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顕微授精由来の胚移植で部分胞状奇胎になったのはなぜ?

【ご質問原文】

こんにちは。質問させてください。 

顕微授精で妊娠し、13週まで継続したのですが子宮内胎児死亡となりました。
分娩後、胎盤を病理検査 に出したところ部分胞状奇胎が判明しました。

顕微授精でも部分胞状奇胎になることはありえるのでしょうか?

人為的ミス以外の理由で考えられることはありますか? 教えていただきたく思います。
宜しくお願い致します。

【回答】

ご質問ありがとうございます。

まず、簡単に胞状奇胎についてご説明します。
(知らない人のために)

胞状奇胎とは、異常な妊娠のひとつで、胎盤となる絨毛細胞が異常に増殖してしまい、重篤なケースだと絨毛細胞が癌化してしまうという怖い妊娠です。

胞状奇胎には、全胞状奇胎と部分胞状奇胎の2種類に分けられます。
それぞれの起こる原因ですが、どちらも精子由来のDNAが胚の中で過剰になったために起こると言われています。

全胞状奇胎では、卵子側の核が何らかの影響により消失してしまい、そこに精子が入って来た事により、精子のDNAのみで出来上がった胚が原因だと言われています。

一方、部分胞状奇胎は、主に1つの卵子に精子が2つ入って受精してしまう、いわゆる多精子受精で起きると言われています。

今回のご質問者様が疑問に思ったのは、「顕微授精は精子を1つしか注入してないのに、なんで部分胞状奇胎になるのか?」という事ですね。

本当になんでだろう?と思いますが、考察してみます。

考えられる原因としては、

「2倍のDNA量が入った精子を1つ卵子へ注入してしまった」

「2倍または0.5倍のDNAを持った卵子に精子を注入した」

「分割の過程でTE細胞に精子DNAの偏った細胞が密集した」

などが考えられます。

通常、卵子が1セットのDNA、精子が1セットのDNAを持っていて、受精する事で2セット(2倍体)のDNAとなり、受精卵となります。

しかし、卵子も精子も1セットのDNAのみを準備して受精に望むのですが、(減数分裂と言います)
これが、うまくできなくて2セットのDNAを持った状態で受精に望んでしまう卵子や精子は存在します。

これが、原因で異常なDNA量を持つ受精卵となり、部分胞状奇胎を引き起こしている可能性が考えられます。

「分割の過程でTE細胞に精子DNAの偏った細胞が密集した」というのは、僕の妄想も入っているのでそういう例があるかはわからないですが、モザイク胚が存在するのであれば、あり得るのではないかと思います。

ウシやマウスの胚で確認されていますが、胎児となる細胞は正常な細胞のみを集めて、3倍体などの異常がある細胞は胎盤になる細胞へ振り分けるような機構があるみたいなので、人でもそういった事は起きているのではないかと考えられます。

こういったケースは、稀である胞状奇胎の中でもさらに稀なケースだと思いますので、なかなか原因がわからない事が多いと思います。

今挙げた例も、3倍体になればほとんどの場合前核が3つ出てくるので移植に使われないし、2倍体の卵子や精子は形態的に大きくなると言われているので、顕微授精に用いられないはずです。

しかし、生物って本当に機械のようにプログラムやアルゴリズムみたいなものが勝手に組まれているんですけど、やっぱり機械じゃないので考えられないようなエラーが起きる事はあり得ると僕は思っています。

以上です。
ご参考になれば嬉しいです。

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