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できるだけ孵化する前に胚盤胞を凍結する理由
【ご質問原文】
こんばんは!室長さんのTwitter のおか げでとても勇気づけられています。質問させてください。
1、通っている病院は、採卵後5日目に凍結するのですがグレードが3AAや4CCなど孵化前の状態で凍結します。 例えば6日目まで培養してグレード5や6の状態で培養してくれればAHAも不要なのかな?と思うのですが、胚盤胞から孵化するまで培養すると問題があるんで しょうか?
2、病院から凍結出来た胚盤胞の写真をいただ いた時に、5日目の状態が Blast2" や Blast3AA”のように書かれていて、お医者さんに「4BCより質がいいよ!」と言われたのです が、実際に良いのでしょうか?
回答いただけたら嬉しいです。 よろしくお願いします。
【回答】
ご質問ありがとうございます。
孵化するまで培養を継続する事のデメリットはいくつかあります。
まず、培養を続ければ必ず胚盤胞が孵化するわけではないため、孵化した胚しか凍結しないとなると、凍結できない、つまり利用できる胚の数が減る可能性があります。基本5日目で凍結してしまうので、どの程度孵化するかはわかりませんが、5日目で良好胚でも6日目で孵化できずに死んでしまう胚も少なからずあると推察しています。
次に、透明帯は胚の中身の細胞を凍結融解操作によるダメージから保護すると言われています。
凍結は、専用デバイス(極薄のシートのようなもの)に胚を少量の凍結液と共にのせて、液体窒素に入れて凍結します。
この時に、透明帯があれば、水流などの物理的なダメージから胚盤胞が保護されます。
また、融解の際は、デバイスから胚を剥がさなければいけません。
孵化後胚盤胞では細胞が剥き出しの状態なので、プレートに貼り付きやすくなっています。
これを物理的に剥がそうとすると、胚盤胞にダメージを与えてしまいます。
実際、凍結融解後の変性率は若干ですが、ステージ5や6で高い印象です。
よりステージの進んだ胚盤胞の方が妊娠率が高いのは間違いないですが、グレードに優る基準ではないと言われています。
例えば、3AAよりも4BCの方が妊娠率が高いということは統計的にはありません。
ただ、4BCをステージ2の胚盤胞と比較するとどちらが良いとも言い難いところですね。
以上です。
ご参考になれば嬉しいです。