【終演ブログ】白濁した水色の下で。(海賊の時間2024)
ふと、今日。
空を見上げたら
澄み切った快晴ではなく、
白く濁った青い空だった。
その空がとても印象に残った。
劇団イン・ノート第10回公演
「海賊の時間2024」
無事に終演致しました。
ご来場くださった皆様、
誠にありがとうございました。
普段、声帯の強さだけは自信がある
私なのですが、
まさかの疲労から声帯をやられ、
ギリギリの状態での5公演でした笑
とても仲がいい座組で
みんなで作品を作り上げながら
稽古に取り組んでて、
その風景がとても懐かしくて、
実家に帰ってきたような感覚でした。
そういえば、私のスタートって
こういう現場だったなって
そんなことをずっとひとりで考えてました。
出演本数も重ねて
ありがたいことに大きな舞台や
煌びやかな世界の仲間入りを
させてもらったりしてる最近ですが
やっぱり私の原点は
こういう現場であって
や、もちろんしんどくはあるのだけれど笑
それも含めて演劇だなぁって
自分が「好き」だけを信じて
がむしゃらに走ってた時期を思い出しました。
もちろん、今も「好き」が
原動力ではあったけれど
何も見えず、何も縛られず
ただ、夢しか見えてなかったあの頃を
思い出す、そんな座組でした。
以前、私の芝居は
「泥臭い」と、言われて
笑っちゃったことがあった。
いつも作品作りをしながら
心を病んでいる姿を見てる友人は
「もっと気楽に演劇やればいいのに」
とも言っていた。
出来ることなら私だって
本当は気楽に作っていたいし、
スマートに芝居をしていたい。
経験を重ねれば
いつか気楽に出来ると思って
もう何年も経ってしまった。
今も私は不器用なままだ。
困ったものだ、全く。
でもまぁ、そんな自分も
受け入れてくれる
そんな座組だったなと思う。
以前にも話したが
演出のれいちくんとは
今回初めましてだったし、
オファーをくれた中川くんとも
話したことも無い状態で
もちろん他の劇団員の方なんて
「誰だお前」状態だったと思う。
それに、配信やらなにやら
色んな活動をしてるから
「なんやこいつ」って感じだったりも
あったかもしれない。
それでも、そんな私を信じて
声をかけてくれたこと、
稽古場でも受け入れてくれたことに
本当に感謝している。
ただ、「オファー文が熱いから」
っていう理由で引き受けたあの頃の私にも
グッチョブを送りたい。
今回演じた「オレンジ」という役は
芝居を始めた「あの頃」を
そのまま体現した役で、
役作り自体はさほど大変じゃなかった。
と、言うか
割と自分に近かった役だったなと思ってた。
台本には少ししか描かれてないし
明るいトーンでしか言ってないから
どれだけ伝わってるか分からないが
「父親はいないし、母親には売り飛ばされ」と言ってるし、師匠のベルチに「ボロ雑巾みたいな」状態で拾われてて、
実は結構ハードな背景を持ってたりしてる。
そしてれいちくんから頂いた
初演時の各配役のバックボーン?の断片には
オレンジは何度も色んな海賊に所属し、
捨てられていたと書いてあった。
彼女の底抜けの明るさの原動力は
「絶望」だったんだと思う。
だから私のオレンジの役作りとしては
”人を信頼していない”
を起点にしてたし
会議のスタートの時も
どこかヘラヘラしていたのも
諦めと絶望が根っこにあったからであって。
でも、心のどこかで
本当は人を信じていたくて、
そして何より、誰にも負けないくらい
このメンバーが心の底から
好きだし、
信じていたかったんだと思う。
あんまりこんな話をするのは
良くないかもしれないけれど。
私も基本的には人を信じていないタイプで笑
オレンジのバックボーンに書かれていた
ブラック・バード号の仲間たちに
「最初は適当に世話になって裏切るつもりだった」
の一文がが深く心に刺さった。
そのくせ私は捻くれ者で
人を信じてないくせに
人のことが大好きで
人を信じていたい人間なのだ。
本編では結局汗をかいて
大きな声を出すことしか
出来ない不器用な俳優だった。笑
多分ウザいし、
ディズニーみたいな芝居もしてた笑
でも、久々にストレートしかない
お芝居をしながら、
「まー、結局こういうの好きなんだよなー」
なんて、思っていた。
基本的には、
れいちくんの演出と本を信じて
オーダーには従っていたけど、
1箇所だけ、「ここは(演出のオーダー通りに)出来ない、ごめん」
と、謝ったシーンがあって、
どこかの記載は控えるけれど。
それを受け入れて、
そしてそのプランを信じてくれた
演出のれいちくんには感謝をしている。
れいちくんの演出は
ちょっと不器用だけど笑
でも的しか得てなくて
理解できない部分は話し合いで埋めてくれて
とても面倒な俳優だったと思うけど
根気強く相手してくれて
感謝している。
彼が愛されてる理由が
そこには全部詰まってるなと思った。
もっとオレンジの役作りに関して
なんか書こうかなと思ったけど
特にかけることもないな笑
強いて言うなら
誰よりも動き回る、しか
出てこない。笑
とにかく引っ掻き回して引っ掻き回して
引っ掻き回してやるぜ!
