吐きそうになる、真夏日。
喫茶店には
マスクなしでくつろぐ人が
程よいディスタンスを保って
点々と。
舞台に立ったあの日から
何日か経って
仕事は好きなのに
なんでか毎日心が削れてて
時々、肺が痛くなる。
飲食店にも点々と
人が笑顔で談笑していて、
いいなぁ、なんて思いながら
私はそれは口にしないで。
電卓を叩いて嘆く店主と
夏を失った学生と
風船みたいな私がいて。
好きだった場所に
黒い影が生えて
これじゃない、これじゃないなんて
そんなことを思いながら
どうしようもすることもなく
たいそうなことを口にしながら
体はベッドの上のままで。
なんなんだろう。
真っ黒い淀みの中に
沈んでいく。
足が、手先が腐って、
心が沈んで。
吐きそう。
吐き気がする。
何かに追われる夢を見ながら、
目覚めた私の喉が枯れ果てて
痛くて、それが怖くて
誰かに言わないと。
でも、時間が経てばケロっとしていて
まだ大丈夫を自分に言い聞かせる。
何かをしていないと
泣きそうなほど息が苦しいから
そう、笑っていよう。
そのほうがいいから。
なんとなく、いいから。
笑顔のあの人の
機械仕掛けの第3の目は
悪魔のように鋭くて
いろんな人を刺していて
でも、私は悪くないからって
知らん顔で、知らん顔で
私は今日も生きている
知らん顔で、
知らん顔で、
知らん顔で。