見出し画像

愛犬との会話

これは夢なんだろうか。

昨年亡くなった愛犬メルが私の顔を舐めている。
「大丈夫?本当に心配で寝てられないよ」とメルがいう。
ああ、メルが喋っているということは夢なんだなあ、とぼんやり認識する。

嫌なことがあったとき、疲れたとき、私はいつも彼女に話しかけた。
じっと私の目を見つめて、話を聞いていてくれたメル。
犬とは思えない落ち着きがあった。
普段はひとりが好きなのか、自分の好きな場所で寝ているメルが、私の心が落ちているとき、私の横にそっと座って、私の話を聞いてくれた。

「あなたが喋れるといいのにね」という私にいつもとても困った顔をしていたっけ。

そんな彼女がいなくなって、知らない間に、心にチリが積もったようだ。
表面張力で維持されていた心のコップがブワッと溢れてしまったようだ。

人一倍、自信がなくて、すぐに落ち込んでしまう私。
私を「イメージ通りにしようとする力」が大嫌いなのに、気付いたら「相手のイメージ」に沿った行動を取ろうとしている自分に気づいて落ち込む。今の世の中、他者を自分のイメージ通りにしようとする人のなんと多いことか。そんな世の中でよく生き延びてこれたなあと自分でも思う。

ここから先は

633字 / 1画像
この記事のみ ¥ 100

サポートありがとうございます。自営業で、人と接する仕事をしており、コロナの影響でダメージを受けている中、本当にありがたいです。