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抗セントロメア抗体陽性と体外受精

【ご質問原文】

こんにちは!いつも拝見させていただいてます。

今までに採卵を3回したのですが、 1回の採卵で受精卵が10個以上あってもほとんど分割が止まってしまい胚盤胞まで育ちません。 
抗セントロメア抗体陽性のため婦人科ではそれが原因ではないかと言われます。

一方、膠原病内科では抗セントロメア抗体が不妊に影響を与える根拠はないので他に原因があるのではないかと言われました。
一通り婦人科で色々な検査も受けて問題はないです。

闇雲に採卵を繰り返すのが正解なのかわかりません。 
アドバイスをいただけるとありがたいです。

【回答】

ご質問ありがとうございます。
抗セントロメア抗体や抗核抗体が陽性の方の不妊への影響は不妊治療界隈では有名ですし、いくつか論文による報告もあるので事実であると言えると思います。

また、私自身の経験からも影響はあると考えています。

抗セントロメア抗体や抗核抗体陽性患者様の場合

・成熟率が低い

・媒精後の多前核が多い
(3PNよりもさらに多い前核が出現)

・分割率、胚盤胞発育率が低い

このような特徴があります。
またふりかけ法のみならず、理論上、多精子受精が起こりにくい顕微受精でも、多前核が多いのも特徴です。

抗体価によってもその影響は異なりますし、ある程度症例によって個人差があると言えます。

抗セントロメア抗体や抗核抗体の影響を見分ける方法として、受精後に多前核が3個よりもさらに多い前核(4PNや5PN以上)ばかりであったのであれば、影響があったと言って良いと思います。

私が出会ったことのある抗セントロメア抗体価が高い患者様は、多数の卵子に顕微受精を行ってもほとんどが多前核になってしまい、正常受精は10%未満で、そもそも受精させることが難しい症例でした。

さらに、受精しても発育は悪く、その傾向は何度採卵しても同じなので、移植可能胚ができるまで採卵を繰り返すしかありませんでした。

最近では、プレドニンやアスピリンなどの免疫抑制によって改善するというお話もありますが、効果には個人差があるようで、確立された治療法ではありません。

ただ、妊娠例もいくつかありますので、移植可能胚が得られるまで採卵を繰り返す形になってしまうかと思います。

以上です。
ご参考になれば嬉しいです。

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