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ドライブに行ってみな。 - Barossa Valley

「どうしてる?」と当地の先輩に聞かれて、「家に引きこもって勉強と読書で過ごしている」と答えると、見兼ねたかのように「ドライブに行ってみな」と提案された。

「アデレードは、中心地から車で1時間弱も走れば、そこそこ田舎に至るから」と先輩は言う。ちょうどその先輩におすすめしてもらった南オーストラリアで一番になったというドーナツ屋がちょうど車で1時間くらいのところにあり、天気の良さそうな日を狙って行ってみることにした。

いつもはお出かけのお供はPod castを聴くのだけれど、今日は気晴らしとして、邦楽を流していくことにした。

60km/h制限のいつもの見慣れた風景の一般道路から、北方面に走る110km/h制限の高速道路に乗る。といっても、料金所もなく無料なので、一般道路の延長みたいな感じではあるのだが。これまで日本で80km/h制限メインで暮らしてきた私にとっては110km/hで走行するだけでも刺激的ではあるし、何せ小型車なのでスピード出しすぎて壊れるんじゃないかと多少ヒヤヒヤした。

高速道路の両脇は、これぞオーストラリア、広くて大きな土地と空が広がる。今までアデレード市街地しか生活範囲がなかったので、新鮮。というか、日本の私の故郷の景色と似ていて、逆に懐かしくてほっとした。私は根っからの田舎好きなのだと思い知った。やっぱり都会は苦手。(便利だけれども。)

30分くらい高速道路を走って、Barossa Valley方面に抜ける一般道に入る。アップダウンを抜けると、そこには息を呑むような満開の菜の花畑が一面に広がっていた。これだけでも、気持ちが晴れた気がした。

満開の菜の花。春です。

菜の花畑を抜けると、今度は私の故郷で見慣れたぶどうの木が至る所にたくさん植っている。「あれ、ここはワインの産地なのか」と思いながら走り抜けていくと、Jacob's creekの門構えが登場。ここでようやく、目指す場所が Barossa Valleyと知った。なにせ、目的のドーナツ屋に行くことしか頭になかったもので…。

これぞBarossaな広大なぶどう畑。

目的のドーナツ屋はここ。人気のようで、次々にお客さんが入ってくる。

オーストラリアのドーナツはクリーム入りが主流なのか、この店もクリーム入り。今回はNutellaとレモンチーズケーキをチョイス。お値段は1個で$7ちょい、と値が張るものの、クリームたっぷり入って食べ応えは十分すぎるほど。朝ごはん抜きで来たのに、1個で満腹になるボリューム。確かに美味しい。甘いので、コーヒーとセットで食べるのがオススメ。1個は持ち帰り。個人的には、レモンチーズケーキが美味しかった!
お土産用のミニサイズ4個入りセットもありました。

SA州No.1になったらしい。この日もたくさんお客さんが来ていた。
オーストラリアは穴のないドーナツが主流?
ドーナツ以外にもシナモンロールも並ぶ。

ドーナツ食べて、お腹もいっぱいになって、街をぐるっと。1時間もあればメインストリート制覇できるくらいの小さな街。独身だったならこういうところで過ごすのもいいなあと思った。

帰りも両脇に広がるVine yardを通り抜け、再び満開の菜の花畑に差し掛かったとき、iPhoneからは秦基博の「グッバイ アイザック」が流れてきた。カラオケでよく歌っていた曲だったなあ、と思って口ずさむと、その歌詞に不意に涙がボロボロと溢れてきた。

「積み上げた昨日に きっと 嘘はないから」

そうだ、今頑張ってるんだ、と自分に対して心の底からようやく思えた瞬間だった。

おいしいドーナツと綺麗な景色と、元気の出る歌と。
最高のデトックスだった。

きっと、先輩の提案は、私の淀んだ心を見透かしてのことだったんだろう。

明日からまたいい日になるといい。

Natsu

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