ZyMot(膜構造を用いた生理学的精子選択術)の効果
どうも!ぶらす室長です!
今回は、先進医療として実施されている
ZyMotを使用した精子選別の臨床的効果について、論文をレビューしていこうと思います。
先進医療名は「膜構造を用いた生理学的精子選択術」です。
ZyMotは、新しい技術のためいつもレビューしているコクランのようなメタ解析論文がまだありません。
そのため、エビデンスレベルの高い雑誌のランダム化比較試験の論文を2報レビューしようと思います。
ZyMotの原理
公式サイトの動画です。
ZyMotは、精子がギリギリ通れるくらいの小さい穴が無数に空いている膜(フィルターみたいなもん)が丸い部分に設置されています。
やり方は簡単です。
まず、膜構造の下に精液の原液を入れて、膜構造の上側に培養液を入れます。
その後、30分ほどインキュベートして膜の上まで泳いできた精子のみを回収するというデバイスです。
利点としては下記の通り。
・ 遠心分離操作が不要
※ 遠心分離によって精子のDNAはダメージを受けることが報告されているため
・ 膜構造を通過できた精子は質が高い
・ 操作が簡便で早い
こんなところでしょうか。
マイクロ流体技術は、最近様々な分野で応用されている注目の技術ですね。
マイクロ流体とは、少量の流体を非常に狭いチャネル(幅が数十マイクロメートルから数百マイクロメートル)を通して移動させる技術のことを言うようです。
電気泳動や水の流れなどを使ってチャネルを通すこともありますが、ZyMotの場合はもともとの精子の運動性を利用しています。
そのため、運動率がとても低い症例では使用が難しいかもしれないですね。
前置きが長くなりましたが、エビデンスを見ていきましょう!
ここから先は
1,793字
/
2画像
この記事のみ
¥
500
この記事が気に入ったらチップで応援してみませんか?