って気概と
その場の空気を楽しむことしか
考えていなかった。笑
……あれ、もしかして私
芝居してなかった???笑
あ、強いて言うなら
これでも座組最年長だったので⇽
「若作り……クソガキの解像度……」
と、とにかく周りに負けないように
動き回っていた、かも。
お客様には
ちゃんと下っ端に見えてたみたいで
そこら辺は一安心した。笑
やー、いっぱい舞台出てて
体力あってよかった、安心した。
(言うてギリギリだったけど笑)
あと。
今回は恐らくだけど
普段私が出てる舞台に比べたら
客席の年齢層が若くて
「演劇界は明るいなぁ」と思った。
終演後や感想ポストで
学生の方がホクホクした状態でいるのを見て
とっても嬉しかった。
私もそういう人たちにも
届けられるようになりたいな。
もっと活動頑張らなくちゃな、
と、思った。
上手く芝居をすること。
笑いをとること。
もちろん実力としてはまだまだだけど
年齢が上がって立場が変わってきて
そんなプレッシャーに
いつも押しつぶされそうになってて
でもこの世界で生きていたいから
頑張るしかなくて
生き残る方法を今もずっと模索してて
ほんとに苦しい戦いをしてるなと
自分でも笑っちゃうくらいなのだけど
れいちくんのフィードバックで
「努力で埋めてる人」と書いて貰えた時
今までやってたことが
少しは報われたなぁって思った。
(ま、上には上がいるので
もっと頑張らないとですが笑)
その後の文章で
「演技を楽しみ尽くしてる姿が見たい」
と、書かれていたので
本番は、それはそれはもう
いい意味で、適当に臨んでいた。
反応も、合いの手も、す笑いも
好き勝手やらせてもらった。
そのオーダーに応えられてたらいいなと
全ステージ終わった今、思っている。
座組のみんなもほんとに、
ブラック・バード号の一味と同じで
みんながみんな一癖も二癖もある人だった。
みんなと仲良くなれたし
割と自由人な私を
好いてくれてほんとにありがとうと思ってる。
本番になればみんな頼りになるし
甘えてばかりだったし
支えてもらってばかりだった。
1人で閉じこもらず
最後まで笑って過ごせたのは
みんなの底抜けにキラキラした空気だった。
手を差し伸べてくれたことに
感謝してます。ありがとうございました。
これからも、大好きな芝居を
続けられるように。
それから、大好きな舞台を
もっとたくさんの方に届けられように
自分の信念だけは絶対に握り続けて
色んな場所を
駆け抜けていきたいなと思ってます。
そしてなにより、
関係者の皆様、ならびに
今回出会ってくださった
劇場に足を運んでくださった皆様にも
多大なる感謝を込めて。
一緒に楽しんでくださり
ありがとうございました。
また、劇場に来たい!と、
思えるような作品に
これからも携われるように頑張ります。
最後に。
前述したオレンジのバックボーンには
続きがある。
「最初は適当に世話になって裏切るつもりだったけど、いつの間にかそんな気も失せていた」
これをゴールに作っていた。
そんな思いが伝わってたらいいなと思ってます。
一緒に楽しんでくれてありがとうございました。
また、いつかの劇場で会いましょう。
オレンジ役
江益凛
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