短編:after clear
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5.5畳の王国で
綴った言葉は光になる。
凄い速度で届くのに、
でも、
凄い速度で届くから、
発した言葉は擦り切れて
届く頃には全くもって
違う言葉になってしまう。
あと少し、少しだけ、
僕に勇者の血が流れていたら
アイツみたいに勇者の剣を
引き抜くことは
できたのだろうか。
あと少し、少しだけ、
僕に賢者の才があったのなら
豊富な知識と大きな愛で
包み込むことは
できたのだろうか。
5.5万の王国で
見上げる夜はあまりに青い。
試した占い好相性
でも、
これはただの他者評価。
本当の思いや気持ちなんて
こっちにゃ少しも
わかりはしないな。
あと少し、少しだけ
僕にヒーローの資格があったら
あの時音速で空を飛び
かっこつけること
できたのだろうか。
あと少し、少しだけ
僕に、僕に勇気があったら
君のサインにすぐに答えて
隣に立つことは
できたのだろうか。
僕はゲームのサブキャラで
君はゲームのヒロインで
勇者はいつでも突然に
圧倒的な主人公補正で
いつも、”姫”を救うんだ。
ずっと、隣にいたはずなのに
言葉がなくても通じるって
どっかの誰かが言っていたのに
エンドムービーの中の僕は
君にライスシャワーを。
5.5畳の王国で
何も知らない君のLINE。
僕はずっとサブキャラだ。
たった二文字が言えなかった、
僕はずっとサブキャラだ。