モーガン・シンダル・グループ (MGNS)

ロンドン証券取引所 (LSE)上場のMorgan Sindallの紹介。外部環境も見た感じ良さそう、業界内でのポジションもある程度築かれている、財務健全性も高い、という感じ。
同業内競合他社と比較してP/Eレシオも低いが、将来計画が低めに出されているだけな気がする。2024年7月には半期実績の年間予測に対する進捗が好調だとも発表済。

主要指標及び株価パフォーマンス

以下ざっくりまとめ。直近12カ月でも約44%のリターン。

会社概要

設立: 1953年
CEO: ジョン・モーガン (創業者、7.5%株主)
事業内容: 
- 建設: 病院や教育機関、商業施設等の建設
- インフラストラクチャー: 高速道路、鉄道、エネルギー、水、等のインフラ構築
- フィットアウト: 商業施設、中央・地方自治体庁舎、銀行、教育機関等の改装
- プロパティサービス: 社会住宅や公共セクターのための対応と計画的なメンテナンス
- 都市再生: 街づくり、都市景観の改善等のプロジェクト
従業員数: 7,600人

成長戦略

英国での建設業界最大手の1社、病院建設業界では業界トップであり、NHS (英国国民保険サービス)と病院等の開発に関するパートナーシップを締結済。都市再生やインフラ事業とも関連し、施設の建設から派生し地域社会作りにも入り込んでいる。
引き続き高品質で確実なサービスを継続することで事業拡大を目指す。
現在は英国売上高が100%だが、Kier Group (英国建設最大手)とも連携し将来的な海外展開も目指している。

外部環境

英国建設業界は市場規模約1,850億USD、2029年までに2,100 億USDへの拡大が見込まれている (CAGA 2.26%)。主な要因は、英国政府が公表済の年間30万戸の新築住宅計画。あとは2050年のネットゼロ達成に向けて住宅や商業施設含む多くの建物の省エネ化、高効率化が求められる中で建物の改装需要も大きい。
主なリスクとして、インフレによる資材費等の高騰は利益押し下げ要因になりうるし、必要な建設人材不足も懸念される点が挙げられる。

財務情報

下表が直近3期の財務数値要約。
2022年の利益落ち込みは、インフレによるコスト増加と金利上昇に伴う建設工事の一時的な減少によるもの。
2023年は堅調なインフラ事業と、エネルギー効率向上需要からくるフィットアウト事業の成長もあり、増収増益。
現預金も2023年末でGBP 541M、有利子負債GBP 143Mを十分カバーしており、流動資産が総負債を上回る状況。十分な流動性と手元資金を有しているように思われる。

過去の1株当たり配当推移は以下の通り。小型割安株、という意味ではここは大して重要ではないかもしれない。基本的に配当は多いに越したことはないし、十分な手元資金があることとエネルギー危機からの高インフレ時にも1株当たり配当が伸びているという点からも、今後もある程度維持はされるのではないか。

最後に

アナリストレポート…と呼べるような形で網羅的に情報をまとめることはできていないが、英国建設市場の大手の一角として悪くない会社だと思う。実際にシティでは多くのビルが未だ建設中 (大体遅れる)だし計画地もよく目にする。また、イングランドとウェールズでは2028年までにEPC(エネルギー性能証明書)をC以上にすることが求められているため、ロンドンの住宅街ではその改善のために多くのリフォーム工事が行われているのを目にする。今回の対象会社に限らず英国建設業界関連は成長余地が大きいと感じる。

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