論理式の操作

論理回路を設計する際には、要件を整理し、論理式を作成しますが、そのままでは回路が複雑になり、部品点数が多くなってしまう場合があります。
論理式を整理し、簡略化することで回路を簡単にすることができます。

ブール代数

ブール代数とは、 イギリスの数学者 ブール(George Boole) が1854年の著書「思考の法則に関する研究」で 提唱した記号論理学です。
1または0の2値のみをもつ変数を用いる論理で、2値代数、2値論理数学、デジタル代数、スイッチング代数などとも呼ばれています。 真(true) または 偽(false) が 明確な文章を 命題(statement) と言い、ブール代数では一般に命題を記号 A, B, C, ... という変数で表します。
その命題が真であれば“1”、偽であれば“0 という2つの記号で表します。
論理和を+、論理積を・で表し、否定は記号や式にオーバーラインを付けます。
ブール代数は次に示す公式があります。

ド・モルガンの法則

ド・モルガンの法則は、ブール代数や集合において、論理和と論理積と否定の間に成り立つ規則性のことです。
この関係性は、真と偽を入替え、論理和と論理積を入れ替えた場合、元の論理と同じになります。
論理式で表すと以下のようになります。

論理式の簡略化

ブール代数の公式とド・モルガンの法則を使うと、複雑な論理式を簡単にすることができます。

【例1】

【例2】

カルノー図法

カルノー図は論理回路などにおいて論理式を簡単化するための表で、その方法をカルノー図法と言います。
下記の論理式を簡略化する手順を説明します。

表を作成する
変数がA、B、C、Dの4個なので、2組に分けて下図の表を作成します。

真理値表に似ていますが、縦、横の変数の値の順番が違います。
カルノー図は隣り合う真理値の変化がひとつになるように並べます。

入力値に対する出力を記入する
論理式を基に下図の赤枠内を埋めます。
この後の作業で注目するのは1なので、1になる箇所だけを記入してもかまいませんが、漏れを防ぐために、慣れるまでは、すべての空欄に記入してください。

【考え方】
今回の式の右辺は、5個の項から出来ています。その5個の項のうち、どれかが1になった場合に論理式の値が1になります。右辺第1項の値が1になるのは、(0, 1, 0, 0)の場合のみになります。
右辺第2項の場合、A の項が無いのでそれは0でも1でも良く、(0, 1, 0, 1) と(1, 1, 0, 1)のとき 論理式の値が1になります。
右辺第3項は、(1,0,1,1)第4項は(1,0,1,1)と(1,1,1,1)、第5項は(0,1,1,1)と(1,1,1,1)のとき論理式の値が1になります。

グルーピングを行う
記入が終わった表の中の全ての1を出来るだけ数の少ない正方形または長方形で囲みます。
囲む場合、次の条件に従います。
1.囲んだ長方形の中のセルは、全て1であること。
2.囲んだ長方形の中のセルの数は、2,4,8,... のように 2Nであること。
3.同じセルを2つ以上のグループで共有しても良い。
4.カルノー図の上下の端、および左右の端は連続していると考える。

注:青枠は4番目の条件に合致しているので、グループ化します。

論理式を作成する
グルーピング化した変数の値を論理積、グループを論理和で演算することで、論理式を作成することができます。
1のグループは、B、Dが1で、他はどちらでも良いことになるため、B・Dになります。
2のグループは、A、C、Dが1でBはどちらでも良いので、A・C・Dになります。
3のグループは、A、Cが0、Bが1、Dはどちらでも良いので、AとCは否定になります。

各グループの論理式を論理和で繋ぐと、全体の論理式になります。

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