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【2回目の緊急事態宣言】ピンチをチャンスに〜面会交流をとおして親同士の関係をラクにする

2回目の緊急事態宣言が発出される状況となってしまいました。

お子さんがいて別居や離婚を経験されているご家庭では、離れて暮らす親子の会う機会(面会交流)について、どうなってしまうのか、どうすればよいのかご心配に思われていることと思います。

私はりむすびという団体で、お子さんのいるご夫婦や元ご夫婦が、別居や離婚を経て親同士として関わる上でのさまざまなご相談を受け、少しでも穏やかな関係となれるよう支援をしています。
 
支援をするなか、1回目の緊急事態宣言を経て、結果的にこの時代のピンチを親同士の関係改善のチャンスに変えられた、そんな歩み寄りが見られた事例がいくつかありました。学ばされる経験となりましたので、2回目の宣言下に突入する今、考察をまとめたいと思います。

別居や離婚をするほどの相手と、子どもの面会交流を通して関わっていくだけでもそれなりに負荷がかかるところを、この非常事態にさらに悩まれているという方にもご参考になれば幸いです。

コロナ禍、感染者数の爆発的増加や、緊急事態宣言を受け、子どもと一緒に暮らす親(同居親)、離れて暮らす親(別居親)は、それぞれ子どもとの面会交流についてどんな気持ちになるのかまず考えてみます。

円満ではないまでも、どちらの親も定期的な面会交流を継続していく約束が共通認識となっている場合では、

同居親の気持ち
「できれば外出させたくない、感染リスクに子どもさらしたくない、でも面会交流休止と言ったら相手(別居親)は約束を破ったなどとネガティブに捉え怒ったり責めてきたりするかもしれない」
別居親の気持ち
「親としては感染リスクに子どもをさらしたくない気持ちはあるけど、相手(同居親)から会わせたくないと言ってくるかもしれない、せっかくの限られた機会を自分から面会交流休止でいいなんて言ったら、相手は会わせなくていいものだと思ってしまうかもしれない」

いずれもそれぞれの立場で相手に対して不安を抱くことが想像されます。

言うまでもなくケースにより千差万別ですが、子どもに会いたい別居親と、別居親と必要最低限の関わりのみとしたい同居親、という関係性では概ね同じように思うことが多いと感じています。

「感染リスクに子どもをさらしたくない」という親としての想いは共通しているものの、それぞれこれまでと違う判断をすることが相手にネガティブに作用するのではという不安は大きく、どうすればよいのかわからないと悩んでしまうのも無理もないことです。

(りむすびのコンサルタント仲間である江島が自身の別居親としての経験もまじえ以下のような記事を書いています。こちらもよかったら。)


このピンチが結果的に相手との関係を穏やかなものにするチャンスとなった複数のケースで、同居親が別居親に、別居親が同居親に対して行った「歩み寄り」とはどんなものだったのでしょうか。

別居親から同居親への歩み寄り

感染リスクをなくすための徹底的に協力するのでできればこれまでどおり面会交流を実施したい、と希望を伝えながらも、それでも不安があるならば面会交流は休止しても構わない、と先んじて相手(同居親)の判断に寛容な態度を示したことでした。
子どもに会いたい気持ちに変わりはなく、「次にはいつ会えるかという不安はある」と自分の気持ちも怒りではなく不安として素直に伝えつつ、ただし、自分も親として子どもの安全第一を優先するという姿勢を示したのです。

同居親から別居親への歩み寄り

面会交流をどうしたら「実施できる」か前提で検討したこと、その姿勢が相手(別居親)に伝わったことでした。
面会交流を実施するために、感染リスクをなくすための徹底した協力を別居親に求めることはあっても、あくまでも「実施できる」ように考えるというプロセスを経たのです。
結果として対面の面会交流を休止せざるを得ないとの判断もありましたが、それが、考え抜いた上での苦渋の決断であり、状況がよくなればいつでも再開したいということ、また、対面以外にも親子が離れていても繋がっていると感じられるよう、できる限り協力したいと思っていること(例えば電話やLINEビデオや写真など)を具体的かつ先んじて示したのです。

両者が同時に歩み寄ることは実際には難しく、必ずどちらかが先に勇気を出して歩み寄り、その結果、相手も穏やかに変化をしていきました。
結果としての面会交流がどうあれ「尽力してくれて、配慮してくれて、ありがとう」という感情が残ったのですね。
いずれも二人の間に立って支援をした事例ですので、つまりはお互いが直接やりとりをできるほどの関係ではないわけなのですが、それでも支援者の向こう側にいる相手を想像しながら、先に歩み寄る方は本当に勇気ある対応だったと感じました。

緊急事態宣言解除後さっそく安全面に配慮しながら面会交流を再開させようと双方が協力する様子を見たときには、ピンチのときの態度が関係改善のチャンスになったのだな、と感動したのを覚えています。

あらためて、面会交流は結果にすぎないと私は思っています。
実施をするための過程で相手に歩み寄ることで生まれる信頼関係こそかけがえのないもので、土台となる信頼関係が盤石なものになれば、結果としての面会交流が自由度を増していく可能性は十分にあります。

(緊急事態宣言を受け)
私が「面会交流休止したいです」なんて言ったら…
私が「面会交流決行したいです」なんて言ったら…
相手はどうせ反発するだろうな

そんな想像をして気が重くなったら、身構えるであろう相手の期待をいい意味で裏切り、先に歩み寄ることを考えるのは無駄なことではありません。

あらゆる意味で我慢を強いられる今、どうせなら相手の信頼を得られる我慢をしたいものです。

そこで得られた信頼関係は、今の我慢よりもきっとずっと長い時間、平和をもたらしてくれるはずだと思っています。


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