「やむを得ない決断」はボディブローのように

昨日からどうもやる気が起きない。
原稿を作ったり、資料を調べたりしなければいけないのに、それができない。
おかげさまで健康だし、幸いなことにコロナにもインフルエンザにもかかっていない。
ただ、気持ちが次に向いていない。
今は、誰に宛てるでもない恨み節を吐くことしかできない。

今夏に開催予定だった学会が、延期になった。
つい数日前に、公式の発表を受け取った。
昨今はオンライン学会も増えているが、その遂行には各参加者のスムーズなネット環境と、実行委員会側でそれをコントロール・サポートする労力が必須である。
それらを担保することが、規模的に難しいらしい。
延期したほうが、万全の体制を整えられるだろう。

当然の結論である。
こんな未曾有のパンデミックに、見切り発車的に開催すべきではない。
この結論に至るまでの議論や時間を思うと、彼らの決断は非常に重い。
一参加者である我々は、それに従うべきだし、それに対する異論はない。

発表を知った時は、そう思っていた。
今でもその思いは変わらない。

しかし。

これまで私は、その学会での発表に向け、原稿作成を進めていた。
最近になってようやく論の筋道が見え、私は「今年の夏」に照準を合わせ、アクセルを踏んでいた矢先だった。

目標は、「今年の夏」よりも遠くへ行ってしまった。
それを時間が増えたと、ポジティブに捉えられれば良かったのに。
時間が増えたことで、私はかえって、何をしていいのかわからなくなってしまった。
その結果が、本稿冒頭の状態である。

誰に怒りをぶつけていいのかわからない。
強いて言うならばコロナウイルスが悪いのだが、奴らは目に見えない。
気が付けば想像以上にダメージを食らっているし、アクセルはしばらく踏めそうにない。
それもまた情けない。

***

学会と同じ頃にはオリンピックが予定されていた。
こちらもつい先日、中止の可能性が報道されたばかりである(関係者は否定)。

この感染状況を思えば、再延期や中止もやむを得ないかもしれない。
しかしそれを「食らってしまう」人がいるかもしれないし、昨年延期が決まった時点で「食らってしまった」人がいるかもしれない。
これほどの大規模大会の当事者は、凡人の私よりもメンタルを鍛えている、とはいえ。

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