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あの日。



3.11が近くなると思い出す。
私と、お芝居のお話。

遠い記憶になってしまって
「もしイタ」という伝説の
高校演劇戯曲の裏に隠れてしまって
どれだけの人が
知っているか分からないけれど。

私の3年間、青春が全て詰まって
そしてその呪いから今も逃れられず
私は演劇を続けている。

いつかやりたいと思っていたけど、
もうその年齢もすぎてしまって
同級生は結婚し、母親になり
私だけが1人
演劇に取り残されている。


演劇は麻薬だと、
かつての顧問が言っていた。


今もフラッシュバックする
当時の部活の風景や顧問の姿。
あの戯曲は、あの役は
今でも私の中の原点で、頂点。



3.11のあの日、
中学生だった私が見たものも
高校生になって読み込んだ資料も
この日になる度に思い出して
被災者じゃない自分かあれを演じる
責任や葛藤を思い出す。
そして、
高校3年間全てを捧げたあの作品を、
いつか超えたいと思っている。


全国総合文化祭で
「日の丸水産」の
国立劇場凱旋公演から11年が経つ。
あの頃より、私は
遥かに芝居は上手くなって
でも今でもあの頃の呪いにかかったままだ。



震災から12年。
私が芝居をはじめて12年。
もう何もかもが遠い昔に
なってしまっているけれど
あの頃のことを忘れないようにしたい。

日の丸水産という高校演劇の戯曲は
今でも多くの高校で
上演して頂けているらしい。
私はもう演じることは無いけれど
この作品が末永く上演され
東日本大震災の記憶を
未来へと繋いでくれたらなと思います。


当たり前が当たり前の日々に感謝して。
あの日のことを忘れないように。



江益凛

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