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録音された優しい声
三十年近く前の、カウンセラーとして駆け出しの頃のお話です。
自分のカウンセリングを振り返るために、カウンセリング内容を録音して聞くということを何回かさせていただいたことがあります。
もちろん、録音させていただくこと、自分の勉強のためなので門外不出であることは、ちゃんとクライアントさんに伝え、許可を得ます。
カウンセリング内容を録音するということは、今は全く行っていませんが。
許可を得て録音させていただいたものを家で聞いていたときのことです。
小さなワンルームのカウンセリングルーム。
その部屋には、私とクライアントさんだけ。
私もクライアントさんも女性です。
テープには、二人の声だけが入っている・・・・はずでした。
クライアントさんが辛い話をひとしきりされて一呼吸置いたときです。
男性の声で「辛かったなー」という声が。
え? 気のせい? と聞き直したのですが、やはり聞こえます。
本来なら、カウンセリングの録音を自分以外のものに聞かせると言うことは一切しないのですが、“その部分だけ”子ども達に聞かせました。
「うん、男の人の声がしてるよ。部屋にいたんじゃないの?」
「はっきり聞こえるよ」
いえいえ、部屋には私とクライアントさんだけ。
窓とドアを閉め切った部屋で外の声が録音されるはずもありません。
しかも声の聞こえかたからすると、私たちのそばにいた聞こえ方。
ふと思い出しました。
クライアントさんのお父様が少し前に亡くなられたということを。
ああ、もしかしたらお父様がクライアントさんのそばについていて、大事な娘を応援していらっしゃるのではないか、そう思うと、少しも怖いと思いません。そこにいなかったはずのその声はとても優しい声でした。
クライアントさんにそのことはお伝えはしていませんが、今でも、あの声は彼女を応援しての声、多分お父さん、と思っています。そのクライアントさんは今はとても幸せに過ごされているとのこと。
私はスピリチャルカウンセラーでもありませんし、霊感があるとも思っていませんし、万が一、少し人よりそういうものがあったとしても、それを仕事に利用しようとも思いません。
カウンセリングは、正しく学んだ心理学に基づいて行っています。
でも、実は、時々、大切な家族を心配してそばで見守っている〝存在〟を感じる、そんな気がするときがあります。
長年カウンセリングをしていると、そんな瞬間が何度かあったりしました。変な人だと思わないで下さいね。
ええ、しつこく言いますが、私はスピリチャルカウンセラーでもありませんし、霊能力者でもありません。
もしかすると、クライアントさんの中の亡くなられた方への思いや愛が、クライアントさんと向き合っているとき、そういう形で私に伝わってきたのかも知れません。
でも、その優しい声は、レコーダーにちゃんと録音されていて、私の子ども達にも聞こえたのですが・・・・。
ええ、もう一度言いますが、私はスピリチャルカウンセラーではありませんし、スピリチャルカウンセラーの人にお叱りを受けそうですが、スピリチャルカウンセラーの人って、誰が来てもこれを感じるの?
え、しんどくない? 本当に聞こえてるの? と、どちらかといえば疑っているタイプな人間です。
お盆には、あなたを見守ってくれている大切な人に、是非、手をあわせてみて下さい。
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