【短編】プランクトンは泳げずに。
短い太陽から逃げて。
長い月とは友達で。
永遠に続くのはLED。
冷たい白は、
私の白を証明してくれるから。
ひだまりが怖いのは
私の体を透かしてしまうから。
白の奥の私の
その色を映し出してしまうから。
手のひらの指を往復したら
たったそれだけ、経っただけで
無感情な光線の下で、
肌色に白をベタ塗りして
動脈と静脈の赤と青さえもかき消した。
ひだまりが怖いのは
私の体を壊してしまうから
脆く紡いだ私の
ツギハギさえも溶かしてしまうから。
焼けるように真っ直ぐに
それでいて無邪気な陽光に
憧れていたのは昔話で
今は口にする資格もないと
残酷で冷静な私が吹き飛ばして。
短い太陽から昇って。
長い月は逃げ帰った。
永遠に続くのはLED。
おはようを聞いた私は
ただ、宙を漂うだけで。
ただ、そこにいた、
たったそれだけの世界で。
ノック ノック
足元にのびる斜陽
震える手はドアノブには届けない。
そうしたら私は
ちゃんと、さようならを
言えるのだろうか。
ちゃんと、さようならを
言わないといけないのだろうか。
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