私には覚悟がなかった
「大切な人はいないし私が何をしても誰も悲しまないし」なんて御託を並べながら 言い寄ってくるひととどうでもいい関係を築いたり 直接ではないにせよ自分が誰かを傷つけていることに気づきながらも 都合のいい関係に落ち続けていた
わたしは結局なにがしたかったんだろう。
「好きな人に嫌われる覚悟」なんて持ち合わせていなかった
私のことを大切にしてくれて好きだと言ってくれるひとがいた 一緒にいてほっこりする 彼が喜んでくれると私も嬉しくなる とても幸せだった
だけど「この人にもいつか嫌われてしまう日が来るかもしれない」
そんなの耐えられなかった 好きな人に嫌われるくらいなら自分から嫌われたかった 失望させるかもしれないと想像したら自分から失望させたかった 自分が気付かないところで相手の気持ちが変化してしまうかもしれないことがもう耐えられなかった
だから私は一方的に別れを切り出した 「別れの理由なんて説明する必要ない」「もう無理」 会話の余地すら与えなかった 歩み寄ろうとしてくれる彼の優しさを無駄にすることも 悲しんでいる彼の姿を見ることも耐えられなかった はやく終わりにしてはやく逃げたかった
結局私は自分が自分以外の誰かに傷つけられることが許せなかった 私は自分を守りたかっただけ そのために大事な人を傷つけた
だけど今ならわかる 私には「幸せになる覚悟」も「誰かを幸せにする覚悟」もなかった ましてや「好きな人に嫌われる覚悟」なんて持ち合わせていなかった
「あの頃の私に少しでも覚悟があればよかったのに」失ったものの大きさにやっと向き合うことができた今なら思う いつかどこかで会いたいなぁ。