英国株式市場の主なアクティビスト投資家
日本でも色々話題のアクティビスト。英国でも当然収益機会をうかがっている。アクティビストの活動についてもいつか分析、紹介していきたい。まずは概要。
英国で投資している主なアクティビスト
エリオット・マネジメント:ポール・シンガーが設立した世界最大の米ヘッジファンド。AUMは約USD 70bil。2021年には香港オフィスを閉鎖し東京とロンドンに人員を移したらしい。
サード・ポイント:ダニエル・ローブが1995年に設立した米ヘッジファンド。AUMは約USD 27bil。英国ではダイレクトライン (保険会社)への株主還元とコスト削減要求がありました。
セビアン・キャピタル:スウェーデンのヘッジファンド。AUMは約USD 13bil。最近ではUBSにEUR 1.2bilを出資したことでも話題に。
シルチェスター・インターナショナル・インベスターズ:モルガンスタンレー出身のスティーブン・バットが創立した英ロンドンのヘッジファンド。アクティビスト、というか金融セクターガスを好んで割安株投資をしている印象。
オアシス・マネジメント:セス・フィッシャーが創立した香港のヘッジファンド。AUMはUSD 3bil。英国ではGreencoreやPremier Foodsといった食品製造業に投資 (英国の食べ物…)。不動産にも積極的。
スティール・パートナーズ:米ヘッジファンド。AUM 78bil。英Kiwi Power (分散型電源管理)、仏GravitHy (グリーンスチール生産)、独Ineratec (再生可能エネルギーから合成燃料製造)と脱炭素、環境技術、エネルギー関連に注力している。欧州=ESGみたいな感じなのか。
英国での最近のキャンペーン
エリオット・マネジメントによるBT (ブリティッシュテレコム)グループへの株主提案:コスト削減や資産売却を求め、株主価値の向上を目指した。エリオットはBTの元会長を顧問として起用している。
セビアン・キャピタルによるスミス・アンド・ネフュー (医療機器メーカー) への投資:約5%の株式を保有し、企業の株価を6.9%押し上げる要因となったらしい。
英国におけるアクティビスト投資の規制環境
2006年の会社法改正:取締役が株主だけでなく、他のステークホルダーの利益も考慮する義務が明文化。
コーポレートガバナンス・コードとスチュワードシップ・コードの導入:アクティビストによる提案が増加し、市場全体での透明性向上に寄与していると言われている。
ESG(環境・社会・ガバナンス)への関心の高まり:アクティビスト投資家は企業の持続可能性や社会的責任にも焦点を当てている。
英国株式市場へのアクティビスト投資家の影響
企業ガバナンスの改善:企業はより透明性の高い経営や効率的な資本活用を求められている。
株主還元の強化:自社株買いや配当の増加など、株主価値向上のための施策が増加傾向。
経営戦略の見直し:事業ポートフォリオの再構築やオペレーション効率性の向上など、中長期的な企業価値向上を目指す提案が増加。
国際的な影響:日本など他の市場でのアクティビスト活動の増加が、英国市場にも波及効果をもたらしている。企業の競争力を維持するため、CEOの給与を米国並みに引き上げる等も。
「脱ロンドン」の動き:一部のアクティビストによる上場企業の他市場への移行提案が注目されており、継続的な強さを見せる米国証券所への上場が求められる傾向。
最後に
というほどコメントもないが、ヘッジファンドの目線は参考までに把握しておくことが重要。個人投資家としては経営層への直接のアクセスはほぼ不可能だし同じことをするのは無理、またヘッジファンドの全ての投資がうまくいっているわけではないだろうけど。