消え失せる前に。


書かないといけない言葉がある。
私の脳味噌からこぼれ落ちる前に
誰かに、どこかに、何かに
伝えなきゃいけない言葉がある気がする。

止まった時計に群がる塵が
気持ち悪くて、気持ち悪くて
でも、それを否定する自分も
気持ち悪くて、吐き気を催す。

この感情が消え失せる前に
どこかに書き記していないと
いてもたってもいられなくなって
夜の空、落ちてくる雲を眺め
どうしようもないこの感情を。

何かしたくても
笑うことしかできない私。
笑う私の言葉の届かない君と
どうして、どうして
痛いほど乾いた笑い声しか
私の喉から出てこなくて
熱くなる目頭に
君は気づかないままで。

書かないといけない言葉があって
確かに伝えたくて
正確に訴えたくて
でもそんな語彙力が
私にはなくて
どうしようもない相談を
地面に蔓延る虫に問いかけて
返事なんか帰ってこなくて
君を救いたいのに
本当は私が救われたいだけなの。


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