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ボロボロのベース

 私の使っているベースの背面は、このように傷がついている。いわゆるバックル傷というもので、文字通りベルトのバックルによってついてしまう傷のことなのだが、この傷は私がつけたものではない。私の体格だとこの位置に傷はつかない。

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このベースはレリック加工(あるいはビンテージ加工、エイジド加工)が施されている。最初から至るところ傷だらけ、金属にはサビが浮き、塗装には無数にヒビが走る。そんなもんで、よく「ビンテージですか?」と聞かれるが、実はまだ小学校高学年くらいの若い子。それをわざわざ職人の手でお年寄りに仕立てている。そして見た目だけでなく、音もまあまあ枯れているから大したものである。

しかしこれを作った人は、どんな弾き手をイメージしてこれを作ったのだろう。それともお手本の個体があるのだろうか?だとしたらお手本の個体の弾き手は誰なのか。なんてことをふと思った。そして、もしこの楽器の持ち主が私だと知ったら作り手はどんな反応をするだろう、とも。

私がこれを中古で手に入れたと仮定して、前の持ち主を想像してみるのも楽しい。背の高い人?太った人?プレイスタイルは?ピックガードの感じからすると指弾きかな、もしかしたら私は3人目の持ち主かも。しかしこんなに傷だらけって、どんな扱いよ…などと、イメージはどんどんと膨らんでいく。

私のベースプレイも、自由自在にイメージが膨らめばいいのにな。

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