【短編】voice
私の紡ぐ言葉が
たとえあなたに聞こえなくとも
私の漏らす嗚咽が
たとえあなたに届かなくとも
幸せならばそれでいい
私の零す涙が
たとえあなたに見られなくとも
私の流す血潮が
たとえあなたに拭われなくとも
幸せならばそれでいい
大きく息を吐いて、吸って、
あなたに向けた大声が
何十ものフィルターにかき消されて
無声音になってあなたに届く
ねじ曲げられた幸せの言葉が
無機質でも構わないから
いつかいつか、帰ってきますように
ただそれだけ
それ以上は望まないから
私の紡ぐ孤独な言葉が
いつかあなたに聞こえたのなら
私の漏らす悲哀の嗚咽が
いつかあなたに届いたのなら
私は幸せになれるのだろうか
そんな、夢を見ながら
今日もベットで一人
脳天気な寝息に耳を塞いで
私を私が抱きしめるの