人の優しさに触れたひと時でした。
海岸を歩いていると、波打ち際に一つの黒い存在があった。
生き物だ、砂浜の上で動けなくなっている中学生ぐらいのサイズのイルカだった。
彼は動けなくなっていた。波の思がまま来たり戻ったりを繰り返していた。数人の人だかりができていて、外国人らしき長髪のサーファーとカーリーヘアーの彼女が見守っていた。
僕も前にしゃがみこんで、観察をしました。
尾鰭がヒクヒクと動いている、自力では海に戻れずに、強い波が来ると反転したり、時には回転している。
なんとも言えない気持ちになった。
手で押して水深の深いところまで押してあげたらいいのか。
それともこれが自然なのだと立ち去るべきなのか。その座っている間にたくさんの思考を巡らせていた。
ただただ座っていた。人だかりは増え、3歳ぐらいの子どもを連れた家族もそこに来た。
みんなが手を合わせて祈っているようだった。
一手が出てこない、そんな心境に感じた。
近くでカメラを回していた、男の人と撮影されていたであろうサーファーが海から上がってきて、イルカに近寄る。
触れたり話しかけたりしながら、様子を伺っているようだ。
どうしようかと考えていたように僕には見えた。
そして、そのサーファーの男性はイルカの尾鰭を海側に向けて動かし始めた。
ゆっくりだがイルカは導かれるように動き出した。
外国人の長髪のサーファーもそれに続いた。
二人で尾鰭を優しく持ち、ゆっくりとまるで一緒に泳いでいるかのように沖へと向かい泳ぎだした。
高い波を超え、2人とイルカはゆっくりと沖まで向かい、そして別れた。
肉眼で見れる限界のところまでイルカの行方を追った。
尾鰭が波の上にチョンと出ていて、泳げているようだった。
とても感動しました。
人の優しさに。
子ども達も最後まで見守っていました。
うちの子どもにも帰ったら話してみよう。