分身ロボットカフェ「DAWN」Ver.β 「人とロボット」が創る豊かな出会い。
8月3日、友人の美保ちゃんと一緒に娘たちを連れて、分身ロボットカフェDAWNに行ってきました。
DAWNは、難病や障がい等で外出が難しい人々が働く「実験カフェ」。
分身ロボット「OriHime」「OriHime-D」を、遠隔操作する方々(オーストラリア在住の方もいた!)が、料理の注文をとったり、飲み物を運んだりしてくれます。
ロボットを遠隔操作をするメンバーは「パイロット」と呼ばれ、現在50人以上いるとのこと。
私たちのテーブルにも、「OriHime」「OriHime-D」を通じてパイロットが会いにきてくれました。
「OriHime」「OriHime-D」は、見た目がとてもキュートなのですが、オフモードの時はやっぱり、無機質な「ロボット」。
でも、そこにパイロットが入るとたちまち、個性あふれる「誰か」になります。
一番最初に私たちが出会ったパイロットはおおのっち。
テーブルに設置してある「Orihime」と通じて、
「こんにちは!おおのっちです。今日は二人はどこから来たの~?」
身振り手振りをつけながら、娘たちに気さくに話しかけてくれます。
冗談交じりにメニューの紹介をしてくれたり、「Orihimeじゃんけん」をして、娘たちとも遊んでくれる明るいおおのっち。数年前に首の怪我をされ、電動車いすで生活をされているそうです。
皆で「Orihimeじゃんけん」対決をしていると、「OriHime-D」がドリンクを運んできれくれました。
テーブルに乗る小さめサイズの「Orihime」と違い、「OriHime-D」は全長120cmあり、カフェ内を移動して注文の品を届けてくれます。
こちらのパイロットは「ゆーちゃん」という女性でした。
ゆーちゃんがやってくると、子供たちはスクッと立ち上がり、色んなアングルでパシャリパシャリ!
その姿は小さなカメラ小僧(笑)
ゆーちゃんにも、Orihimeの操作の仕方とか、色々教えてもらいました。
料理が届く頃には、「チェンジ」のお時間。おおのっちは別のテーブルにワープするとのことで、記念撮影をしてお別れ。
しばらくすると、私たちの「Orihime」には、ちふゆさんが来てくれました。
声が可愛いちふゆさん。ちふゆさんは、「慢性疲労症候群」という難病になられてから、ずっとStayHomeの生活を送られています。
初めて聞く病気でした。
「慢性疲労」という言葉から、「ただ疲れているだけでしょ?」と誤解されてしまうこともあるそうですが、実際には日常生活も困難になり、患者さんの3割は寝たきりになってしまうと聞きました。
また、新型コロナウイルスに感染した方々で、この病気が疑われる症状を訴える例があるそうです。
ちふゆさんは、StayHomeの日々で話す相手が限られてしまっていた中で、Orihimeのパイロットという仕事に出会い、これまでよりも社会と繋がることが出来たと話してくれました。
Dawnカフェに訪れると、ご飯を食べながら、こうして色々なパイロットの方と交流をすることができます。
それは、お客さんとして来ている私たちにとっても、接客をしてくれるパイロットの方々にとっても、新鮮でワクワクする出会いの場。
でもそれだけじゃなく、パイロット同士でも、チームでシフト調整をしたり、オンライン交流会を開いたり、継続的に繋がる仲間が出来たそうです。
こんな素敵なカフェを実現してしまうなんて、オリィ研究所さん、本当にすごい。
分身ロボットは、子供が早口で話しかけても、
「音声ヲ認識デキマセンデシタ」
なんて反応はなく、聞き取れなくても「ん?なぁに?」といった風に返してくれます。
見た目はロボットでも中身は人間なので当然と言えば当然。
だけど、そんな当たり前のやり取り一つ一つに、凄く凄く感動しました。
だって、会話自体は平凡でも、このカフェで、「Orihime」という分身ロボットがいなければ、私たちが、パイロットの皆と出会い、会話することは出来なかったんです。
ズームなどでのオンライン会議とはまた違った、分身ロボットを介しての会話。
今まで経験したどれと似ているとも表しにくい、すごく特別な体験。
パイロットが交代しても、「Orihime」の外見は何も変わりません。
でも、目の前のロボットは、確かに、「おおのっち」になり、「ちふゆさん」になるんです。
その証拠に、娘たちがカフェにいる間、せっせと描いた似顔絵には、ロボットの下に、一つずつ、「おおのっち」「ちふゆちゃん」「ゆーちゃん」…と、それぞれの名前が付けられていました。
子どもたちの目にも、一体のロボットが、パイロットが入れ替わる度に別人物に映っていたんです。
こんな素敵でキュートな分身ロボットが、もっともっと私たちの町のいろんな所で活躍してくれたら嬉しいな。
DAWNカフェに滞在した75分
それは、「社会の中にある障がい」をそっと外してくれる、そんな可能性を見させてくれました。
楽しいひと時を、ありがとうございました。