはもう通り過ぎており、文句を言うなら方向転換して追いかけねばならない。
そこまでするのも面倒なのでしないけど。
こういう暴言を言われるようになったのはここ数年のこと。
楽に歩けることを優先して、ぺたんこ靴やスニーカーを履くようになり、ファッションもそれに合わせたものになったからだと思う。
大人しそうで、言い返してこない女に見えるということだろう。
若い頃は常に7センチ以上のヒールを履き、ヒールも歩きやすい太いものは好きではなく、見た目にもかっこいい雰囲気のハイヒールが好きだった。
それに合わせるファッションはもちろん、バッグやメイクなども今とは違う。
そういう格好をしていた頃に、道端で暴言を吐かれたことは一度もない、たったの一度も。
大人しい女に見えなかったということだと思う。
バチバチにメイクをキメ、ブランドバッグを持ち、洋服とハイヒールを纏うのは「武装だ」という女性もいる。
それで自分にスイッチを入れ、社会で強く戦うのだと。
今までその理論については、確かに気持ちは上がるかもなぁ……程度にしか思っていなかった。
だけど今回のことで腑に落ちた。
やはりハイヒールは女の武器である。
帰宅してこのことを夫に話した。
そうすると「女性はおっぱい大きいって言われたら、嬉しいんじゃないの?」とのたまった。
今までも数えられないほど、面と向かって大きいねと言ってきた奴もいるし、おそらく褒め言葉と思っているんだろうなとは思っていたが。
夫よ、お前もか。
じゃあ、道で知らんおばさんに「あら、おち○こ大きそうね」と突然言われて嬉しいのか?と問うと黙った。
仮に襲われた時に逃げられないというパワーバランス的な不快さを加えるなら、知らないゴリマッチョおじさんに突然そのセリフを投げつけられると考えたほうがいいかもしれない。
褒められたと喜ぶのか。
恐怖と不快感しかないだろう。
胸の大きさを褒めると喜ぶというのは、同性同士でもある誤解だと思う。
わたしは同性であれば不快とまでは思わないけど、嬉しくないし喜びもしないし、それを言われても返答に困るだけ。
身体的特徴に言及するのは失礼にあたることだと、もっと多くの人に知られて欲しいなと思う。