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消費される仮面ライダー 【仮面ライダーギーツ第16話まで見ての感想】

ギーツがおもしろい。ちゃんと見た仮面ライダーはオーズまでで、それ以降はほぼ見ていないので、なんとも言えないが、ギーツはこれまでの仮面ライダーと比べても新しくおもしろいと感じる。(アマプラで追いついた)

ここでは主に16話について書きたいと思う。

好きな点

項目:ミスリード、悪役の動機、映えているアクション、メタ視点で捉える仮面ライダー

ミスリード

まず、ミスリードに関しては、16話はちゃんと化かされた感があったところが良かった。これまではギーツがスーパー能力と強運で化かしていたり、後出しジャンケン的なネタバラシが多かったように思う。(デザイアグランプリの記憶を消されたあとの、メメント的な記憶再生術はおもしろかったけど)

ただ、今回は爆発シーンを①「ギーツがパンクジャックを倒した」ように見せて、実は②「ゲームマスターがパンクジャックを自爆させていた」という構造にしていたのは、ミスリードからのタネ明かしが効いていてよかった。ただ、それが告発に繋がったというのはギミックの力が少し弱い感じもするけれど、ちゃんと化かされて心地良かったので良し。

これほどの話数がある仮面ライダーでコンフィデンスマンJP的な仕掛けをやろうとするそのチャレンジ精神がまずエグい…

悪役の動機

また、ゲームマスターが仮面ライダーに変身しプレイヤーと戦うシーンは、悪役のモチベがいいなと思った。

世界を征服します!みたいなちゃんと悪い奴ではなく、「いや、こんなふうにゲームをプレイされたらあかんやろ!」という責任感から汚いお仕事をしてしまうゲームマスターはちゃっちい悪役であり、それが日本人だけで構成されているデザイアグランプリにおいての悪役としてちょうどいい。

それにゲームマスターがゲームプロデューサーに免職されているシーンを見て「なんでギーツを強制退場させないんだ?」という疑問が消えた。やりたくてもやれなかったんだね。

映えているアクション

またアクションシーンに関しては、もちろん16話も良かったが、13話のジェットパックみたいなやつをもらったあとの長回し無双シーン(特に肩越しのところカッケー)や15話の「ちょっと行ってくる、世界を救いに」みたいなセリフからの長回しシークエンスwith 倖田來未&湘南乃風がかなりカッコいい。(15話は全体的に良かった気がする)

個人的にはボーンシリーズのようなめちゃくちゃカットをかけてスピード感があるように見せるけど見にくいアクションシーンが嫌いなので、こういう思い切り見せつけるアクションシーンは燃え上がるものがある。(バットマンビギンズを最近見たのだが、あれも酷かった。クリスチャン・ベールより星乃夢奈ちゃんの方が3倍くらい強そうに見える)

メタ視点で捉える仮面ライダー

小学三年生くらいの先読み力しかないので、最後の種明かしには驚いた。世界平和のための割にはゲームになっているところなどなど、疑問点が解消されて良かった。

それとともに、このデザイアグランプリは仮面ライダーというコンテンツをメタ的に表現したものだなと思い、なんだかアツくなった。

スポンサーがいて、オーディエンスに愛される仮面ライダーのショーとはまさにテレ朝で放送される仮面ライダーのことであり、仮面ライダーの戦う意義やそれぞれの選択を通して、仮面ライダーというコンテンツへの批評やメッセージが展開されていくと考えると、この先が楽しみで仕方なくなる。戦いやゲームを放棄し、それぞれの人生を選ぶ仮面ライダーとかワクワクするじゃん。

デザイアグランプリをワクワクしながら見ているオーディエンスは我々視聴者であり、消費される仮面ライダーを可哀想と言ってオーディエンスを攻めることはできないなんてなんかイイ。

今後への期待

「戦わなければ生き残れない」は仮面ライダー龍騎のキャッチコピーだが、これはメタ的な視点では、戦わなければ視聴率が稼げないので消されてしまう、と変換される。仮面ライダーの存在意義は戦うことでしか生まれない。平和な世界なら、仮面ライダーは必要ない。就活しながらうどん屋でバイトするしかない。

この戦うことでしかコンテンツとしての価値を生み出せない悲しい者たちがどうやってここから自分たちの存在意義を打ち立てるのかとても楽しみだ。


ギーツの脚本家はあまり評判がよろしくなさそうなので、僕の目が節穴なのかもしれない。まあ、楽しんだもの勝ちですわ。

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